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涙の数だけ強くなれるはずがない

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涙の数だけ強くなれるはずがない

1 - 涙の数だけ強くなれるはずがない

♥

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2022年05月08日

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怒夫

なあ、泣男

泣男

え…あ、はい

泣男

何でしょうか…

怒夫

これ、何だよ

泣男

…え?

怒夫

え?じゃねえんだよ

怒夫

おら、早く

怒夫

これ見てみろよ

泣男

は、はい…失礼します…

泣男

あ……えっと…

怒夫

なあ、これさ

怒夫

最後まで見直したか?

泣男

え、えっと、あの

怒夫

誤字があるって言ってんだよ!

泣男

ひっ

怒夫

ほら、ここ

怒夫

ここも、あ、ここも!

怒夫

なあ、お前やる気あんの?

泣男

あ、あります

怒夫

ねえだろ!

泣男

ひいっ

怒夫

あるんだったら何で誤字なんかしてんだよ

怒夫

普通にやる気あったらこんなミスしないよな?

怒夫

お前、今回は誤字だけで済んだが

怒夫

誤字以外にミスしてたらどうする?

怒夫

そうしたら誰が責任取るんだよ?

泣男

ぼ、ぼく…ですか?

怒夫

ちげえよ!

怒夫

俺だよ、俺

怒夫

お前は新人だ、そして俺はお前の世話役だ

怒夫

分かるよな?

怒夫

どいうことか

泣男

わ、分かります

怒夫

分かってねえからこうなるんだろうが!

泣男

ぅ……うう…

怒夫

…は?

怒夫

なに?お前…

怒夫

泣いてんの?

泣男

うう…うぐ…

怒夫

…お前なあ

怒夫

泣いたら許されると思ってんのか!?

泣男

ち、ちがっ…います

怒夫

そんな安っぽい涙流す暇あったら、反省したらどうだ!?

泣男

は、はいぃ…

ヒソ美

やだ…また怒鳴ってる…

コソ子

本当懲りないよね…

コソ子

しかも、あのクソ上司

コソ子

最近離婚調停してるとかなんちゃら…

ヒソ美

ええ、嘘でしょ?

コソ子

本当、本当

コソ子

お子さんもいるのにねえ…

ヒソ美

ほんと、どこまでもクソね…あの男

コソ子

ていうかさあ…

コソ子

あの泣男って人…

ヒソ美

ああ、あの人…

コソ子

いくらなんでもさ…泣きすぎじゃない?

ヒソ美

あー、分かるわあ

ヒソ美

なんか、女々しいよねえ

ヒソ美

大人になってメソメソ泣くなんて

コソ子

ね、恥ずかしくないのかな

泣男

………

ヒソ美

ちょ、今一瞬目あっちゃったんだけど…

コソ子

ええ、まさか聞かれてたり?

ヒソ美

うそ、聞かれてたらもっと泣かれちゃうじゃない

コソ子

やだっもうっ

コソ子

可哀想じゃんっ

泣男

……うぅ

泣男

うう

泣男

やっぱり、僕は駄目なんだ…

泣男

仕事のミスなんかして…

泣男

うう…

泣男

だ、駄目だ

泣男

涙があ…ううう…

妖精おじさん

泣かないで!

泣男

ひっ!?

泣男

だ、だれ!?

妖精おじさん

アタシは妖精!

妖精おじさん

みんなを笑顔にさせる素敵な妖精よ!

泣男

よ、ようせい?

泣男

いや、どうみても変質者じゃあ….

妖精おじさん

おだまりっ!

妖精おじさん

アタシは妖精なのよ!

妖精おじさん

この魅惑の生足でドロップキックするわよ!

泣男

うう…怖い…ドロップキックする妖精怖いよおお…

妖精おじさん

泣かないで!

妖精おじさん

いや…泣いてもいいわよ!

泣男

どっちなのお…

妖精おじさん

涙の分だけ人は強くなれるわ!

妖精おじさん

だからもっと泣いて!

泣男

ううう…ううう

妖精おじさん

うわキショ

泣男

え?

妖精おじさん

アタシは何も言ってないわよ!

泣男

そ、そっか!

妖精おじさん

ええ、そうよ!

泣男

ね、ねえ…

泣男

本当に、泣けばつよくなれるかなあ?

妖精おじさん

なれるわ!

妖精おじさん

涙は成長なのよ!

泣男

じゃあ、なんでぼくは泣き虫なままなのお…?

妖精おじさん

………

泣男

涙を流すだけで強くなれるならぁ…

泣男

何でぼくは強くなってないの…?

泣男

そもそも…強くなれるって…

泣男

何が強くなるの…?

