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愛する人のために
自分が出来る事は
なんだろう？
余命幾ばくもない
彼女のために…
瑛太
サクラは…
瑛太
本が好きだったな…
たくさんの本に囲まれ
気になる本を手に取る
瑛太
(ダメだな…)
目に留まるのはどれも
サクラの病気に関する 本ばかり…
瑛太
もう…
瑛太
どうしようも無いのに
手に取っては返す
それを何度も繰り返すうち
気になるタイトルの本を見つけた
瑛太
これは…！
瑛太
この方法なら
瑛太
ずっと一緒に居られる
瑛太
サクラと…！
迷わずその本を買った
瑛太
(サクラは…)
瑛太
(喜んでくれるかな？)
瑛太
ただいま！
サクラ
おかえり…
サクラが起き上がろうとするのを慌てて止める
瑛太
無理しちゃダメだよ
瑛太
さあ、横になって？
サクラ
そんなに心配しなくても、いいのに…
サクラ
でも
サクラ
ありがとう…
サクラ
少し、休ませてもらうわね？
瑛太
ああ
サクラ
フフ
瑛太
どうしたの？
サクラ
なんだか、懐かしくて…
サクラ
サクラ
昔は…
サクラ
逆だったのにね？
瑛太
子どもの頃の話だろ？
サクラ
そうね
サクラ
サクラ
本当に
サクラ
懐かしいわ…
瑛太
(サクラ…)
サクラが遠くへ 行ってしまいそうで
怖くなる
瑛太
君に…
瑛太
話がある
サクラ
まあ
サクラ
何かしら？
瑛太
考えたんだ
瑛太
君とずっと
瑛太
一緒にいる方法を
一週間後
瑛太
食べたい物はある？
サクラ
…いいえ
瑛太
欲しい物は？
サクラ
…無いわ
瑛太
俺を見て
瑛太
ちゃんと話してよ？
サクラ
……
瑛太
ねえ？
サクラ
……
最近、サクラが よそよそしい
理由は分かっている
俺がプロポーズしたからだ
余命幾ばくもない
彼女に…
数日後
瑛太
ねえ…
瑛太
何か
瑛太
食べてよ？
サクラは食が細くなり
目に見えて衰弱し始めた
瑛太
このままだと…
瑛太
(病気より先に…)
サクラ
…ねえ？
瑛太
なんだい！？
サクラ
あの気持ちって…
サクラ
サクラ
変わらないの…？
瑛太
プロポーズの事？
瑛太
もちろんだよ！
瑛太
ずっと一緒に居たい
瑛太
君と永遠に…
サクラ
…そう…
瑛太
愛してるよ
サクラ
ありがとう
サクラ
わたしも
サクラ
サクラ
同じ気持ちよ？
瑛太
何か食べる？
サクラ
そうね
サクラ
リンゴが食べたいわ
瑛太
分かった
瑛太
すぐに──
サクラ
色が変わったのは嫌よ？
サクラ
自分で皮をむいて食べたいわ…
サクラ
子供じゃないもの
サクラ
わたし…
サクラ
フフ
数週間後
刑事
うっ！
刑事
ひどい臭いだな…
鑑識官
刑事！
鑑識官
見てください！
刑事
これは…
刑事
血痕
鑑識官
死体…
鑑識官
鑑識官
2名ですね
刑事
ここの住人か？
鑑識官
70～80代と思われる女性と
鑑識官
40～50代と思われる男性の
鑑識官
計2名です
刑事が手帳を確認する
刑事
…よし
刑事
ここに暮らしていた親子で、間違いなさそうだ
鑑識官
女性は衰弱死
鑑識官
男性は刺殺のようですね…
鑑識官
鑑識官
この親子に、一体何があったんでしょう？
刑事
さあ？
刑事
一緒に居たかったんじゃないか？
刑事
永遠に…
横たわる二人の枕元には
1冊の本が置かれていた
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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