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あの日の嘘

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あの日の嘘

1 - あの日の嘘

♥

1

2019年02月02日

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ここは会社の資料室。現在11月9日。

理央(リオ)

(私は暇さえあればここへ来る。ここは二つある資料室の内古いほうの資料室であるため人が来ることはまずないのだ。)

理央(リオ)

(もともと人付き合いが苦手な私は会社に馴染めず、入社して3年経つ今、ようやく慣れてきたところだ。と言っても同期と少しずつ話せるようになっただけで特に進展はない。)

理央(リオ)

今日も静かだなあ…

理央(リオ)

まあ置いてる資料が古いもんね...

純(ジュン)

あれえ?そこにいるのはもしかして理央ちゃんかな?

理央(リオ)

理央(リオ)

純くん!なんでここに? (純くんは会社の同期でこんな私にも優しくしてくれる。仕事もできる優秀な人なのだ。それにとってもカッコイイ。)

純(ジュン)

いやー

純(ジュン)

それがさあ

純(ジュン)

課長にめんどくさい仕事丸投げされちゃって

純(ジュン)

資料室行ってきますって言ってサボろうかなって

理央(リオ)

えっ

理央(リオ)

ダメですよ!そんなことしちゃ!仕事はきちんとー

純(ジュン)

そうゆー理央ちゃんだって

純(ジュン)

ここに来てるじゃない

純(ジュン)

サボりでしょ?

理央(リオ)

そ、そんなんじゃありません

理央(リオ)

私はただ...この場所が落ち着く、というか好き、というかあの

純(ジュン)

真に受けすぎ

純(ジュン)

別にそれを否定したいわけじゃないし

純(ジュン)

ここいい場所じゃん

理央(リオ)

あ、ありがとうございます

純(ジュン)

なんでお礼を言われてるのかわからない笑

理央(リオ)

いや、あの

理央(リオ)

自分のことが認められた気がして…

純(ジュン)

そっか

純(ジュン)

俺、そろそろ戻らなきゃ

純(ジュン)

じゃまたね

純(ジュン)

サボりに来るよ

理央(リオ)

また...でもサボりは良くないですよ

純(ジュン)

真面目だねえ理央ちゃんは

純(ジュン)

まあそこが君のいいとこなんじゃない?

理央(リオ)

いい...ところ

11月9日

純(ジュン)

これって理央ちゃんのトークだよね?

理央(リオ)

わっ

理央(リオ)

えっとそうですけど

理央(リオ)

なんで...?

純(ジュン)

理央ちゃんとお話したいなーって思ったから人に聞いたんだ

純(ジュン)

嫌だった?

理央(リオ)

全然嫌じゃないですっ

理央(リオ)

私でよければいつでも

純(ジュン)

そっか

純(ジュン)

いきなりだったのにありがとね

純(ジュン)

純(ジュン)

理央ちゃんさ、俺に敬語使わなくていいよ?

理央(リオ)

えっ

理央(リオ)

でもそういう訳には

理央(リオ)

純くんはこんな私にも優しいしみんなから尊敬されてますから…

純(ジュン)

いーの

純(ジュン)

その方が俺も話しやすいから

純(ジュン)

タメで

理央(リオ)

純くんがいいなら

理央(リオ)

わかった

理央(リオ)

これからよろしくね

純(ジュン)

こちらこそよろしく

次の日

真紀(マキ)

あ、理央ちゃん?ちょっといいかな?

理央(リオ)

あぁ、はい

真紀(マキ)

いきなり呼び出してごめんね。えっと...私はマキ。

真紀(マキ)

真実の真にに世紀の紀でマキって読むの

理央(リオ)

真紀さん、ですか

真紀(マキ)

あっ真紀でいいよ!

真紀(マキ)

一応同期だからね?

真紀(マキ)

敬語じゃなくてもいいし

理央(リオ)

そっか

理央(リオ)

分かった

理央(リオ)

よろしくね。真紀ちゃん

真紀(マキ)

よろしく〜

真紀(マキ)

あ、それでね

真紀(マキ)

今度同期みんなでご飯食べに行こうかなって思ってて...理央ちゃんもどうかなって

理央(リオ)

私が?

理央(リオ)

行って...いいの?

真紀(マキ)

もちろんでしょ!そのための会なんだし?じゃ決まりってことで!純くんと尚弥くんも誘っとくね〜

理央(リオ)

分かった。誘ってくれてありがとう。楽しみにしてるね。

食事会当日の夜。11月15日。

真紀(マキ)

そっかぁー

真紀(マキ)

4人なのか、同期って

純(ジュン)

そういえば...

