君は桜が大好きだった

彼の名前は黄

黄ちゃんは俺が入院するずっと前からいる

俺が15の時には17歳だったから今は20か21歳だ

黄ちゃんは温厚な性格でとても笑顔が素敵だと幼いながら感じていた

だが今はこうしてカーテン越し

酷く痛々しい傷ができてしまったから見られたくないらしい

俺はどれ程痛々しく見るに耐えない見た目であろうとも彼の隣でいたい

毎回来る度に胸の気持ちを彼に伝える

だが彼はカーテンを未だに開けてくれない

俺が辺りを見渡すと不自然な位置に花瓶と

花瓶に紫陽花(アジサイ)が入っていた

綺麗な赤色の紫陽花だ

橙さんとはこの病院の先生で紫さんと同じ精神科病棟の人だ

橙さんに花を渡すのは今回だけじゃない

前回はアザミと言う紫色のお花

そしてゴボウなんて言う紫色の花やギンリョウソウとか言うもう花かも分からないまで

色々と橙先生にお使いを頼まれている

黄ちゃんは毎回花言葉を送る

ギンリョウソウの花言葉は「はにかみ、そっと見守る」

直訳すると恥ずかしいけど見守るよって意味で

仕事に集中してないから見られてるぞって意味で贈りたかったらしい

ごぼうの花言葉は「私に触らないで」

女性へのボディタッチが目に余る為贈ったらしい

まぁ女性だけでなくあの人は距離感がバグっているのでしかたない

他にも様々な花を贈ったがもう数が多くて覚えきれない

確かに言われてみれば元気が少ない？

なんかやつれてる？

今のは完全に俺が悪い

少し橙先生に嫉妬してしまった…

そうして俺は紫陽花が生けてある花瓶を持ち

部屋を出た

ご覧いただきありがとうございます

人気でしたら続編が出るかもしれません