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LINE681

第1話 - あ

2023年05月27日

#スカッと

#恋愛

田中俊樹

ヒデヒコ

おいナオミ～、いまどこ？

ヒデヒコ

せっかく結婚一カ月目のお祝いとして俺が奢ってやったのに

ヒデヒコ

どうして先に帰っちゃうわけ～

ナオミ

どうしてって、あんな最低な食事初めて！

ナオミ

私の料理が届いたらすぐに自分の所に持っていって食べるし

ナオミ

「一口ちょうだいとか言って全部平らげちゃうし」

ナオミ

大皿できた料理なんて、どんぶりみたいに持ちながら食べてたじゃない

ヒデヒコ

別にいいだろ

ヒデヒコ

お堅い場所ならともかく、居酒屋のコース料理なんだから

ヒデヒコ

個室だったんだし

ヒデヒコ

どう食べようが俺の自由じゃん

ナオミ

私、あそこで何食べたか覚えてる？

ヒデヒコ

え

ヒデヒコ

ご飯食べてたじゃん

ナオミ

白米しか食べてないの！！

ナオミ

他は全てあなたが食べちゃったから。

ナオミ

返してって言ったらグチャグチャにかき混ぜるし

ヒデヒコ

あー

ヒデヒコ

そうだっけ？

ナオミ

私がゆっくり味わって食べてると

ナオミ

「もういらないの？って何度も聞いてきて」

ナオミ

かっさうように私のおかず、奪ったよね！！

ヒデヒコ

こまかいなぁ…

ヒデヒコ

人がせっかくパチンコで勝ったお金でご馳走してやったのに

ナオミ

前から大食いではあったけど

ナオミ

私の分まで食べるってことはしなかったのに

ヒデヒコ

そりゃあ付き合ってる時はそれなりに気をつかってたんだよ

ヒデヒコ

でも結婚したんだし

ヒデヒコ

もう気をつかう理由ないかなーって

ヒデヒコ

これからずっと一緒に生活するんだしな

ナオミ

なんだか不安になってきた…

～一ヶ月後～

ナオミ

ちょっとヒデヒコ！

ナオミ

今家に帰って来たところなんだけど

ナオミ

あれはどういうことなの？

ヒデヒコ

あ、今帰り？

ヒデヒコ

早朝勤務お疲れ様～

ナオミ

おつかれーじゃないわよ！

ナオミ

仕事を終えてへとへとに帰って来たら、あのリビングとキッチンの散らかりようはなに？

ヒデヒコ

ごめんごめん

ヒデヒコ

夜中までお菓子食べながら映画見てたら眠く寝っちゃってさー

ヒデヒコ

帰ってきたら片付けるから、そのまんまにしといて

ナオミ

そんなこと言って片付けたことないじゃん！

ナオミ

というか、冷蔵庫や冷凍庫で保存しといた作り置きのおかずはどうしたの！？

ナオミ

温めたらすぐ食べられるものが全部なくなってるじゃない！

ヒデヒコ

あー…

ヒデヒコ

ごめん。食べちゃった☆

ナオミ

え？全部？数日分はあったのに…？

ヒデヒコ

ナオミの作った物があまりに美味しくてさ

ヒデヒコ

ご飯食べずにおかずだけ食べてたら、なくなってた

ナオミ

またなの！？これで何度目？？

ヒデヒコ

さあー何度目だっけ？

ヒデヒコ

数えてないからわからないや

ナオミ

あの日、昼と夜の御飯はちゃんと用意してったよね！？

ヒデヒコ

だってあれっぽっちの量じゃあ足りないんだもん

ヒデヒコ

昨日は俺休みだから、一日中映画見ててさ

ヒデヒコ

映画見てるとついつい何かつまみたくなるんだよねー

ナオミ

だからって作り置きしたものを全部食べることないじゃない…

ヒデヒコ

悪いな

ヒデヒコ

でもまた作ればいいだけの話だろ

ヒデヒコ

料理担当はナオミなんだし

ヒデヒコ

俺は食べる担当だからなーｗ

ナオミ