尚弥(ショウヤ)

何だか俺もお呼ばれしたけど。まあ同期だしね。

理央(リオ)

そうですね

理央(リオ)

一応同期ということで

尚弥(ショウヤ)

ちょっと理央ちゃ〜ん

尚弥(ショウヤ)

堅苦しいよ

尚弥(ショウヤ)

別に敬語じゃなくていいから

理央(リオ)

あっ

純(ジュン)

はは

純(ジュン)

それみんなに言われてるでしょ?

理央(リオ)

うっ...

純(ジュン)

理央ちゃんてば面白い☺

真紀(マキ)

あっねえ、ちょっといいかな?

真紀(マキ)

理央ちゃん

真紀(マキ)

ちょっと来て

理央(リオ)

あ、うん

裏路地

理央(リオ)

どうしたの...?

真紀(マキ)

どうしたのじゃなくて

真紀(マキ)

わかってる?私純くんのこと好きなの

理央(リオ)

えっ...

理央(リオ)

(確かに話題に出ることは多かったけど…純くんのこと、好き、だったんだ。どうしよ。もしかしたら私も好き、かもしれない)あっ...そうだったんだ

真紀(マキ)

だからさ

真紀(マキ)

あんまり盛り上がんないでくれるかな?

理央(リオ)

ごめん...

スタスタ…

純(ジュン)

なーにしてーんの

真紀(マキ)

純...

理央(リオ)

くん?

純(ジュン)

なにー?

純(ジュン)

またちょっかいかな?

理央(リオ)

(グイッ

真紀(マキ)

わっ

理央(リオ)

真紀ちゃん

理央(リオ)

純くんが話してる間に私が言うこと覚えて言って

真紀(マキ)

はっ?

理央(リオ)

いいから言って。そうすればうまくいく

理央(リオ)

見てたの...?これには訳があって──

真紀(マキ)

私、理央ちゃんに弱み握られて、脅されてたの。純くんに近づくなって言われて言うこと聞いてたけどもうそれは耐えられない。だからもう言いなりにはならない。ここで全部言う。

純(ジュン)

えっ...?

理央(リオ)

アハハハハッ

理央(リオ)

ようやく?

理央(リオ)

そうだよ

理央(リオ)

ぜーんぶ私が仕組んだこと。でもバレたら意味ないか。純くんのこと狙ってたのに。でもこんな嫌な女とくっつく男なんか嫌いだし。

理央(リオ)

もういいわ

理央(リオ)

せいぜい上手くやんなよ

純(ジュン)

おい!ちょっと待てよ!

理央(リオ)

お幸せにね(ボソッ

真紀(マキ)

えっ...まさか

スタスタ…

次の日、朝早く

理央(リオ)

(今日はこれを置くためだけに出社した。そう、「退職届」だ。あんなことをしておいて今更純くんに顔は合わせられない。居づらくなるだけだ。)

理央(リオ)

最後にあの資料室に...

資料室

理央(リオ)

あーあ

理央(リオ)

ここ、ほんと落ち着くなあ

理央(リオ)

これで終わりだけどね

ガタン

理央(リオ)

(こうして私は会社を辞めた。誰にも何も言わずに。)

1ヶ月後、12月15日。

純(ジュン)

ねえ真紀

真紀(マキ)

ん?

純(ジュン)

今日は何の日か覚えてる?

真紀(マキ)

付き合い始めて1ヶ月、でしょう?

純(ジュン)

あったりー

純(ジュン)

ということで

純(ジュン)

どっか行こ

真紀(マキ)

どこがいいかな…えっ!

純(ジュン)

真紀?どうした...!

純(ジュン)

理央ちゃん

純(ジュン)

この後に及んで何の用?

純(ジュン)

今更どの面下げてきたの

理央(リオ)

別に

理央(リオ)

許して欲しいとかそんなんじゃないからね?

理央(リオ)

ただ──

理央(リオ)

幸せに...なってね

理央は少し寂しそうに笑った。

理央(リオ)

じゃ...

理央(リオ)

私このあと引越しの準備があるから

理央(リオ)

さよなら

真紀(マキ)

っ...

真紀(マキ)

理央ちゃん!

真紀(マキ)

ああ

真紀(マキ)

行っちゃった

純(ジュン)

もういいでしょ

純(ジュン)

あんなのとわざわざ関わらなくたって──

真紀(マキ)

違うの

真紀(マキ)

本当は

真紀(マキ)

あの時

真紀(マキ)

私が理央ちゃんに脅されてたなんて嘘

純(ジュン)

...!

純(ジュン)

それはどういう...

