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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

あの日の夜

あの日が

私の運命を

人生を

大きく変えたんだ────

冬乃

はっ…ぐぅ…はぁ……はぁ…は__

???

……の!お……が…!め…さ…して!

???

…ぐに!……んび……を…て!

???

???

それからどれ程時間が経ったのだろう

真っ先に目に止まったのは見慣れた真っ白な天井だった。

冬乃

(あぁ…私また発作が…)

私は、橋清冬乃(はしきよふゆの)

今年高校生2年生の17歳

___と言ってもこんな体だ。物心着いた頃には入院生活だったが、以前は病院から外泊許可が出る事もあった。

しかし、最近は症状が悪化しベッドから容易に降りることも許されない。

今時の高校生みたく学校帰りに友達と遊んだり、オシャレして、メイクして、彼氏作って…

そんな日常とは大分かけ離れた生活をしている。

冬乃

青春ってやつ、してみたいな…

────ガラガラ

冬乃起きたのね!あぁ…良かった…昨日の発作はいつもより酷かったから心配してたのよ…ほんとに良かった…

冬乃

ママ…ごめんね。いつも迷惑かけて。ママも大変なのに…

この人は私の母親で入院生活の私を幼い頃から大切に見てくれている。

今では私の唯一の家族だ。

半年前、父親と弟が交通事故で亡くなった。

車に同乗していた母だけは後遺症を多少足に残しながらも何とか一命を取り留めたのだ。

いいの。ママのことは気にしないで。それよりもね、冬乃。ほら見て!
ご近所の方から桃を頂いたの。今から剥くから一緒に食べましょう?

冬乃

わぁ!美味しそう…私桃大好き!

ふふっ…良かった…少し元気が出たみたいで…

冬乃

え?

病室に入った途端冬乃がしけた顔してるんだもの…今やっと笑ってくれた。ママは冬乃のその笑顔が大好きよ

そう言ってママは優しく私を抱きしめた

それと同時にママの肩が少し震えているのが分かった

冬乃

マ……マ…?

……ごめんなさいね。さ!桃食べよっか!

冬乃

(ママ…ママも1人できっときついんだ……)

冬乃?

冬乃

え?あぁ!うん!食べよう?早く剥いて剥いて!

ふふっ…少し待っててね?

冬乃

うん!

冬乃

ぷはぁ…いっぱい食べちゃった…すっごい甘くて美味しかった!!また一緒に食べよう!

ほんと冬乃美味しそうに食べるんだもん。ママまで嬉しくなっちゃった。また一緒に食べようね

冬乃

うん!

ふと時計を見る

あ…もうこんな時間…冬乃との時間はあっという間だわ。でも、そろそろ家に帰るね?もう大丈夫?また何かあったらすぐナースコールするのよ?絶対よ?

冬乃

もー…分かってるって!心配性なんだから!ほらほら!ママも忙しいんだし、私だけじゃなくてちゃんと自分のことも考えて!

冬乃

最近体調悪いんでしょ?ね?だから、私はもう大丈夫だから。いつもありがとう、ママ

あらあら…冬乃も遂にお礼が言える子になったのかぁ〜偉いぞーっ!

冬乃

もう!からかわないでよ!

ふふっ…ほんとに…ほんとに良かった…((ボソッ…

冬乃

え?

ううん!なんでもないわ。じゃあね!冬乃。また明日も来るからね

冬乃

え?あ、う、うん。また明日ね、ママ

ガラガラ────

ママが帰ると、あぁ1日が終わる。 そう感じさせられて少し寂しくなったりする。

でも毎日来なくたって、少しは自分の時間に使って欲しい、そんな矛盾した気持ちが日々堂々巡りする。

もう時刻は夜の9時半。

あと30分もすれば、ナースが巡回に来る。

もう寝なければならない。

しかし…どうしてだろうか…

何故か今夜に限って眠れない。いや…

寝たくなかった。

冬乃

(見廻りのあとこっそり抜け出そう)

何とか歩き回る体力は戻っていたため、そう心に決め布団にくるまった

コンコン…──ガラガラ

………………コツ…コツ…………………………

冬乃

(よーしっ!今日は病院の中をこっそり冒険大作戦だー!)

私は、物音が立たないように、そっと起き、扉を開けた。

冬乃

(うぅ…暗い…ちょっと怖いかも…でもここまでやっちゃったんだし今更戻りたくない!)

どれ程歩いただろうか

ゆっくり歩いているのもあるだろうが、随分と歩いている

確かこの奥は…

冬乃

(大広場…広い場所はもっと怖いな…でも…)

そんな気持ちを押し殺し、私は前へ進む

大分大広場の椅子などの形が薄暗闇でも分かる距離まで来た

と不意にガラス張りのドアを見る

────フワッ

外を眺めていた彼も私に気づいたのか、驚いた様子で振り返る

冬乃

え────

そっと見据えた透きとおるような目

とても柔らかそうな長めの髪の毛

少しだけ開いているピンク色の唇

そして…

とても温かく、優しく

いるだけでその場を包み込んでしまうような柔らかい匂い

私は、まるで何かに魅力されたかのように、その場から_

彼から目を離すことが出来なかった────

今夜、君に逢いにゆく

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