泣男

分からないよお…

妖精おじさん

おだまりっ!

泣男

ええ!?

妖精おじさん

うるさい!

妖精おじさん

いいから泣くのよ!

泣男

ええ、でもぉ

妖精おじさん

アンタはいつもそうやって!

妖精おじさん

そうやって泣くから強くなれないのよ!

泣男

うう…なら最初に教えてくれても良かったんじゃあ…

妖精おじさん

お、おだまりっっ!

妖精おじさん

いいからさっさと泣きなさい!

悪魔

くく…

悪魔

泣いて何になる…?

泣男

うわああ…また変質者が増えたよお

妖精おじさん

な、アンタは!

悪魔

よお…久しぶりだな妖精

妖精おじさん

どうしてここに来たのよ!

悪魔

どうして?

悪魔

はっ、分かりきったことを

悪魔

俺はな!コイツを絶望させに来たんだよ!

妖精おじさん

何ですって!?

悪魔

ふはは!おいそこの泣き虫!

妖精おじさん

や、やめなさーい!

悪魔

きっしょくわるいなあ、泣いてるなんて

悪魔

ええ?お前もう大人だろ?

悪魔

恥ずかしくないのか?

妖精おじさん

ちょ!ダメよ!

妖精おじさん

糞泣き虫根性ナシ野郎なんて言っちゃダメよ!

悪魔

言ってねえよ

泣男

うう…うう…

泣男

そんなのわかってるよぉ

泣男

ぼくは、だめなんだぁ

泣男

うう…泣いちゃだめなのにぃ

悪魔

くく、ふはは!

悪魔

どうだ!?絶望したか!?

泣男

ぼくは…ダメ人間なんだ…

悪魔

え、おい

泣男

ち、違う…またぼくは自分のことを責めて…

泣男

こ、この世にはぼくよりも辛い人がいるんだから

泣男

うう…我慢しないとぉ…ううわあん…

悪魔

おいおいちょっと待て!

悪魔

絶望しすぎ!しすぎだから!

妖精おじさん

何よコイツ

妖精おじさん

根性ないわね

悪魔

さてはお前隠れ悪魔だな?

泣男

うう…!

悪魔

ああ…もう…

悪魔

分かったからとりあえず泣き止め

泣男

で、でもお

泣男

その妖精さんが泣けってえ…

悪魔

泣いて強くなれんなら、今頃全人類超人になってんだよ

悪魔

泣いても何にもなんねえ

悪魔

おら、これハンカチ

泣男

うう…ありがとう…

妖精おじさん

やだなにあのハンカチ

妖精おじさん

もしかしてアンタ、「どきらぶっ!俺の嫁はまさかの聖女様!?〜先に幸せになっちゃいます〜」見てんの?

悪魔

うぐっ

悪魔

い、いまそれは関係ないだろ!

悪魔

そ、それよりもほら…泣き止んだか?

泣男

な、何とか…

悪魔

はあ…なら良かった

妖精おじさん

てかあれ、アクラシアじゃない?

妖精おじさん

アンタああいう子タイプなの?

妖精おじさん

あ、もしかして貧乳派だったりする?

悪魔

いいから黙っとけお前は!

泣男

アクラシア…?

悪魔

ああ!もう!お前のせいで…

泣男

もしかして、どきらぶ?

悪魔

へ?

泣男

み、みてるの?

妖精おじさん

え、やだちょっと

妖精おじさん

アンタらまさかの同類?

悪魔

い、一応聞くが推しは?

泣男

え、えっと……ヤマメって子だけど…

妖精おじさん

ああ、ヤマメねえ

妖精おじさん

あの騎士のくせに露出ヤバい女

妖精おじさん

なんか最近、フェ●ニストから叩かれてなかったっけ?

悪魔

だからお前は黙ってろって

悪魔

お前…もしかしてそいうのが好きなのか?

泣男

え?

泣男

ああ…うん!

泣男

何だろう、ほらヤマメちゃんっていつも真っ直ぐで、努力家じゃん

泣男

何だろうなあ…頑張っているヤマメちゃんを見るたび、応援したくなるんだ

泣男

頑張れ!って

妖精おじさん

うわ…

妖精おじさん

まさかのそっち…

妖精おじさん

残念だったわね、悪魔

妖精おじさん

あの子は色々と純粋すぎたわ

悪魔

……そん、な…

悪魔

折角ビキニアーマーの良さを語り合えると思ったのに…

妖精おじさん

アンタも大概ね

泣男

それよりも…

泣男

2人は何しに…

悪魔

ん?俺は普通に絶望させにきたけど…

妖精おじさん

絶望させるっていうか、もう絶望していたわね

悪魔

お前は何でここに来たんだよ

妖精おじさん

ええ?普通に笑顔にさせに来たのよ

悪魔

嘘だろお前

悪魔

暴言を吐きに来たんじゃないのか?

