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5件
めっちゃ続き楽しみすぎです!!
主
主
主
主
主
いふ
ゆうすけ
りうら
ほとけ
しょう
ないこ
主
いふside
それは突然の出来事だった。
その日はたまたま仕事が一段落つき、 定時で帰ることができた。 まぁ、定時で帰れるからと言って、 特にやりたいことがあるわけでもない俺は、 ぶらぶらと家までの道のりを歩いていた。 すると、
「――、ー♪~」
と、どこからともなく聞こえてきた歌声に、 自然と引きつけられ、声の主まで誘うように導かれる。
導かれた先には小柄な人がギターを片手に 一人、綺麗な音色を奏でながら歌っていた。
周囲には誰もおらず、道行く人は特に気にした様子もなく、通り過ぎていく。 なんらかのBGMだとでも思っているんだろう。
よく見てみると、歌っているのは小柄で、 長い髪を高い位置で結んでいる、 童顔の人。 自分の歌に集中しているのか、 目はつむったままだ。
俺は何故か彼の歌声に惹かれていた。 そして何故かもっと聞いていたくなって 傍で座り込み、聞き入っていた。 心地よい歌声が脳内を支配していく。 このままずっと脳内BGMで流れてくれんかな… と考えているうちに意識はどんどん沈んでいった…。
「…、――さん。…おにーさーん」
ふと暗闇の中にあった意識を呼び戻そうとする声が聞こえ、うっすらと目を開けると、 先ほどまで綺麗な音色を奏でていた当人がいた。
うわっ、と勢いよく飛び起きるとクスクスと笑いながら手を差し伸べてくれる。
「おはよーさんw…よう寝とったなぁw」
ボケッとしながら差し出された手を握り立ち上がったところでようやく目が覚めてきた。 未だにクスクスと笑っている顔は思ったよりも下の方にあって背が小さかったことに驚く。
いふ
思わずぼそっと出てしまった発言に失言だったと慌てて口を塞ぐがもう遅い。
「なんやぁ~起き抜けに失礼な人やなぁw…まぁ、慣れとるからええけど。」
んで、おにーさん、そんなに俺の歌良かった? おにーさんだけだよ、 最後まで聞いてくれたの。 といい、おもむろに手を差し出してきた。
ゆうすけ
3日後の月曜日。
なんだか凄い夢を見た気がする…。 いや、夢じゃない、か。 あの歌声が三日経った今でも 頭にこびりついている。
いふ
「なぁにがあと4日なの~?」
いふ
そんな驚く?wwと、ニヤニヤしながら近づいてきたこいつは、同期の残念イケメンこと、 ないこだ。 同い年で同期なのはこいつだけで、 なんだかんだ気があってたまに飲みに行く仲だ。
ないこ
いふ
こいつに言うべきか悩むが、どうするか… まぁ、仕事人間のこいつ(人のこと言えない) が知ってるわけないか…。 一応聞いてみるか…?
いふ
ないこ
いふ
ないこ
いふ
ないこ
なんだかご機嫌な様子で自分のデスクへ向かうないこを見送り俺も自分の仕事に向き合う。 金曜日、早くこんかなぁ…
ないこ
いふ
ないこ
いふ
こいつはほんとに何考えてんだか わからん奴だ。 まぁ、別にうるさいわけでもないし、 いいけど。
いつかと同じご機嫌な様子で先を行くないこを追いかけるように歩く。
もう少しでまたあの心地よさを味わえると思うと、自然と足取りが軽くなる。 あと数分歩けば…
ゆうすけ
俺たちが着いたときには まだ準備中だったのだろう。 マイクスタンドを片手に ニパッと笑顔で迎えてくれた。
ないこ
ゆうすけ
いふ
とそこへ、一緒に来たないこが あろうことか急に悠佑くんに抱きついた。 え、あんたら知り合いなん?!
ゆうすけ
ないこ
こいつって……んでそんな機嫌悪いんだよ… さっきまでテンションバカ高かったのに…。
ゆうすけ
まぁ、最後まで聞いてたって言っても 途中から寝てもうたし…。 ってか、起こしてもらって 謝罪もしてへんやん!
いふ
ないこ
ゆうすけ
俺頑張っちゃう!と張り切りながら準備を進める悠佑さんを横目に、ないこを見るとふてくされたような顔をしていた。
いふ
ないこ
いふ
何言ってんのこいつ…流石にきもい…
ないこ
いふ
ないこ
ないこの言葉に遠くからチビやないわ! と悠佑さんが反応する。 その声にチラッと悠佑さんを見るが、 まぁ、ないこの言い分もわからなくはない。 それどころか、俺にも天使に見えてきた……?
ないこ
いふ
ないこ
……………えーっと、………は?
あだ名があにきで、にき。 しか理解できんかった。 てかそもそも、なんであにき…?
いふ
ないこ
げいのう、じむしょ…、?
んーー全くわからん。
いふ
ないこ
いつになく真剣な表情で語るないこにはすでに何か見えているのだろうか…。 まぁでも、あの歌声は確かに全世界に届いて欲しいと思うくらい、俺の心には響いていた。
いふ
ないこ
いふ
考え無しなところは変わってないのな。 でも不思議とやりたくないとは思えなかった。なんなら退職願に何て書こうか、 なんて考えている自分がいる。
いふ
ないこ
目に見えてテンションが上がったないこを見て、社長はお前だからな、と釘を刺す。 えぇー!と言いながら悠佑さんの元へ駆け寄り楽しそうに話している。
芸能事務所だなんて、 またゼロからのスタートだな。
…ま、なんとかなる、か…?
続く💭