何をしても平均で なんの取り柄もない僕は 今日、少し悪いことをしてみようと思った
僕
……
初めて学校をサボるのだ 僕はこれで少し変われるのだろうか
河原に寝転び 風邪を浴びる 体を冷やしてくれる橋の日陰が 心地よい
君
うわァァあ
君
遅刻だァァあッ!!
僕
‥はあ
眠りを妨げられる あたふたと慌て走る彼女は 僕の顔を見て立ち止まり 焦ったような口調で
君
あんたも!遅刻するよ?!
僕
いいよ、僕はサボるから
君
そんなん良くないよ!
僕
あんたには関係ないだろ
僕
何をしようが僕の勝手だろ
君
なんでサボろうと思ったん?
僕
僕は‥なんの取り柄もない
僕
だから、少しでも変わりたくて
君
悪い方に変わることないやろ!
僕
え?
彼女は呆れたように ため息を付き
君
あんたがどう変わろうとな
君
私には関係ない
君
そんなふうに思っとるかもしれへんけどもな
君
悲しむ人はいるねんぞ?
普通なら「関係ない」 「お前に何がわかる」 と吐き捨てるのだろうか
けど
彼女の言った言葉は 今の僕に深く突き刺さった
僕
ごめん…
君
…ええよ、気にすることないで!
僕
うん‥
彼女はにっこりと笑う その表情に 僕はドキッとした
君
なあ、あんたは趣味とかあるん?
僕
‥無いかな、だからなんの取り柄もないんだ
僕が顔を歪ませると 彼女は草が多い茂ところへと 走っていった
君
これ、あげるよ!
彼女は誇らしげに 花を僕に渡そうとする
それは一つ一つの花は小さいが 白く美しいその花は 可愛ささえ感じるものだった
僕
綺麗だな‥でも、なんで僕に?
君
ちゃんと意味があるんだぞ!
君
その花はスズランって言ってな
彼女は僕に花を渡すと 葉を見せてニカッと笑い
君
花言葉が「あなたに幸福が訪れる」
僕
…ッ
君
あんたがなにかに挑戦するときも
君
幸福が必ず訪れますように
君
って!
僕
‥ありがと
君
うんうん‥
彼女は笑顔を作るも すぐに表情が歪み
君
やべえ!遅刻やんけ!!!
僕
マジだ!急がんと!
君
あれ?サボりじゃないの?
走りながら彼女は 小悪魔っぽく笑い
僕
別のことに挑戦するよ!
僕
悪い方向には自分から進む必要ないだろ?
君
よく分かってんじゃん!
走る二人の背を 太陽の光が照らす
彼らの青春は 今始まったばかりだ
それがどうなるかなんて誰にもわからない
答えなんてどこにもないんだ
だけど
その答えを探すのが
また楽しいんだ
完






