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静かな海岸。

僕の1番最初の記憶だ。

初めて僕が自我を持った日。

僕が初めて目覚めた日。

 

此処は、何処だろう。

辺りを見渡すとそこは海岸だった。

なんともいえない 、

言い表すことができない、

とても綺麗な海だ。

妙な静かさが僕を突き刺した。

そして再認識する。

 

僕だけか。

耳をすませば

波に乗って声が聞こえた。

僕は気が付いた。

 

人がいる。

 

でも一体何処に?

見渡しても人影はない。

過去の記憶を見ているように

耳に声だけが残る。

聞いたことのある声だ。

毎日毎日聞いてた。

あの懐かしい声。

 

北西の方からだ。

何処からか

不安が僕を襲った。

 

なんでだろう。

 

行っちゃいけない

 

行けない気がする。

忠告するように

違う声が僕の耳に残る。

でもそんなもの

僕には関係はなかった。

 

行こう。

僕は声を頼りに

人がいると思われる

場所へ

足を動かし始めた。

どれくらい時間が経ったろうか。

ここでは時間感覚が狂う。

何分か歩いたところで

僕はようやく人影を見つけた。

崖に2人。

 

なにやら口論してるようだった。

静寂の不安が

雑音の不安に変わった。

その瞬間だった。

なんともいえない

黒く渦を巻いた

不安が

波のように僕らを襲った。

苦しい

息ができない。

海の中

そうだ。

僕が2人に話しかけた瞬間

僕らは引き寄せられるように

崖から落ちた。

まるで裏切られたかのうような

激しい絶望の波だ。

嗚呼

でも

落ち着く。

今は

まだ

このままで。

どんどん落ちてく。

どんどん

深海に

堕ちていく。

どこまでも

沈んでいく。

足を沼に取られたように

身を任せて

沈む。

一生このままでもいーよ。

でも

ほんの少し

助けてほしいって

思うな。

俺は

もうどうでもよくなって

意識を手放した。

あわよくばあなたの深海に光を(完結済み)

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