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しづ
しづ
しづ
しづ
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ないこ
そう、不安そうに瞳を揺らしてこちらの様子を伺うないちゃん
人より多くのことを考えて、他人を最優先にするないちゃんにそこまで言ってもらえたことが嬉しくてないちゃんの両手を握って笑顔で答える
ほとけ♀
ほとけ♀
ないこ
ないこ
ほとけ♀
ぼくの肩に自身の頭を預けて目を瞑ったないちゃんを確認してからぼくも目を瞑る
そして少し前のことを思い出していた
回想
ぼくらが仲良くなったのは2年生に進級した頃
校舎裏でこっそり捨て猫のお世話をしていたところを生徒会長に就任したないちゃんに見つかったことが始まりだ
そこから2人で猫ちゃんのお世話をして仲良くなった
お互い気を許し始めた頃急にないちゃんがぼくの家に住ませて欲しいと懇願してきた
普段のないちゃんを知っていると只事じゃないってわかったし、ないちゃんが本当に申し訳なさそうにしてたから一つ返事で了承した
たまに帰ってくる兄は「これでほとけも寂しくないな」って寂しそうにそれでいて安心したように笑ってないちゃんを認めてくれた
一緒に暮らしていく中でなんとなくないちゃんの今までが垣間見えたこともあったけど深くは聞かなかった
その分ないちゃんを真綿で包むように大切にした
それは同情かもしれないし、家族同然となったないちゃんを手放したくないぼくのエゴかもしれないし、それ以外の気持ちからかもしれないが
いつしかそこにはないちゃんへの恋情を帯びていった
その想いを伝えるつもりはなかったけど、親友のしょうちゃんが「伝えなかったことを後悔する方が苦しい」って背中を押してくれたから3年に進級するときに告白をした
予想通りないちゃんはぼくの気持ちを受け取ってはくれなかったけどないちゃんの中に葛藤があったから「待つよ」って告げたんだ
待つことは辛いけど慣れっこだったから
そして高校卒業の一週間前、ないちゃんが駆け落ちして欲しいと言ってきた
ないちゃんなりの答えだったんだろう
だからぼくはついていくって言ったんだ、この先の人生をないちゃんに捧ぐ覚悟も添えて
そしてぼくらは通帳やパスポートなどの必要そうなものだけを持ってどこにいくかもわからない電車に乗り込んだ
ほとけ♀
数分おきに停まる電車のアナウンスは聞いたことのない地名で遠くに来たことを実感する
ほとけ♀
ぼくの肩にもたれるないちゃんの手をぎゅっと握ると同じようにないちゃんもぎゅっと握り返してくれた
ないこ
ほとけ♀
ないこ
そう言われて数時間前に一緒に卒業したしょうちゃんと保護者として来てくれた兄のいふくんを思い出す
ほとけ♀
ほとけ♀
ほとけ♀
ほとけ♀
ないこ
ほとけ♀
ぼくがそう言うとないちゃんはぼくの手をさらに強く握り、感情の読めない表情をしてぽつりぽつりと話し出した
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
そこで一息ついたないちゃんに思わず抱きつく
ないちゃんは何も悪くないのに大人のエゴに振り回されていたないちゃんを想うと哀しくて哀しくて…
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ほとけ♀
ないこ
ないこ
ほとけ♀
ないこ
ないこ
ないこ
ほとけ♀
ないこ
数年後
チーン
ほとけ♀
ないこ
ほとけ♀
ほとけ♀
ないこ
ほとけ♀
ないこ
あれからぼくたちはドイツのとある田舎で個人経営の学童をしている
これはぼくらみたいに寂しい思いをする子どもたちが少しでも減らせるように、とないちゃんと2人で相談した結果だ
大変なことも多いけどご近所さんに助けられてなんとかやってきている
ないこ
ほとけ♀
ないこ
ないこ
ほとけ♀
ないこ
ほとけ♀
ないちゃんは副業として作家をしている、なかなかに好評ならしくてなんなら小説一本で生活できるほど稼いでる
そして結婚して数年の今年、ないちゃんとの間に待望の第一子を妊娠した
順風満帆で幸せな毎日を過ごしている
この先、試練もたくさんあるだろう
けどなんだって乗り越えられる気がする、ないちゃんと一緒なら──
end