恋 が 下 手 な 私 と 君

机にしがみつく私を 引き剥がす伏黒。

昨日虎杖と野薔薇が 行った任務は、

私と伏黒に引き継がれた。

私は術師のくせして 任務が嫌いだ。

面倒臭い。 おうちがいちばん。

いよいよブチギレそうな 伏黒にひよって、

私は渋々教室を後にした。

伊地知さんが運転する 車に乗って1時間。

県境にある山の中の廃屋が 今回の任務地だ。

伏黒が出した玉犬が、 呪霊の匂いを辿る。

今回の任務に 私が駆り出された理由は、

言わずもがな 探知系の術式だから。

伏黒は攻撃から妨害、 サポートまでこなせる術式で、

玉犬は探知にも向いている。

運が良ければ私の術式の出番は ないかもしれない。

ワン！と 元気な返事が返ってくる。

額に青筋を浮かべる 伏黒をなだめる。

手を握って目を瞑ることが 術式発動の合図だ。

全身の神経を呪力探知に 集中させると、

すぐに廃屋の2階部分から 微かな気配を感じた。

渾を先頭に廃屋の中に 足を踏み入れる。

朽ちた木製の階段は キシキシと音を立てて心もとない。

伏黒が渾に合図すると、 扉を突き破って中に入った。

驚いたように戦慄いた呪霊を 渾が一掃する。

帳が上がり、 任務は呆気なく終わった。