黄
橙
紫
赤
青
桃
start
黄side
朝は僕にとって拷問みたいだ。
金属がぶつかる音。 高い笑い声。 遠くで鳴るチャイムの音。
全部が耳の奥を直接殴ってくる。
黄
(来る……)
黄
フー、フー、
僕は昇降口で立ち止まった。
ただ靴を履き替えるだけなのに、 異様に長く感じてしまう。
心臓がうるさい。 すぐにでも押さえ付けたいくらい。
『イヤーマフつけろよ』
頭ではわかってる。 でも、手が動かない。
『またあいつか』 『めんどくさ』
とか言われちゃうから。
ドアの向こうから イスを引く音がした瞬間 視界が歪んだ。
黄
……っ
息が吸えない。 今すぐにでも逃げてしまいたい。
でも、逃げたらまた……
黄
ハッヒュッ……
橙
黄ちゃん?
橙
今日顔色やばいで?
橙
調子悪いか?
黄
入れない……
声が震える、 それだけで情けなくて、 泣きそうになる。
橙
無理しなくていいんやで?
黄
でも……
橙
“できない日”があるだけやろ?
簡単に言うなとも思ったけど、 それ以前に喋る気力すら無かった
教室に入った瞬間、チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン
鋭い音がまるで耳を刺してくるような 感覚で飛び込んできた。
黄
っ……、!(耳塞)
黄
カヒュッ ハアッ
もぶもぶ
なに?
もぶもぶ
もう授業始まるよ?
もぶもぶ
大丈夫?
声が重なる。
黄
(やめて、やめて、やめて、)
黄
ヒュッハアッ…カヒュッハヒュ-
呼吸が乱れ、指先が冷たくなってゆく。
橙
黄ちゃん!
橙
保健室!
橙くんの声が遠くで聞こえた。
普通になりたい。 言うことを聞いてくれない身体。 他の子よりも過敏な耳。
でも、思うようには行かなかった。






