藤村容子
藤村容子
クスクスと笑いながら藤村容子が店の端に視線を向けた。
スマホで電話中の会社員らしき男が嬉しそうに頭をペコペコしている。
どうやら、電話の相手に向けて頭を下げているらしい。
藤村容子
藤村容子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
藤村容子
容子は自分の気持ちに同調してもらえず、素っ気なくストローをすすった。
喫茶店の窓越しから、道路を隔てた広大な大海原が広がっている。
青い海を照らす夕焼けがきらびやかな光を放ちながら、
海と、容子たちのコップに入ったジュースを反射して輝いている。
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子は再び端の席に座る会社員に視線を向けた。
男は電話を切り「よし!」と小さく声を出しガッツポーズをした。
藤村容子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
真悠子はその時のことを思い出したのか、ふふっと笑った。
藤村容子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
容子は小さくため息を吐いた。
真悠子は苦笑を浮かべながら容子の肩をポンポンと叩いた。
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
容子は黙り込んでしまった。
真悠子は何故、突然容子が沈黙したのか察していた。
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
容子はぎこちない笑いを浮かべたが、真悠子は至極真顔だ。
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
容子は当時を振り返り、小刻みに体を震わせた。
半年前の夏祭り、容子と真悠子は一緒に浴衣姿でイベントを楽しんでいた。
真悠子が屋台で飲み物を買いに行った後のことだった。
酔っ払った若い連中に容子がナンパされたのだ。
容子は昔から気の強い性格もあり、あっさりと男の誘いを断り無視した。
それに激情した男たちが容子に迫り、彼女は乱暴されそうになった。
そこへ、たまたまイベントを満喫していた島崎翔一が駆け付けたのだ。
島崎は横恋慕した女と一緒で、女は状況を察すると1人逃げてしまった。
酔っ払い連中と島崎は睨み合い、やがて…。
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
容子は無言で首を横に振った。
河口真悠子
今度は縦に振る。
普段の気の強さが信じられないほど弱々しい動きだ。
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
誰が、と聞くまでもなく容子はドキッとした。
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
藤村容子
河口真悠子
河口真悠子
その島崎が、真悠子の指示で浜辺に現れたのを容子は確認した。
真悠子は勘定は任せてと言い、容子に外へ向かうよう背中を押した。
店の出入り口で躊躇う容子だったが、
真悠子が早く行けとジェスチャーを繰り返し、渋々浜辺へ向かった。
眩しいほどの夕焼けに照らされた海はまさに幻想的だった。
容子は戸惑っていたが、肩を並べる島崎はその光景を眺めていた。
容子は振り返り、喫茶店の窓越しにこちらを眺めている真悠子を見た。
真悠子は呑気にストローをすすっていた。
容子は腹を決めた。
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
緊張のあまり、容子は無意識に声を張り上げてしまった。
島崎は困惑顔だったが、容子は構わず言葉を続けた。
もう、どもることはなかった。
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
藤村容子
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
藤村容子
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎は一旦、深呼吸をし気持ち良さそうに息を吐いた。
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
容子は泣きそうになるのをこらえながら、必死に声を絞り出した。
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
島崎翔一
藤村容子
島崎翔一
島崎翔一
島崎翔一
藤村容子
容子は喫茶店の方を向いた。
真悠子は笑みを浮かべ、海辺の容子に向けてガッツポーズをしていた。
容子は心の中で真悠子に伝えた。
「ありがとう」と。
2020.03.02 作