妖精おじさん

は?何言ってんの?

妖精おじさん

ドロップキックするわよアンタ

悪魔

お前やっぱり隠れ悪魔だろ

泣男

ぼ、ぼくは何をすればいいのかな

妖精おじさん

何って…

妖精おじさん

笑顔になればいいのよ

泣男

分からないよ…そんなこと…

妖精おじさん

ええ…

悪魔

まあ、待て

悪魔

なあ泣男

泣男

な、なに?

悪魔

例えば、お前が誰かに怒られた時

悪魔

お前はどんな風になる?

泣男

え、えっと

泣男

な、なんか頭が痺れるんだ…

泣男

胸も、すごくドキドキして

妖精おじさん

やだ…恋の病?

悪魔

黙れや

泣男

涙も、出てきて…

悪魔

よし分かった

妖精おじさん

何がよ

悪魔

こいつが何であんなにも泣き虫かってことだよ

泣男

え…?

悪魔

まずお前、気にしすぎ

悪魔

あと自分責めすぎ

泣男

……でも

悪魔

いいか

悪魔

別に俺はそれを否定しない

悪魔

確かにそれは「お前」であり、「泣男」の意思でもあるんだ

悪魔

だがな

悪魔

自分で自分を追い詰めて、自分で自分を殺す

悪魔

そんなの、後味悪いと思わないか?

泣男

………

悪魔

泣いていいさ

悪魔

大人になっても、全然泣いてもいいさ

悪魔

その代わり、自分を責めたりなんかするんじゃねえ

悪魔

責めるなら相手をせめろ

悪魔

庇うなら自分を庇え

泣男

悪魔さん…

妖精おじさん

……

妖精おじさん

アンタは糞泣き虫根性ナシ野郎

妖精おじさん

でもまあ…

妖精おじさん

頑張った方ね

泣男

……!

妖精おじさん

偉いわよ、アンタは充分に

妖精おじさん

他のメンタル弱い奴なら

妖精おじさん

今頃引きこもってニート街道まっしぐらだろうし

妖精おじさん

アンタみたいな意志が強い人って中々いないのよ

泣男

で、でも僕は泣き虫で

妖精おじさん

泣き虫と弱虫は違うでしょ

妖精おじさん

泣いたから弱いの?

妖精おじさん

弱いから泣くの?

妖精おじさん

そんなの、おかしいでしょ

泣男

……おじさん

妖精おじさん

誰がおじさんだ妖精といえ、クソが

泣男

ア、ハイ

妖精おじさん

…誇りなさいよ、少しは

妖精おじさん

自分のことを、ね

泣男

二人ともっ…

悪魔

まあ…その…なんだ

悪魔

無理に頑張れとは言わねえ

悪魔

まっ、程々にサボって、程々に頑張れよ

泣男

ありがとう…

泣男

本当にありがとう!

悪魔

へへ…その笑い顔、かっけえじゃねえか

悪魔

気に入ったぜ、その笑顔

妖精おじさん

……?

妖精おじさん

スマホ…?

泣男

悪魔さん、本当はいい人なんだね

悪魔

んなわけねえだろ

悪魔

俺は悪魔だぞ

妖精おじさん

これ…アイツのスマホかしら

妖精おじさん

えっと…あら?パスワードがない?

妖精おじさん

ああ…アイツ機械音痴だもんね…

泣男

悪魔さん、大丈夫?

悪魔

は?

泣男

なんか、妖精さんが持ってるけど…

悪魔

悪魔

何を言って………あ

妖精おじさん

「アクラシア 貧乳」

妖精おじさん

「アクラシア エ●い」

妖精おじさん

「アクラシア ア●顔」

妖精おじさん

「どきらぶ 同人誌」

妖精おじさん

………アンタ

泣男

え、え?

泣男

あ…ア●顔ってなに?

悪魔

ああああああああ!?

悪魔

お、俺の検索履歴があああああ!?

妖精おじさん

あらあら…他にも変なものみて

悪魔

やめ!

悪魔

やめろおおおおおおお!

泣男

え…なに?

泣男

へ、変なものってなんなの!?

妖精おじさん

泣男…この世には知らなくていいものというのがあるのよ…

悪魔

いいからスマホかえせえええ!!!

泣男

……

泣男

ふええ…やっぱり変質者だあ…

ー完ー

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