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シン
今日も飯いらねぇから
シン
あと帰りも朝になるからよ
シン
とりあえずお前は俺の帰りをちゃんと出迎えるように
シン
わかったな
リン
え？
シン
家でお遊びさせてやってるんだから
シン
ちゃんと言うことを聞くようにな？
リン
何よそれ…
リン
結婚してから一回も家で一緒にご飯食べたことないじゃない…
リン
こんなことってあるの…？
シン
は？
シン
なんだよ？
シン
なんか文句でもあるのかよ？
リン
文句というか…
リン
あまりにひどくない？
リン
それに朝帰りを出迎えるなんて…
シン
お前は文句ばっかりだなー
シン
自分が何もしていないことを理解せずに
シン
文句ばかり垂れ流すなんて…
シン
公害だな
シン
家庭内公害
リン
ひどい…
リン
そこまで言われる筋合いある？
リン
私、ちゃんと家事してると思うんだけど…
シン
家事するなんて当たり前だろ？
シン
嫁は家事をすることが
シン
ようやく一人前の証なんだからよ
シン
うちの厳しい両親だってそう言ってたし
リン
そんな…
リン
私だって仕事をしてるし
リン
その合間の時間で家事をしてるのに…
リン
お義父さんもお義母さんもそれは認めてくれてるわよ…？
リン
私に優しくしてくれるし
シン
ぷぷっ笑
シン
なんだよ仕事してるって笑
シン
お前がしてるのは画家という名の
シン
ただのお絵かきだろ？
シン
お絵描きは子供の遊びなんですー
シン
仕事とは言いませんー！
リン
お絵描きって…
リン
ちゃんと画家として私活動してるよ？
リン
個展を開いたり
リン
注文で絵を描いて納品したりしてるし
リン
一応、一般的なサラリーマンぐらいは稼いでるし
シン
稼いでるって言ってもそんなもんだろ？
シン
商社勤務の俺からしたらそんなもの鼻くそみたいな金なんだよ！
リン
それは…そうかもしれないけど…
シン
飯もロクに作れないからな！
シン
お前は！
シン
メシマズ女！
リン
メシマズって…
リン
そもそもあなた外食ばかりして
リン
私のご飯食べてくれないじゃない…
リン
一応毎日夜ご飯を2人分作って待ってるのに…
シン
だってさー
シン
お前の作るメシ
シン
安っぽくて不味そうなんだよなー
リン
安っぽい…？不味そう…？
リン
ちゃんと健康を考えて和食を中心にして
リン
ヘルシーな料理を作ってはいるけど…
リン
それはだってあなたが普段不健康な食事ばっかりしてるから…
リン
家では少しぐらいヘルシーなものを食べてもらおうと思って…
シン
要らないお世話なんだよ！
シン
俺は肉とか魚とか
シン
高そうなもんを食べるのが
シン
仕事を頑張るエネルギーになるんだよ！
リン
で、でも…
シン
あーうるさい！
シン
口答えすんなって言ってるだろ？
リン
ごめん…
シン
さっき言ったことも守れないのかよ…
シン
なんでこんな無能な女と
シン
俺みたいに商社勤務で
シン
女にモテモテな俺が結婚してしまったのかねー
リン
そんな言い方って…
リン
あなた昔は
リン
夢に向かって頑張ってる私を応援してくれるって…
リン
そう言ってくれたじゃない？
シン
あー
シン
そんなことも言ってたっけ？
シン
覚えてないわ
リン
そんな…
シン
画家って聞いたから
シン
一発で数百万とか稼げるようになるのかなって思って
シン
多少はそんなことも言ったかもしれないけど
シン
蓋を開けてみたら
シン
お前そんなに稼げないしな…
リン
それは…
リン
まだこれからかもしれないけど…
リン
今ぐらい稼いでるのだって
リン
結構すごいんだよ？
リン
売れない人は売れないんだから
シン
はぁ？
シン
なんですか自慢ですか？
シン
その程度の稼ぎで自慢してくんんだよ
シン
ダリィな
リン
ごめん…
シン
とりあえずお前は今度から俺の料理をする時は
シン
ちゃんと肉とか魚を入れるようにな！
シン
あんな貧乏そうな飯を
シン
俺様に作るなよ！
シン