真紀(マキ)

理央ちゃんが羨ましくて

真紀(マキ)

裏路地に呼び出したの

真紀(マキ)

そしたら純が来て...

真紀(マキ)

そしたら理央ちゃんが

真紀(マキ)

私の言うことを純くんに言ってって

純(ジュン)

じゃああれはー

真紀(マキ)

そうだよ

真紀(マキ)

全部ー嘘。理央ちゃんが私のために...

純(ジュン)

そんな

真紀(マキ)

それが本当のことなの

真紀(マキ)

今すぐ理央ちゃんの所に...!

同日。理央の部屋

理央(リオ)

この部屋も今日でサヨナラかなあ

理央(リオ)

そう思うとちょっと寂しいかな

理央(リオ)

あの時のことも何もかも

理央(リオ)

全部忘れて

理央(リオ)

また、始めるんだ

ピンポーン

理央(リオ)

はい

ドアスコープを覗く

理央(リオ)

純...くん?

理央(リオ)

ダメだ

理央(リオ)

今ここで出たら

理央(リオ)

あの時のことも無駄になっちゃう

理央(リオ)

ダメなんだよ

ダンダンダン!

純(ジュン)

理央ちゃん!

理央(リオ)

(来ないで...)

純(ジュン)

俺、今まで勘違いを...

理央(リオ)

(もういいから…)

理央(リオ)

(お願い、帰って)

純(ジュン)

理央ちゃんはあんな酷いことしてないんでしょ?

純(ジュン)

ねえ

理央と純のチャットルーム

純(ジュン)

開けてくれないんなら

純(ジュン)

こっちで話すけど

純(ジュン)

聞いて

純(ジュン)

不在着信

不在着信

純(ジュン)

理央ちゃん

理央(リオ)

今度は何

理央(リオ)

もう関わってこないで

理央(リオ)

私とあなたはもう単なる他人でしょ

純(ジュン)

じゃあさ

純(ジュン)

なんでブロックしなかったの

純(ジュン)

俺のこと

理央(リオ)

それは...

理央(リオ)

忘れてただけ

純(ジュン)

真紀から聞いた

理央(リオ)

...何を

純(ジュン)

あの日のあの時

純(ジュン)

裏路地にいた時

純(ジュン)

真紀が話してたことは全部理央ちゃんの嘘なんでしょ?

理央(リオ)

はあ?

純(ジュン)

真紀のために

純(ジュン)

そして、俺のために。

理央(リオ)

何の話?

理央(リオ)

からかい話なら他でして

理央(リオ)

もう帰って

純(ジュン)

待って

純(ジュン)

今度こそは

純(ジュン)

伝えたいんだよ

理央(リオ)

何を

理央(リオ)

私は忙しいの

純(ジュン)

俺は

純(ジュン)

理央ちゃんのこと好きだったんだよ

理央(リオ)

えっ...

純(ジュン)

でもあの時聞いたこと信じてさ

純(ジュン)

こうなったわけ

理央(リオ)

...

純(ジュン)

理央ちゃん

純(ジュン)

今からでも間に合うかな

純(ジュン)

俺は

純(ジュン)

君が好きだよ

理央(リオ)

私...

理央(リオ)

今まで頑張って隠してたのに

理央(リオ)

そう

理央(リオ)

純くんの言う通り

理央(リオ)

あの時真紀ちゃんに言ったの

理央(リオ)

純くんに言ってって

理央(リオ)

幸せになってねって

理央(リオ)

でも

理央(リオ)

あれから1日たりともあなたを忘れた日はなかった

理央(リオ)

やっぱり

理央(リオ)

忘れられなかった

理央(リオ)

私もあなたが好き

純(ジュン)

ごめんね

純(ジュン)

今まで

純(ジュン)

辛かったよね

理央(リオ)

でも...今こうしていられるから

理央(リオ)

辛くない

純(ジュン)

ちょっと待っててね

純(ジュン)

話つけてくる

理央(リオ)

真紀ちゃんとのこと?

純(ジュン)

そうだけど

理央(リオ)

あのさ、自分で決めていいんだからね

理央(リオ)

私がどうとか真紀ちゃんがどうとか

理央(リオ)

そんなことに囚われないで

理央(リオ)

自分で選ぶんだよ

純(ジュン)

わかってる

純(ジュン)

俺は理央ちゃんを選ぶよ

理央(リオ)

ありがとう

理央(リオ)

じゃ待ってます

純(ジュン)

帰ったら

純(ジュン)

ゆっくり話そ

理央(リオ)

うん

理央(リオ)

ありがとう

理央(リオ)

純くん

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