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薄暗い武器庫の中、沈黙が二人の間に落ちる。 真希が憂太の指をギュッと握り返した。その瞬間、時が止まったような錯覚に陥る。 真希:(……っ、何やってんだ、私……!) 真希は心臓の音がうるさくて、顔が火を噴きそうなほど熱い。離せと言ったのは自分なのに、指先が勝手に、縋るように彼の温もりを求めてしまった。 憂太:「……真希さん」 憂太の声が、いつもより低く響く。驚いたように目を見開いていた彼は、すぐにふわりと、でもどこか独占欲を感じさせるような、少し意地悪な笑みを浮かべた。 憂太:「……今、自分から握ってくれたよね…?」 真希:「っ、うるせぇ……! 気まぐれだ、指が勝手に動いただけだ……っ」 必死に言い訳をする真希。けれど憂太は、その細い指の隙間に、自分の指を深く、絡めるように滑り込ませた。 憂太:「気まぐれでも、僕はすごく嬉しいよ。……でも、もう離さないから」 「恋人繋ぎ」の形に固くロックされ、グイッと引き寄せられる。鼻先が触れそうなほど、二人の距離がゼロになる。 真希:「……っ、お前……調子、乗りすぎだろ……」 声が震えているのが自分でもわかる。いつもは呪具を振り回して誰よりも強いはずの真希が、今は憂太の体温に当てられて、動けなくなっていた。 憂太:「うん。真希さんが僕のこと、こんなに強く握ってくれるから。……僕の『特別』に、なってよ」 耳元で囁かれた言葉。真希はもう、言い返す言葉が見つからない。指先から伝わってくる熱が全身に溶け出して、頑固な意地をゆっくりと溶かしていく。 真希:「……勝手にしろ」 小さく呟いたその言葉は、真希なりの降参の合図。 廊下から誰かの足音が聞こえてきて二人が慌てて飛び退くまで、その指先は、誰にも邪魔できないほど固く結ばれたままだった。 (つづく)