わかったな！
リン
わかったわよ…
シン
わかったらちゃんと行動に移せよ？
シン
仕事っていうものは口よりも行動で示すものだからな！
シン
ちゃんとするようにな
リン
はい…
シン
じゃあ
シン
とりあえず今から
シン
取引先と女子アナを呼んでご飯食べてくるから
シン
ちゃんと俺が帰ってきた時に
シン
すぐに風呂とか入れるようにしておけよ？
シン
わかったな？
リン
はい…
リン
何時ごろになるのかな？
リン
それが分かればアラームとかかけて
リン
事前に起きれるようにしておくけど
シン
そんなのわかる訳ないだろ？
シン
取引相手が満足するまでだよ
シン
それぐらい想像力使ってさ
シン
考えろよ？
シン
な？
リン
わかった…
リン
じゃあ目安つけて待っておくね
シン
そうしておけ
シン
何回も言わせんな
シン
じゃあもう携帯触んないから
シン
連絡してくんなよ
リン
はい…
リン
わかりました…
〜翌朝〜
リン
シン、なんで帰ってこなかったの？
リン
私4時ぐらいから起きて
リン
ずっとあなたのことを待ってたんだけど…
リン
お酒を飲んでくるだろうから
リン
胃に優しいスープとか作って
リン
お風呂も沸かせて
リン
何かあったの？
〜数時間後〜
リン
シン？
リン
本当に何かあったの？
リン
大丈夫？
シン
何だよ…
シン
うるさいなー
シン
なんか用事でもあるのかよ？
リン
ようやく返事してくれた…
リン
何かあったの？
リン
何で家に帰ってこなかったの？
シン
は？
シン
いちいちお前に報告しなきゃダメなの？
シン
何なの？
リン
報告って…
リン
心配してるから連絡しただけで…
シン
お前の心配なんて要らないんだよ
シン
黙って家でおとなしくしておけよ
リン
そんな言い方って…
リン
ひどい…
シン
飲んでそのまま会社のやつの家に泊まったんだよ
シン
だから昨日は帰らなかったんだよ
シン
わかったか
リン
そうなんだ…
リン
わかったよ…
シン
とりあえず
シン
今日はこのまま会社に行くから
リン
わかった
シン
あ、あと
リン
なに？
シン
ちょっと今月金使いすぎて
シン
昼飯に金使いたくないからさ
リン
うん…
シン
お前
シン
弁当作ってくれよ
リン
え？
リン
お弁当？
シン
そうそう
シン
たまにはお弁当もありかなって
リン
珍しいね…
シン
なんか職場の女どもがさ
シン
俺が嫁にどんな弁当を作ってもらってるか気になるらしくてさ
シン
話のネタも兼ねてって感じ
リン
そうなんだ…
リン
なんか少し嫌な感じだけど…
リン
わかったよ…
シン
何だよその感じ
シン
気に入らねぇな
シン
黙っておとなしく作ってこい
リン
はい…
シン
うちの会社の場所はわかるか？
リン
わかるよ
シン
じゃあ12時までに届けておけよ
シン
受付に預けてくれたらいいから
シン
頼んだぞ
リン
はい…
〜数時間後〜
シン
おい！
シン
リン！
リン
あ、シン
リン
お弁当ちゃんと受け取れた？
リン
一応時間までに預けられたんだけど
シン
お前どういうつもりだよ
シン
あんな弁当作って
リン
あんな弁当って…
リン
ちゃんとお肉入れたよ？
リン
味付けもグレイビーソースとか
リン
オシャレな感じにしてみたけど…
シン
はぁ？
シン
何だよそれ
リン
え？
シン
ソースとかどうてもいいんだよ
シン
とりあえずいいお肉を入れておけば
シン
それだけで金持ってる感じが出るんだからよ
リン
そうなんだ…
シン
そうだよ
シン
それをなんだ？
シン
あのスーパーの肉みたいなペラペラのやつ
シン
あんな安物の肉を食べてるやつだと思われたら
シン
どうするんだよ！
リン
安物だなんて…
リン
ちゃんとお肉屋さんで買ったお肉だよ？
リン
和牛のいいお肉なんだけど
シン
本当にいいお肉なのか？
シン
ちゃんと白い模様がいっぱい入ったやつ選んだか？
リン
それは…
リン
白い模様というか…霜降りのことだとは思うけど
リン
赤身の方がヘルシーかなって思って
リン
そこまでサシがないやつを選んだけど…
