テラーノベル
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広場の熱気がようやく静まり 民衆はそれぞれの思いを胸に散っていく
誓いの言葉の余韻は まだ胸の奥に熱を宿していたが
それを包み込むように 夜の気配が国を覆いはじめる
だが壇上の背後に ひときわ幼い影がひとり、残っていた
バナナ王子 ─────未来のMr.バナナ
その小さな背中は細くも 確かに強さの萌芽を抱いている
俺はふと、その姿に目を留めた
脳裏には「銃声の残滓」と 今、目の前にある「希望の背中」が重なり
胸の奥を鋭く揺さぶった
“あの結末を、繰り返させはしない”
影に沈む表情の奥で 心の誓いが静かに燃え上がる
隣に立つ爽がちらと俺を見やり 無言のままその想いを感じ取り
その蒼い瞳もまた 幼き王子の方へ向けられていた
明日から始まるのは 過去を背負ったまま進む、長い旅路
…それは王も、民も そして俺たちも同じだ
────だからこそ、この誓いは刻まれた
二度と解かれることのない 未来への結び目として
夜風が外套の裾をさらりと揺らした
俺は爽を連れ 王城の窓から音もなく身を躍らせる
屋根瓦を蹴り、影のように駆け 最後にはふわりと地面に着地した
月光が差す中、風が頬をかすめ 髪を小さく揺らしていく
次の旅路へと歩き出そうと 二歩、三歩進んだときだった
背後から胸を突くような… 懐かしい気配がした
振り返ると、そこには幼い王子の姿
月明かりに照らされた瞳は涙で揺れ そのきらめきが夜風に光を散らす
彼は小さな手を胸の前でぎゅっと握りしめ かすかに、震える声で俺に問いかけた
その声に、時が一瞬止まったように思えた
弱さの影を帯びながらも その瞳には、確かな憧れの輝きが宿っている
幼い王子は揺れる瞳の奥で、小さく頷いた
夜風がまた吹き、王子の髪をそっと揺らす
彼は一瞬 伏せた視線を胸の前に握る小さな手に落とし
それから真っ直ぐに俺を見上げて答えた
その言葉に胸の奥が微かに疼く
“─────あぁ…君は変わらないね”
目も、声も、遠い記憶の残像が脳裏をかすめ 思わずふっと口元が緩んだ
俺の声は厳しくも穏やかに 夜風に溶けて王子の耳へ届く
王子は唇を噛みしめながらも 揺れる涙を振り切るように瞳を逸らさない
その奥には、確かな憧れの光が生まれていた
小さな声でそう言い切った時 俺はもう振り返らなかった
背を向け、夜風に外套を揺らしながら 静かに歩み去る
その背中は、幼い王子の胸に強く焼き付き
「憧れ」という灯火となって 未来へと燃え続けていくのだった
彼は、Mr.バナナを救えましたね
誰も死なない世界戦へと 少しずつ、近付いてきました
彼は“命鴉”として これから先、もっと多くの命を その手で救ってくれるでしょう
─────……。
これから先に待ち受ける“出来事”に 彼が耐えられると…… 彼ならきっと、耐え切れると……
……そう、信じていますよ
コメント
5件
あの暗闇の人って、 なんか話し方に近視感があるんだよな
やばぁ…神…神作…すごい…まったくガンギまりあさんみたいな作品が作れない…すごい…本当にすごいですガンギまりあさん…