作ってもまた全部食べられるんじゃ意味ないじゃん

ナオミ

ヒデヒコが料理できないから私がやってるけど

ナオミ

こんなのってひどいよ…

ナオミ

今からヒデヒコが食べ散らかしたもの片付けて

ナオミ

自分のご飯作って、夜ごはんも作らないといけない

ヒデヒコ

家にご飯ないよーって伝えたかったんだけど

ヒデヒコ

伝えたらナオミが怒るだろうから言えなかったんだ

ヒデヒコ

まぁ謝ってるんだし、許してよ！

ナオミ

おかずの量が足りないなら

ナオミ

せめて足りない分はコンビニで購入したりさ

ナオミ

あの作り置きは私の分もあったんだよ…

ヒデヒコ

えー

ヒデヒコ

そしたらパチンコ行く金が少なくなるじゃん

ヒデヒコ

それにおかしくない？料理担当はナオミなのに。足りないから小遣いで買うって…。

ヒデヒコ

もっとナオミがおかずを作ればいいだけだろ

ナオミ

数日分のおかず作るのって、すごい手間なんだよ

ナオミ

独身時代は一体どうやってしのいでたのよ

ヒデヒコ

モヤシで料理をかさ増しして食べてた

ヒデヒコ

ナオミと結婚してからは、美味しい料理が腹いっぱい食べられるから俺幸せだよー

ナオミ

私は、不幸なんですけど

ナオミ

料理作るの楽しいし、作った料理を完食してくれるのは嬉しいけど

ナオミ

作り置きした分まで全部食べられるのは不愉快よ

ナオミ

非常食のインスタント食品やお菓子を買っても、全部食べちゃうし

ヒデヒコ

あると食べたくなるんだよ

ヒデヒコ

そういう性分なんだから、しょうがないだろ

ヒデヒコ

食べられたくないなら隠しとけば？

ナオミ

はあ…

ナオミ

そうだね、次からはそうするよ

～二ヶ月後～

ヒデヒコ

ナオミ！

ヒデヒコ

家におかずがないぞ！

ナオミ

作り置きしても、私がいない間に全部食べちゃうから作らない方がマシって気づいたの

ナオミ

朝、昼、晩はちゃんと作ってるでしょ

ヒデヒコ

そうだけど…

ヒデヒコ

でもなんか口が寂しくてさ…

ヒデヒコ

おかずストックしてないなら俺がいない時、お前は何を食べてるんだ？

ナオミ

そりゃあ自分の分だけ作って食べてるに決まってるじゃん

ヒデヒコ

そんなのずるいぞ！！自分だけ美味しいもん食うなんて！

ヒデヒコ

どうして俺の分まで作ろうって気持ちにはならないんだ！

ナオミ

はあ？

ナオミ

自分の分の料理を作って食べてるだけなのに

ナオミ

それがずるい…？？わけわからないんだけど。

ナオミ

あなただって会社でランチはするでしょ

ヒデヒコ

でも、小遣いが減るから腹いっぱいは食べられない

ヒデヒコ

ナオミだけ腹いっぱい食べてずるい

ナオミ

滅茶苦茶な言い分ね…

ナオミ

そんなにお金減るのがいやなら、そもそもパチンコ行くのをやめたら？

ヒデヒコ

旦那の唯一の楽しみを奪うって言うのか！この鬼嫁が！

ヒデヒコ

そうだ！

ヒデヒコ

これから弁当を作ってもらおう

ヒデヒコ

そうすれば俺の小遣いは減らないし、腹いっぱい食べられる

ナオミ

絶対にいや

ナオミ

お弁当のおかずをストックしてもどーせ全部食べられるだろうし

ナオミ

量が足りないとか文句いわれるんでしょ？

ヒデヒコ

料理はお前の担当なんだから、それぐらいやってくれよ！

ナオミ

いやよ

ナオミ

私もう、料理担当やめたいわ

ナオミ

限られたお金であなたの胃袋を満たす料理考えるのって疲れるのよ

ヒデヒコ

何言ってるんだ

ヒデヒコ

お前は料理が上手だから結婚してやったんだぞ

ヒデヒコ

料理を作らないなら結婚した意味がない

ヒデヒコ

離婚かな～

ナオミ

はあ？

