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戻ってきた俺は、消えかけた自分の体を眺めながら、隣に浮かぶ小さな男の子の天使へと視線を向けた
ゆあんくん
天使
天使は何も答えず、ただどこか寂しげな瞳のまま、パチンと静かに指を鳴らした
景色が切り替わり、現れたのはどぬくの部屋
ベッドの上には、大きなマイクラの雪狐のぬいぐるみが置いてあった
それは生前、俺がUFOキャッチャーで取って「これは俺からのプレゼント!」とどぬくに渡したものだ
どぬくが何か悩んでいる時、いつも俺はこの部屋に突撃し、「狐アターック!」と言いながらぬいぐるみをぶつけて、彼を元気にさせていた
しかし今、どぬくは机に突っ伏して、声を押し殺してボロボロと大粒の涙を流している
それを見た俺は、腕の消えかけた体で、必死にその雪狐のぬいぐるみへと手を伸ばした
そして、神様から貰った『憑依の力』を使い、ぬいぐるみへと魂を移す
ゆあんくん
魂の力でふわりと浮いたぬいぐるみが、どぬくの体にぽすんと体当たりをした
しかし、それを見たどぬくは、さらに激しく涙を溢れさせてしまう
どぬく
どぬく
どぬく
どぬく
「幻覚なんかじゃない!」と伝えたくて、俺は必死にぬいぐるみを動かし続けた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
何度も、何度も体当たりを繰り返す
そのうちに、俺の瞳からも大粒の涙が溢れて床へ落ちていった
だけど、絶対にやめない
それを見かねた天使が、ふわりと俺の元へ駆け寄り、ぬいぐるみを抱きとめるようにして強引に憑依を解かせた
元の姿に戻り、ベッドの上に座り込んだ俺は、腕のない体のまま小さな膝を抱えて、三角座りでわんわんと泣き始める
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
泣きじゃくるわんぱくな幽霊
その姿を、小さな天使はただじっと見つめていた
いつもは生意気で、どこかドライだった天使の瞳が、今は見たこともないほど複雑に、そして切なそうに揺れている
天使
天使はぎゅっと小さな唇を噛み締め、彼を傷つけないために封印していたはずの力を、ついに自分自身の意思で解放した
その瞬間、どぬくの目の前に、俺のうすく、透き通った姿がぼんやりと浮かび上がった
どぬく
ゆあんくん
部屋の中に響いた、大好きな仲間の生の声
どぬくは椅子からから降り、その薄い姿に向かって必死に両腕を伸ばし、抱きしめにいった
――けれど、すり抜ける
抱きしめたはずの両手は、ただ空しく空気を掴むだけ
それでも、どぬくは彼の正面に立ち、涙をボロボロとこぼしながら、いつもの純粋な瞳で真っ直ぐに微笑みかけた
どぬく
どぬく
どぬく
どぬくのその力強い笑顔と言葉を聞き、俺は涙を流しながらも、安心したように、ひまわりのように眩しい、いつもの満面の笑みを浮かべた
ありがとう
その最大の感謝が伝わった瞬間
未練が晴れた代償として、俺の身体は、今度は胸のあたりまでサラサラと金色の粒子になって、これまで以上に大きく消え去っていく
それを見た天使は、もう何も言わなかった
ただ無言のまま、寂しそうに指を鳴らした
まばゆい光が俺を包み込み、ゆっくりとあの最初の暗闇へ、彼の体を優しく引き戻していく
「もう泣かない」と約束してくれた、大切な白い狐の笑顔を、その瞳にしっかりと焼き付けながら
169
お嬢
7
HISAKI𓃠
4
31