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コンテストに参加して頂きありがとうございます。不思議で美しく、素敵なお話でした!!テキストの言葉が、綺麗で自分もこの場所に行ってみたいような気持ちりなりました。彼女は、誰で、この場所はなんだったのか.......気になる事が沢山あります。彼女の奏でる琴の音を聞いてみたいものですw
めっちゃ良かったです!
美しい川だった。
鳥のさえずり
植物の生命力
水の流れは清らかで
今にも消えてしまいそうなほど
透明だった。
周りにある竹は
私をずっと見ていたが
やがて風と共に空へと登って行った。
川の流れは速くなり
不思議な音が聴こえていた
まるで竹の妖精が
川を操っているかのようだった。
僕が川に手をかざすと
川は美しい光に照らされて
輝いていた
竹林をぬけると
古い建物がこちらを覗いていた
和風で綺麗な建物だ。
聞こえてくる琴の音
きっとこの家からだろう。
入ると、着物をまとった女性が1人
こちらを向いて琴を弾いていた。
声を掛ける必要すら感じられないほど
美しい音色だった。
1曲終わると、彼女は僕に言った。
「ようこそおいでくださいました。」
「あなたは誰ですか?」
「私は誰でもありません」
「あなたは此処をどこだと思います?」
「分かりません。気付いたら、此処にいました。」
「此処はどこでもありません」
彼女はそう言った。
「どういう意味ですか?」
「あなたはもう帰らなくてはいけませんよ」
「なぜですか?此処はどこなんですか?」
「さぁ…どこなんでしょうね……」
気が付くと、彼女は居なくなっていた
ひどく寒かった。
いきなり何かが光り出し、
それは先程の川だと気付いた
気付いた時にはもう遅く、
竹は僕を元の世界へ連れていった。
家に戻っても残るのは
あの人のあの琴の音
清らかな川の流れる音
生命が動く不思議な音
僕はまたあの美しい世界に行けるのだろうか。