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幹事の友人
ーと、幹事の友人は後に言った。
恵美
恵美
野次馬丸出しの恵美にあたしは苦笑した。
中峯聡子
恵美
恵美
と恵美がにんまり笑う。
恵美
そんな激励をもらったが大変なことなどその時点では何もなかった。
冬原の艦の母港は横須賀で、あたしの住む駅までJRで1本だ。
当直の重なった休み以外はまめに会えたし、外泊を取ってあたしの部屋に泊まるときもある。
相変わらず合コンには見せゴマ要員として駆り出されているようだが、それをあたしにも隠さないので疚しいところは一切ないらしい。
自衛官は女慣れしていない人が多いらしく、場のほぐし役として冬原の存在は貴重なようだ。
上官直々の合コン参加命令とは奇妙な話だが、実際に冬原の手腕は初めて会ったときに目撃しているから納得はいく。
平日でも電話は可能だ。勤務は3交替だか4交替だか、シフトが分からないのであたしのほうから電話をすることはそれほどないが、ちょっと声が聞きたいなというタイミングで大体冬原から掛かってくる。
冬原がそのタイミングを読んで掛けてくるのか、話をしたいタイミングがあたしと重なるのかは分からないが、どちらにしても気に掛けられているということなので素直に嬉しい。
あたしから掛けて『この電話はただいま電源が入っていないか、電波の届かないところに・・・・・・』となるときは、乗艦中だ。
携帯電話をアルミ箔で包むと同じことになる。すなわち、潜水艦がアルミ箔だ。艦内には一切電波が届かない。
それは仕方ないにしても、艦内に電話がないという話は驚いた。
中峯聡子
冬原
軍用艦。
さらりと言われて今更のように思い出す。そう言やこの人って現代日本社会におけるところの軍人さんだった。
中峯聡子
冬原
中峯聡子
と相槌を打ったあたしに冬原は頷き、苦笑気味に
冬原
と付け加えた。
脈絡のない謝罪はそのときにはただ唐突に聞こえただけだった。
呼び方が「冬原くん」から「ハル」に変わったころ、それまでの恵まれた状況の理由が判明した。
ハル
言いつつハルは既に定位置になったベッドの前で気に入りのぬいぐるみをなぶっている。
中峯聡子
ハル
中峯聡子
ハルは意にも介さず無茶にクマを抱え込む。
ハル
あくまでクマをなぶりながらハルはあたしのほうを見ない。
ハル