シン
は？
シン
何だよ
シン
霜降りとかサシとか
シン
変な専門用語を使いやがって
リン
そんな変な専門用語じゃないと思うけど…
シン
とりあえず！
シン
あんな安物そうな肉を女どもの前で見せるわけにはいかないからな！
リン
そんな…
リン
じゃあ食べずに置いてあるってこと？
リン
それなら帰った時に私が食べるから…
リン
持って帰ってくれたら…
シン
捨てたぞ？
リン
え？
シン
だから捨てたって
リン
そんな…
シン
女どもにもう食べたってことにして
シン
空の弁当箱を見せるためにな
シン
お前が悪いんだからな？
シン
ちゃんと俺が自慢できる弁当を作らないから
リン
早朝に起きてたから
リン
ちょっと体調が悪い中
リン
あなたのためを思って作ったのに…
シン
そんなの俺の知ったことじゃないな
シン
自分の体調管理ぐらいは自分でやれ
リン
そんな…
リン
あなたのために起きたのに…
シン
知らねぇ
シン
とりあえずお前が作ったまずそうで安そうな弁当は
シン
捨てたから
シン
お前が悪いんだからな？
リン
ひどい…
シン
それで
シン
今日も飲み会だから
シン
晩御飯は要らない
シン
よろしく
リン
わかったわよ…
リン
私もちょうど今日は外出する用事があるから
リン
家にいないので
リン
ちょうどいいわね
シン
は？
シン
お前が外出？
シン
ろくに弁当も作れないくせに
シン
遊びに行くつもりか？
リン
またそんな言い方して…
リン
ちょっと仕事をする用事があってね
リン
その関係で外出するの
シン
何だ仕事かよ
シン
ちゃんと少しでも稼いでくるんだぞ？
シン
俺が日中も夜も働いているんだからな？
リン
わかったわよ…
リン
ちょっと帰るの遅くなるから
リン
もし先に帰るなら
リン
自分で鍵開けて
リン
お風呂とか入ってね？
シン
全く…
シン
仕方ねぇな…
シン
何時ごろに帰ってくるんだよ？
リン
多分深夜過ぎとか
リン
それぐらいになるかな
シン
へぇー
シン
わかったよ
リン
よろしくね
〜数時間後〜
シン
いやー
シン
さっき食べたイタリアンめっちゃ美味しかったわ〜
シン
本当お前もあーいう料理を作ってくれたらなー
シン
俺も食べてやるんだけどなー
シン
残念だなー
リン
へぇー
リン
そんな美味しかったんだ
リン
そのイタリアン
リン
まぁ三つ星のお店だもんね
シン
そうそう！
シン
さすが三つ星！
シン
って
シン
俺お前にどこの店に行くか言ったっけ？
リン
え
リン
言ってたわよ？
シン
LINE遡っても
シン
書いてないけど…
リン
なんか前その近くを一緒に通った時に
リン
来週行くんだって
リン
そう言ったわよ？
シン
そっか
シン
まぁ何でもいいわ
シン
とりあえずお前もあのレストランぐらい
シン
美味いものを作れるようになってから
シン
俺と結婚しろよなー
リン
そんな美味しかったんだ？
シン
あぁ！
シン
今まで食べたイタリアンの中でトップだね
リン
ふーん
シン
何だよそのリアクション
リン
誰と一緒だったの？
シン
は？
シン
別に取引先相手のおっさんだよ？
シン
美味いもの食わせてやって
シン
契約を取ったわ
リン
へぇー
リン
おじさんね
シン
そうだよ？
シン
何だよ
リン
別に…？
リン
ちょっと気になっただけ
シン
変なやつだな…
シン
この後0時まで帰らないんだよな？
リン
そうね
シン
本当に？
シン
早く帰ってくる可能性はないか？
リン
用事が23時までかかるから
リン
それは無いわね
シン
そっか
シン
じゃあ先に家で待ってるな
シン
ちゃんと稼いでこいよ
リン
わかったわよ
〜23時頃〜
シン
おい！
シン
お前どういうことだよ！
リン
ん？
リン
なに？
シン
なに？じゃねぇよ！
シン
何なんだよ！
シン
なんで俺の両親が家に突然訪れてくるんだよ！
リン
あら
リン
いらっしゃたのね？
シン
しらばっくれるなよ！
シン
お前が呼んだって言ってたぞ！
シン
何なんだよ！
リン
