/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
若菜
(昨日、ユズル君と一緒に居たのって…)
若菜
(ユズル君の)
若菜
(彼女、なのかな…？)
夢から覚める10秒前
若菜
(そんなの、嫌！)
若菜
(考えたくもない…)
若菜
(こんな、つらい思いをするくらいなら)
若菜
…うっ…うっ
若菜
若菜
(恋なんて…)
若菜
(しなければ、よかった！)
あの時
あなたを好きにならなければよかったと
まだ幼さの残るわたしは
強く、思った
次の日
ねえ、ユズル
ユズル
なに？
…あの子って
知り合い、なの？
若菜
……っ
昨日も、ユズルの事
待ってた？みたいだけど…
ユズル
…えっと
ユズル
あの子は、俺の──
あなたが答える10秒前
若菜
(聞きたくない…！)
若菜
(ユズル君が、わたしの事を)
若菜
(本当は、どう思っているのか、なんて…)
ユズル
だから、気にしないで？
若菜
(ユズル…くん…)
あなたの隣に並ぶのは
自分だと、信じてた…
10年後
あのさ…
若菜
なあに？
本当に、いいの？
若菜
どうしたの？
若菜
ハッキリ言ってくれないと、分からないじゃない
…結婚だよ、結婚
若菜
結婚？
若菜
ちょっと、なに言い出すのかと思ったら
若菜
当然じゃないの。いいに決まってるでしょ？
若菜
わたしは、あなたが良いの
若菜
…昨日の、夜だって
若菜
何度も…好きって、言ったでしょ？
若菜
若菜
…バカ
ごめん！
…でも時々、不安になるんだ
君みたいな美人が、どうして俺なんかと？
ってさ…
若菜
若菜
あなたを不安にさせた事があったのなら、謝るわ
若菜
本当に、ごめんなさい
若菜
でも、わたし…
若菜
若菜
結婚は、あなたとしたいの
若菜
心から…好きだと、想えた人だから
ひたりと肌を寄せ
若菜…
その身に抱きつく
若菜
(だって…)
若菜
(はじめて、なのよ？)
若菜
(身も…心も)
若菜
(好きだと想えた人は)
ごめんな…
なんか、幸せすぎて
現実味が、ないんだ…
若菜
いいよ？
若菜
これから先の方が、長いんだもの
若菜
不安な事は、少しずつ乗り越えていきましょう？
ありがとう、若菜…
本当に、ごめんな？
若菜
(…わたしこそ、ごめんなさい)
口づけを交わす10秒前
若菜
(抱きしめられていても)
若菜
(心のどこがで)
若菜
(なにか、忘れ物をしているような)
若菜
(そんな、気がするの…)
どこか…
心残りがある自分に
気づいてしまう
若菜
不思議ね…？
若菜
あれから、何十年も過ぎたのに…
若菜
未だに、あなたを…思い出します
若菜
若菜
…きっと…
若菜
あなたが、優しすぎるせいよ…？
若菜
だから…
若菜
…いま…
ピッ…ピッ…
若菜
いまも…
若菜
あなたを…
若菜
思い出すことを…許し…て…？
ピーッ！！
看護師
心停止しました！
看護師
先生、すぐに来てください！！
なぜかしら？
愛する人と共になり
…死に別れ
家族に見守られても、なお
若菜
ああ…
若菜
これで、やっと…
若菜
本当の想いを告げられます
若菜
あの時の…
若菜
若菜
まだ、幼いわたしは…
若菜
兄であるユズルさんを
若菜
心から、好いていたと
残された10秒に思うのは
淡く儚く散った
はじめての…
恋、なのです
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
