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す、すごい
大きなお屋敷の娘として生まれた アイラ
彼女は生まれてから一度たりと 外に出たことがない
「外はアイラには危険すぎるから」
母親の口癖だった
彼女の生活スペースは 寝床と先霞んだ廊下
銀色のテーブルとコンロがふたつあるキッチン
ホコリにまみれた書庫だけだった
廊下の窓から見える空にはいつも雲がかかっていて
電気なんて着いてもいなかった
いつも小さなランプに火をつけて
静かに本を読んでいた
エリー
アイラ
エリーは唯一私と話してくれる使用人だった
歳の離れたお姉さんのように接してくれる彼女をアイラは大好きだった
母親の愛想が良くなく、愛情というものを受けたことは無いだろう
言葉も作法も全てエリーに教わった
それ以外は全て書庫の本から知識を得た
アイラのお気に入りは恋のお話
キラキラとした青空の下大好きな彼とデート♡
街に出て、一緒の学校で生活する
いつかそんな日が自分にも来るのではないか
そう思いながらすくすくと育った
そんな日が近づくことはなかった
エリー
アイラ
エリー
アイラ
アイラは今年で10歳になった
まだ1度も外に出ていない
アイラ
アイラ
エリー
アイラ
アイラ
エリー
アイラ
エリー
エリー
アイラ
アイラ
アイラ
エリー
キッチン
アイラ
アイラ
食事をするための食堂では無い
食事はエリーが部屋に持ってくるから
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
お母様
アイラ
お母様
アイラ
お母様
お母様
お母様
アイラ
アイラ
この広い家で私はエリー以外の使用人を見たことはないの
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
エリー
アイラ
🐭
アイラ
🐭
アイラ
アイラ
アイラ
🐭
アイラ
キィ
アイラ
アイラ
真っ暗な先に続いた場所
アイラ
エリー
アイラ
アイラ
エリー
アイラ
エリー
アイラ
アイラ
アイラ
エリー
掃除🧹
エリー
アイラ
エリー
アイラ
エリー
アイラ
アイラ
エリー
🐭
アイラ
アイラ
🐭
アイラ
🐭
アイラ
アイラ
薄暗く見えた本棚の上の奥にもうひとつ、部屋のように作られた場所
アイラ
エリー
アイラは重い服を持ち上げながら階段を上る
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
真っ暗なその場所に横たわった人
アイラ
赤い液体と周りに群がる虫の数
死んでいる
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
顔がかすかに見えてアイラはハッとする
アイラ
アイラの脳裏に微かな記憶が蘇る
記憶
アイラの兄 サフラ
九つ離れた兄は毎日耐えずとお母様と言い争っていた
サフラ
アイラ
幼い頃のアイラにその話は理解が行き届かなかった
ただ優しく本を読んで語り掛けてくれる兄の姿がアイラは大好きだった
サフラ
アイラ
サフラ
だがサフラはある時を持って屋敷から姿を消した
お母様
アイラ
それから兄はかえってこなかった
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
アイラ
頭から血を流して倒れている エリー
アイラ
アイラ
お母様
アイラ
アイラ
アイラ
そこにいるのは確かに母であった
右手に血のついた鏡を持って
まるで........母では無い
アイラ
お母様
アイラ
お母様
アイラ
アイラ
アイラ
後ろは壁前は母
逃げ場など
アイラ
アイラ
アイラの手元で何かが開いた
アイラ
空気がかすかに音を立てる
お母様
アイラ
アイラ
アイラは中へとはいる
お母様
アイラ
アイラ
アイラ
アイラは必死に進み続けた
微かな空気と光を頼りに
そして
アイラ
アイラ
アイラはこの時初めて屋敷から出た
それは、今まで思い浮かべてきた晴天の明るい世界ではなかった
薄暗く朱色がかった空とあかりひとつついていない建物の残像物
荒れ果てた地面と森冷たいかぜ
アイラ
何も知らないこの場所で何も知らずに育てられ
皆殺されて幼き少女の心臓が動く
アイラ
彼女の世界は今ここで終わり始まる