桃赤
赤
踵で靴を押さえ、足を抜く
足元を見ていた視線を前に向ける
フェンスの奥に居る先客が視界に入った
赤
その人はゆっくりと首だけを動かし振り向いた
泣いていたのか少し揺れている黄色の瞳
不意に伸ばしていた手に気づき、引っ込める
その代わり
また、声をかけてしまった
黄
黄
黄
涙を流すその子に目を少し開く
ムカつく
どうしようもなく
そんなことで俺を越そうとしてるなんて
赤
ポロっと出てきた言葉にその子は空を見ていた視線を俺に移した
赤
それなのに……
その子は何かの糸が切れたかの様に目から大粒の涙を次々と流していった
黄
「もう帰りな」そう言うとその子は涙を拭きながら「ごめんね」と言ってその子は消えていった
俺はあの日座ったベンチに腰掛ける
また、だ
またこの気持ち
もう誰もいないのに、いつでも飛べるのに
赤
俺はその日ずっと屋上の上で泣いた
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わたしのアールみたいな感じのお話ですね!
次の投稿は♡200〜