ナオミ

それ本気で言ってるの！？

ヒデヒコ

本気で言ってる。

ヒデヒコ

お前が料理をしないって言うならしょうがない

ヒデヒコ

離婚することも視野にいれよう

ナオミ

あっきれた…

ナオミ

食に対して貪欲だとはおもってたけど…

ナオミ

そんなことまで言い出すとは思わなかった。

ヒデヒコ

それほど、俺にとっては重要なことなんだ

ナオミ

わかった

ヒデヒコ

わかってくれたか…！

ヒデヒコ

よかったよかった

ナオミ

それなら離婚しましょう

ヒデヒコ

へ？

ナオミ

離婚を受け入れるって言ってるの

ヒデヒコ

いいのか？

ヒデヒコ

本当に離婚することになるんだぞ

ナオミ

ええ

ナオミ

そうなっても仕方ないと思ってる

ナオミ

自分の言い分に従わなかったら離婚だって言いたいんでしょ？

ナオミ

その条件を飲んじゃったら、これから離婚を脅しになんでも言う事をきかせようとしてくるじゃん

ヒデヒコ

そんな、離婚を脅しに何て使わないよ

ヒデヒコ

ただこれは俺にとっても譲れないことで…

ナオミ

うん

ナオミ

私も疲れちゃったし

ナオミ

それで離婚になるならしょうがないかなって思ってる

ヒデヒコ

でも、これまで通り料理を作ってくれたら離婚しなくていいんだぞ？

ナオミ

料理を作ってもさ、ヒデヒコがバクバク食べて

ナオミ

私が少し食べようものなら

ナオミ

「食べ過ぎじゃない？太るよとか言ってきたり」

ナオミ

それを無視したら「すごい食欲って呟かれたりするの、すっごいストレスだったんだよね」

ヒデヒコ

実際その通りでしょ

ナオミ

食欲がすごいのはあなたの方でしょ。加えて思いやりもない

ナオミ

私もご飯食べるのは好きな方だったけど

ナオミ

ヒデヒコと結婚してから苦痛になったの

ヒデヒコ

俺のせいにするなよ！

ヒデヒコ

旦那が腹いっぱい食べる姿を見て、幸せ～とか思わないの？

ナオミ

付き合ってる時は、私に気遣ってくれてたからそう思ってた

ナオミ

でも結婚してからはちょっと…

ナオミ

これからも、一生こんな生活が続くのかって想像したら、無理！って思った

ヒデヒコ

そうか

ヒデヒコ

わかった

ヒデヒコ

ナオミが心を入れ替えてくれるのを期待していたけど

ヒデヒコ

そこまで言うのなら、今日の帰り離婚届をもらってくる

ナオミ

貰ってきてくれるんだ

ナオミ

助かる

ヒデヒコ

夕方まで時間があるからよーく考えろ

ヒデヒコ

俺はモテるし、お前じゃなくてもいいんだ

ヒデヒコ

態度次第なら謝罪を受け入れてやってもいいぞ

ナオミ

はいはい

ナオミ

わかったわかった

ナオミ

荷造りしながら待ってるから

ヒデヒコ

可愛げのない女だな！！！

～1年後～

ヒデヒコ

ナオミ、離婚してから半年経つがそっちはどうだ？

ナオミ

どうって言われても、普通に暮らしてるよ

ヒデヒコ

そうか

ヒデヒコ

なあナオミさえ良ければなんだけど

ヒデヒコ

俺達恋人同士からやり直さない？

ナオミ

え？

ナオミ

いきなりなに？

ヒデヒコ

いやー俺ってばすっかり胃袋をお前に掴まれちゃったみたいでさ

ヒデヒコ

ナオミの料理が恋しいの

ヒデヒコ

離婚した時、恋人同士の時は良かったっていってたしさ

ヒデヒコ

俺も昔みたいに気をつかうから…な？

ナオミ

仮にヒデヒコと恋人としてやり直すとして

ナオミ

その先に待っているものは何？

ナオミ

私は家族が欲しいんだけど…

ヒデヒコ

俺も家族が欲しい！

ヒデヒコ

できればナオミとの子供が欲しい…。

ヒデヒコ

