抜錨
沙綾
忘れられるものだけが
沙綾
美しくはないでしょう
瑠都
忘れることばかりが
瑠都
美しくはないでしょう
沙綾
悲しいことばかりが
瑠都
人生ではないのでしょう
瑠都
さりとて喜びとは
沙綾
比べ往くでしょう
沙綾
船よ
瑠都
船よ
沙綾
荒波の中で
瑠都
流されずられたでしょう
瑠都
水底に根差す
沙綾
あなたと穿った少女時代
沙綾
さよならする頃
瑠都
強いられるのは抜錨(ばつびょう)
瑠都
傷の数を数えて
沙綾
痛みの数指を折る
沙綾
一つあまり小指は愛しさのぶんね
瑠都
辛いこともありましょう貴方の
所為もありましょう
所為もありましょう
それでも赤い糸結わえているのでしょう
これは一部分だけ






