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いるまくんさいど
大っ嫌い
莉紗
いるま
あれから、俺は莉紗の用事にめちゃくちゃ付き合わされた。
そしてその荷物の六割は俺が持ってて、莉紗はほぼ手ぶら。
とは言っても、いつもの癖で俺が率先して持つと言ってしまっただけだが。
大量に買った服が重たい。
莉紗
莉紗
そう言うと莉紗は、自分のポケットからスマートに財布を取り出し、自販機へと向かっていった。
すち
すちがぽつりと呟く。
いるま
いるま
正直言って、あんな奴が妹だなんて思いたくない。
初対面の奴にガン飛ばして、ボロクソ言った挙句こさめのこと泣かせて、
そんな奴の、どこが良い奴だ。
愛されたとてどうせ上辺だけで、要らなくなったら捨てるんだろう。
こいつも、こいつの姉も。
莉紗
いるま
いるま
突然後ろから聞こえる声に少し驚きながらも、更にいつの間にか背後に居ることに恐怖を感じた。
莉紗
いるま
心臓に悪いな...
自然と身に付いたのか、俺と同じで、
小学校では、そうやって生きてきたんだろうか。
莉紗
莉紗
いるま
莉紗
莉紗
莉紗
いるま
莉紗が俺に向けて微糖のコーヒーを投げると、近くに寄って荷物を結構な数持っていかれた。
あまりにスマートな優しさに、疑問なのか、嫉妬なのか、苛立ちなのか、あるいは、また別の感情か、
そんな割りきれない気持ちが、いつの間にか言葉になっていた。
いるま
莉紗
莉紗
返事はしてくれたものの、やはり足を止めることは無い。
そんなことはどうでもよかった。
ただ、聞きたいことがあった。
いるま
いるま
俺は思わず立ち止まった。
そして莉紗も、俺の声を聞いて立ち止まった。
冷たく吹く風が、妙に胸を騒がせた。
莉紗
莉紗
淡々と言葉を連ねる莉紗はその間も、一度も振り向きはしない。
いるま
いるま
俺らの為に服を選んでくれた。
仲の悪いこさめにも、なつにも、ちゃんと似合う物を選んでくれて、
たった一日過ごしただけで、
こうまでして、俺らに気遣ってくれた。
なんで、そんなに...
莉紗
デパートで買った飴を咥えながら、適当に返事をする莉紗。
自然と荷物を持つ手が強まったが、それでもと話を進める。
いるま
いるま
いるま
いるま
話していくうちに、過去の出来事がフラッシュバックしてくる。
自然と声が荒くなって、瞳からは涙が溢れてきた。
知らぬ内に相当の勇気を出していたのか、心臓がバクバクと鳴る。
苦しくて下を向くと、涙が下へ落ちていくのが見えた。
泣いてるのを悟られぬよう、小さく嗚咽を漏らした後に涙をふこうとすると、前からオーケストラのイメージを連想させるようなハンカチが出てきて、
いるま
はっとなって顔を上げると、それの持ち主はやはり莉紗だった。
莉紗は俺が顔を上げたのを確認すると、やや乱暴にハンカチを頬に押し付け、涙を拭いてくれた。
いるま
あまりに乱暴だったもんでつい申し訳程度の反抗をしてしまったが、眉間に皺を寄せた莉紗は表情一つ変えやしなかった。
代わりに、こんな質問を投げかけてきた。
莉紗
莉紗
いるま
あまりにも予想外な発言に、気付けばぼやけていた視界が晴れていた。
はっきりと見えたのは、不機嫌そうに俺を睨んでいる莉紗だけ。
莉紗
莉紗
莉紗
先程まですっかり落ち着いていた莉紗が、多少ではあるが声を荒らげて、俺を睨んでいた。
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
いるま
言葉が詰まった。
今まで苗字が変わって、家の奴と仲良く話なんてしたことがなかったから。
信じられたのは、あいつら5人と8回目のあの子達だけだった。
その時は、境遇が似ていたのもあって仲良くなれた。
でも、同じことを繰り返していっている内、疲れてしまったんだと思う。
それで......
...気が付くと、もう何も見えなかった。
生暖かい雫が、冬の低い温度によって冷やされ、頬を伝い、服を濡らした。
分かっていたが、止まることは無かった。
訳の分からぬまま泣いていると、微かに温もりを感じた。
莉紗
いるま
顔を上げると、莉紗が自分の持っていた荷物をその場に放っていて、
莉紗
莉紗
勇気を与えるように俺の頭を撫でながら抱きしめていた。