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第八話. 「至って、平凡な」
三つ目の扉に足を踏み入れた瞬間、聞き慣れた喧騒が耳へと入り込んだ。
小鳥の囀り、テレビの音声、床が軋む音。
そして……幸せそうな家族の笑い声。
花楓ーKaedeー
夏希ーNatukiー
どうやら、此処は誰かの家のようだった。
この家の住民であろう、 大人二人と子供二人の顔面には、黒い靄が掛かっていてハッキリと見えない。
それは、日常風景の中に溶け込む汚い闇のようで、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。
海人ーKaitoー
パフ
ラミラ
ラミラさんの疑問に、ピンクチャンとピンククンが同時に頷く。
彼らもまた、この世界の住民らしい。
雪ーYukiー
秋霞ーAkikaー
小山ーOyamaー
全員黒い髪で、 ピンクメッシュなんて入れていなくて
まるで、本当に、 何処かの幸せな家庭を切り抜いたような。
そんな、そんな光景だった。
カシア
揺籃ーYurikagoー
フレア
勧奈ーKannaー
カシアさんの言うように、彼らは僕らに見向きもしない。気にも止めず、家族四人で笑い合っている。
小山ーOyamaー
小山ーOyamaー
小山ーOyamaー
心に引っ掛かりを残しながら、 僕は探索を始めた。
夏希ーNatukiー
10分後。 二階の探索をしていた夏希さんが、僕らを収集し、紙を掲げた。
その手には、くしゃくしゃにされた3枚の紙が握られている。
パフ
夏希ーNatukiー
向葵ーHimariー
夏希ーNatukiー
雪ーYukiー
茶髪の彼女は頷くと、 僕ら全員に見えるように紙を広げた。
すかさず、消愿さんが読み上げる。
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
消愿ーSyogenー
ピンクチャン
ピンククン
おそらく、この問題の場所に何かが隠されているのだろう。僕は、必死に思考を巡らせる。
カシア
フレア
揺籃ーYurikagoー
海人ーKaitoー
小山ーOyamaー
「じゃあ、そもそも考え方が間違ってるのか……」と、ツァイルさんが深刻そうに呟く。
雪ーYukiー
勧奈ーKannaー
どうやら、行き詰まってしまったようだ。何か、別の視点で見たほうが良いのだろうが………
___ふと、その時。
顔に黒い靄が掛かった少女が、母親に駆け寄り、グイグイと服の裾を引っ張っていた。
手にはスプーンを握っていて、 小さな体でプリンを要求している。
母親は冷蔵庫の方を指差し、優しく微笑んだ(実際には微笑んだ、“ような気がした”)。
子供達は、嬉しそうにキッチンへと駆けて行く。
その様子を見ていた僕らは、何かに気が付いたように、お互いに顔を見合わせた。
パフ
花楓ーKaedeー
ラミラ
向葵ーHimariー
夏希ーNatukiー
小山ーOyamaー
夏希さんに強引に引っ張られながら、 僕らは一斉にキッチンへと向かった。
カシア
雪ーYukiー
フレア
秋霞ーAkikaー
揺籃ーYurikagoー
ラミラ
………僕らが向かったキッチンは、汚れ一つなく、とても清潔にされていた。
まるで生活感の無いそれが、返って不気味さを醸し出している。
何とも言えない不気味さに背筋を震わせつつ、冷蔵庫の上……を確認しようとするが、 いかんせん、背が小さくて届かない。
小山ーOyamaー
仕方なく誰かが取るのを待っていると、パフさんが宙に浮き、冷蔵庫の上を覗いてくれた。
手には、黒色の小さな鍵が握られている。
海人ーKaitoー
カシア
消愿ーSyogenー
揺籃ーYurikagoー
確かに、家の鍵を冷蔵庫の上に放置するとは思えない。家庭によるのかもしれないが、万が一無くしたら大変だろう。
取り敢えず、今は鍵を保管しておこう。 きっと、いつか使う時が来る筈だ。
パフ
ツァイル
パフ
勧奈ーKannaー
花楓ーKaedeー
鍵の使い道も分からないまま、 僕らは次の謎解きへと移るのだった。
続く
コメント
21件
見るの遅れてしまったー!!またまとめて見させていただきました!!あんなに教会とかすんごいバーチャル空間みたいな感じだったのに急にリアルな家庭…だけどなんかちょっとところどころ変な感じの家庭…急展開がすんごく面白い ゾウってなんだ…?って思ってたけどそういうことか…!!みんな賢い…冷蔵庫の上に鍵が謎すぎる どこの鍵なんだろう…うちのカシアが言う通りなのか違うところなのか…
「ゾウで冷蔵庫だなんて…くだらないわ…」とか思ってそう 黒髪の家族って、ちゃんとリアルなの好きだわ
あらすじにとうとう勧奈が!超可愛い! 恐怖!冷蔵庫の上に鍵を置く家族 お父さんとかじゃなきゃ取れないよ セ、宣伝しないと出られない部屋だって~!!?これは何か重要なナントカがあるに違いない、そうに決まってる