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黄色い薔薇は咲かぬ日々 第27話
与根宮 桜子
初恋の子……にですか？
貴夾 寅彦
ああ。そうだ
貴夾 寅彦
小さい頃はその子しか見ていなかった。父と話す時でさえ…その子の事を考えて考えて、毎日を過ごしていた
貴夾 寅彦
でも……ある日を境にここには来なくなった
貴夾 寅彦
理由は……言えない、だが
貴夾 寅彦
俺が……あの子を傷つけてしまったんだ
与根宮 桜子
…………
貴夾 寅彦
……すまないこんな話をして
与根宮 桜子
……いいえ。構いませんわ
与根宮 桜子
わたくしは寅彦様がわたくしに過去の話をしていただけることを嬉しく思います
与根宮 桜子
……私には……聞くことしか取り柄がありませんから
貴夾 寅彦
………
貴夾 寅彦
…誰に言われたんだ？
与根宮 桜子
…？
貴夾 寅彦
｢聞くことしか取り柄がないから｣と、
貴夾 寅彦
誰に言われたんだ？
与根宮 桜子
………
与根宮 桜子
誰かに……言われたことではありません
与根宮 桜子
……わたくしは与根宮家の第一後継者でありながらも、聞くことしかできなかったんです
与根宮 桜子
言える言葉と言えば……相槌だけです
与根宮 桜子
ここに来てからは自分の意見を言わないといけなくなったので大丈夫ですよ
与根宮 桜子
でも……それも機会が与えられただけで、わたくしの取り柄が増えたわけじゃありません
与根宮 桜子
認めるしかないんです 聞くことしか取り柄がないことを
与根宮 桜子
だから……そこを伸ばそうと思って
与根宮 桜子
………ごめんなさいこんな話
貴夾 寅彦
……いや、俺もさっきそのような話をしたから大丈夫だ
貴夾 寅彦
……でも、今桜子が言ったことは間違っていると思うぞ
貴夾 寅彦
ひとつの取り柄を伸ばそうとする姿勢は人間としてすごく良い事だと思うが
貴夾 寅彦
君にはもっと他にも沢山の取り柄がある
貴夾 寅彦
使用人に対しての接し方、馨から全て聞いた
貴夾 寅彦
自分の身分が上にあるのにも関わらずいい意味で腰を低くし接するところ
貴夾 寅彦
ものの言い分も18歳とは思えないほど頭1つ抜けている
貴夾 寅彦
微笑み方も、
貴夾 寅彦
どこか安心させてくれるようなふんわりした笑顔も君の取り柄になる
貴夾 寅彦
桜子は数え切れないほどの取り柄を持っている
貴夾 寅彦
俺の妻なんだ。もっと自信を持て
与根宮 桜子
………ﾄﾞｸﾝ
────どこかで、聞いたことがあるような───
子供の時の桜子
彦さま彦さま
？？？
ん？
子供の時の桜子
わたしってどこかいいところがあるのかな？
？？？
………
？？？
何でそんなこと聞くんだ？
子供の時の桜子
うーん…
子供の時の桜子
わたしお父さんにいつも怒られてばっかりだからわるいところばっかりでたくさんなのかなって
子供の時の桜子
………そうやっておもっちゃうから
？？？
………
？？？
僕は桜子の全部がすきだよ
？？？
多分……大人になったら照れくさくなって言いにくいから今言っておくよ
子供の時の桜子
桜子のぜんぶがすきなの？
？？？
そう 全部
子供の時の桜子
変なの〜！わたしわるいところもいっぱいあるよ？
？？？
それもぜんぶ入れてすきなんだよ
？？？
というか、
？？？
桜子は僕の未来のお嫁さんなんだから、もっと自信もっていいんだよ
子供の時の桜子
………
貴夾 寅彦
……ら…こ……？
貴夾 寅彦
桜子？
与根宮 桜子
…………
貴夾 寅彦
もしかして……さっきの言葉で気を悪くしたのか？
貴夾 寅彦
すまない、褒めたつもりだったんだが……
与根宮 桜子
……いいえ、違う……の
与根宮 桜子
……寅彦様は……もしかして、……彦様……？
NEXT.♡200
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