子供が出来ていたら俺達あの時別れなかったのかな…

ナオミ

ちょっとやめてよ

ナオミ

ヒデヒコとの子供だなんて、想像しただけで鳥肌たってきた

ナオミ

それに子供がいようがいまいが、別れる時は別れるでしょ

ヒデヒコ

まぁそうかもしれないけど

ヒデヒコ

でもたまに想像しちゃうんだよ

ヒデヒコ

な、それで返事は？

ナオミ

ああ、恋人同士からやり直そうって話ね

ナオミ

絶対にいや！！！！

ヒデヒコ

いいだろー？

ヒデヒコ

1人で自炊してると中々大変でさ

ヒデヒコ

食費だってものすっごくかかるし

ナオミ

あなたってそこそこ味にうるさいものね

ヒデヒコ

そうなんだよな

ヒデヒコ

ナオミと暮らしてから舌が肥えちゃってさ

ヒデヒコ

今は食費だけで月２０万もかかっちゃうんだよ

ナオミ

え？

ナオミ

食費が20万！？やば

ナオミ

給料の半分以上が食費になってるじゃん

ナオミ

どうやって生活してるの？

ヒデヒコ

今月はどうしても生活できないから消費者金融でお金借りた

ナオミ

うわー

ナオミ

それじゃあ大好きなパチンコ行けないね…

ヒデヒコ

まあ…ほどほどにしてる

ナオミ

ほどほどにしてるって…

ナオミ

消費者金融にお金借りてるのにパチンコにも行ってるの！？

ヒデヒコ

ナオミと離婚してから自分に甘い生活になっちゃってさ

ヒデヒコ

でもナオミとまた一緒になったら、色々我慢できる気がするから！

ヒデヒコ

だから俺が少しでも大切だと思うなら復縁してくれ！

ナオミ

いやー無理でしょ

ナオミ

どうして私があなたのストッパーにならないといけないわけ？

ナオミ

しかも、またあんなストレスを抱える毎日に戻るなんてごめんよ

ナオミ

もうあなたには一ミリも大切と思う感情がないみたい

ヒデヒコ

そんな…！

ヒデヒコ

お前と別れてからストレスで体重もどんどん増えてるし…

ヒデヒコ

体の調子も良くないんだ

ナオミ

好きなものを好きなだけ食べてれば体重だって増えるわよ

ナオミ

体の調子が良くないのも、食べすぎが原因んじゃない？

ヒデヒコ

でも、お前と暮らしていた時はどんなに食べても、あんまり太らなかったぞ！

ナオミ

節約飯って安くすむし、ヘルシーなのよね

ナオミ

食べすぎるあなたの体を気遣って、栄養バランスとかも考えてたもの

ヒデヒコ

そんなことまでしてくれてたなんて…！！

ヒデヒコ

俺が悪かった！！

ヒデヒコ

ナオミ！俺とやりなおしてくれ！！

ナオミ

だからいやって何度も言ってるでしょ

ナオミ

もーめんどくさいし気持ち悪いからブロックさせてもらうわ

ヒデヒコ

ちょっと待ってくれナオミ！！！

ナオミ

さようなら～

～後日談～

ナオミ

あれからヒデヒコは借金をふくらませて、どうしようもなくなり両親に泣いて土下座をしたそうです。

ナオミ

両親はヒデヒコの借金を肩代わりする代わりに、知り合いの工場で働くことを条件としたそうで

ナオミ

今は借金返済のために昼夜一生懸命働いていると聞いています。

ナオミ

私は、しばらく独り身でしたが、友達に胃袋の大きさと味の好みが似ている人を紹介してもらい

ナオミ

今、付き合っている所です。今度は慎重に相手を見定めたいと思っています。

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田中俊樹

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第1話 - あ

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