何をそんなに焦ってるの？
リン
別にうちにお義父さんもお義母さんが来たって問題はないじゃない？
シン
それは…
シン
そうなんだけど…
リン
まぁ、家に女子アナを連れ込んでたら
リン
そりゃ焦るかも知れないけどね？
シン
へ？
シン
何を…
リン
知ってるのよ？
リン
あなたが女子アナの方と不倫してることなんて
シン
何でそれを…
リン
元から怪しかったのよ
リン
いくら忙しいっていっても
リン
結婚してからもう２ヶ月も家に夜帰ってこないなんて
シン
何だよ…
リン
それであなたのご両親に相談したのよ？
リン
ちょっと困ってるって
シン
うちの両親に？
シン
お前そんなことをしたら…
リン
ええ
リン
お義父さんが大層お怒りで
リン
探偵を雇われたのよ？
リン
何か悪いことをしてるなら
リン
暴いてやる！って
シン
そんな…
リン
それで色々と情報を集めた上で
リン
今日、最後の確認をしてたのよ
シン
へ？
シン
最後の確認…？
リン
そう
リン
あなたが今日いったイタリアンのお店があるでしょ？
シン
あぁ…
リン
あそこに私いたのよ？
シン
へ？
シン
いた？
リン
そう
シン
どういう意味だよ…
シン
いたって…
シン
客としていたってことか？
リン
いいえ？
シン
じゃあ何だよ！
リン
シェフよ
シン
へ…？
シン
シェフ…？
シン
シェフって…
シン
料理を作る人のシェフだよな…？
リン
当たり前でしょ？
リン
そんなこともわからないの？
シン
わかるけど…
シン
どういうことだよ！
シン
お前が何でレストランのシェフなんて…！
リン
私、ここで昔働いてたの
シン
は？
シン
働いてた？
シン
メシマズ主婦のお前が三つ星レストランで？
リン
ええ
リン
画家になる前は料理人だったの
リン
けど、絵を描くことが諦められなくて
リン
辞めさせてもらったの
リン
今日はあなたがここで不倫相手とご飯するって聞いて
リン
特別に入れさせてもらったのよ
シン
そんな…
リン
それでこの目であなたが不倫しているのを見つけて
リン
それを写真撮ってそのままご両親にお送りしたの
シン
くそっ…
シン
けどなんで俺が家に女を連れ込んでるってわかったんだよ
シン
それがわからなきゃ俺の両親を呼ぶなんて…
リン
盗聴器を仕掛けてたの
シン
へ？
シン
盗聴器…？
シン
どこに…
リン
お弁当よ？
リン
お弁当箱につけてたの
リン
それであなたが女と家に帰るのを確認して
リン
それで行ってもらったのよ
シン
そんな…
シン
お前が家事もできない
シン
可愛くもない無能妻だから
シン
この子と新しい生活を送ろうと考えていたのに
シン
こんな行動力もあるし
シン
しかも三つ星レストランのシェフをやっていたなんて…
リン
屈辱的だったわ
リン
あなたみたいに
リン
高いものがうまいと思ってるような人に
リン
私が健康バランスを気にして作った料理を
リン
散々に言われた上に捨てたりされるなんて…
リン
まぁ、これも今日までね
シン
そんな…
リン
ご両親、相当怒ってたから
リン
あとはお二人にお任せするわ
リン
もう私には連絡してこないで
リン
しばらく実家に帰らせていただきますから
シン
くっ…
シン
俺が悪かったから…
シン
お前から少し両親に…
リン
嫌よ
リン
私はもうあなたに愛想が尽きたの
リン
何もフォローする気はないわ
シン
そんな…
リン
さようなら
〜後日談〜
リン
シンは両親に相当怒られ
リン
かなり絞られたようです
リン
その後、私は離婚手続きを進めていき
リン
慰謝料も請求するつもりでいます
リン
不倫を暴くために戻ったレストランですが
リン
ぜひお抱えの画家かつシェフで働いて欲しいということになり
リン
今ではまたレストランで楽しく働いています
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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