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‐HexenWelt(ヘクセンウェルト)‐
1XXX年 春
この世には、人々に災いをもたらす悪とされる者達がいる。
それを人々は“魔女”と呼んでいた。
魔女は西洋から広まった言葉で、奴等は人間社会を脅かそうと、今も人の世に紛れて何か災いをもたらそうとしているのだろう。
───これは今から数十年前。
我々が住む、神の国“和国”にも魔女が逃げて世の中に忍び込んでいると、西洋の魔女狩りが朝廷に情報を提供した。
朝廷は国家存続の危機として、国家機関の一つに新たに退魔寮(たいまりょう)を設置した。
この退魔寮は、神仏の元で修行を詰んだ神職や巫女、僧等と兼業しながら退魔活動(魔女退治)を担当する、勅任退魔師が所属する部署である。
桜が咲き始めた穀雨の朝、奥羽より幼子の香久山 鈴音(かぐやまの りんね)が都へと旅立つ。
鈴音は神輿に乗せられ、白い衣を纏った人々がそれを担ぎながら歌って踊る。
神職
太鼓などの清らかな音が辺りに鳴り響きながら、都への旅路が始まった。
香久山 鈴音
鈴音は覚悟を決めていた。
香久山 鈴音
鈴音を乗せた神輿は、一歩一歩と都へと近づいていた。
本作品はフィクションです。
本作品は実在の地名、人物、団体、国家、宗教、神話、歴史等とは一切関係がございません。
酉暮並行世界 第1章 魔女編
それから5年が経ったある日のこと。
都近くのとある森
女の子
7歳くらいの女の子の悲鳴が鳴り響く。
旱
旱
旱
和国において、全ての魔女は人の心が捻じ曲がり、世の中の何かしらに恨みを持った、欲望の赴くままに行動する、調和の精神を捨て去った化け物とされる。
魔女は古代より人に危害を加える霊的なものと同一視され、人々が恐れている存在なのだ。
この反抗心によって生まれた魔女、旱(ひでり)もまた、自身の恨みを晴らすために、罪なき人々を見境なしに危害を加えているのだ。
女の子
そして魔女というのは、一度退魔師が殺し損ねてしまった場合、通称名が付けられる。
それは、次にその魔女と退魔師が鉢合わせた時に、その魔女の特徴を共通認識にして活かすためだった。
女の子を捉えらえている旱も通称名持ちであり、“猿の魔女”と呼ばれている。
旱
その時、旱は突然背後から炎で攻撃されたのだった。
住吉 和夏
旱
その拍子に旱は少女を掴んでいた手を離してしまった。
その隙に鈴音が女の子を助ける。
旱
しまった、と旱は焦る。
香久山 鈴音
女の子
鈴音が女の子を解放すると、女の子はその場から走り去っていった。
住吉 和夏
香久山 鈴音
ダダダダダダダッ!
森を疾走する足音が聞こえてくる。
旱
旱
旱は2人の退魔師から逃げていた。
彼女を追いかけていたのは、東西南北(きつさね)稲荷神社春宮に勤める巫女の鈴音と、同じく夏宮に勤める巫女の住吉 和夏(すみよしの わか)。
2人は副業として退魔寮に所属する、若手の退魔師だ。
鈴音は本日、退魔師の修行開始から丁度5年が経ち、初めての退魔活動である“初陣の儀”の真っ最中だ。
初陣の儀は、禊をした後にその儀を受ける退魔師と同世代の師範と共に魔女を最低1人狩る儀式である。
住吉 和夏
住吉 和夏
香久山 鈴音
鈴音は、呪符と呼ばれる札の一つを袂から取り出した。
香久山 鈴音
呪符には祓詞(はらえことば)という禊の時に唱えられる祝詞(のりと)が書いてあり、それを使って魔女の怨念を鎮める。
退魔師の戦い方は、まず呪符を使って自身の物理攻撃の威力を高めたり、魔女の力を封じてから、最後に物理的なやり方で手にかけるといった方法である。
旱
旱は驚いた。
突然四方八方に結界が現れ、逃げ道がなくなったのである。
旱
香久山 鈴音
鈴音は旱に針を投げつけた。
旱
鈴音の投げつけた針は、旱に致命傷を負わせた。
旱はかろうじて息をしているが、ピクリとも動かない。
住吉 和夏
香久山 鈴音
住吉 和夏
住吉 和夏
和夏は鈴音の修行をずっと監督してきた師範だったが、巫女としての様子は知らなかったので、とても驚いていた。
住吉 和夏
香久山 鈴音
香久山 鈴音
鈴音が頼み込む。すると、和夏は笑顔で答えた。
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
この和夏の言う勾玉は、退魔寮に所属する退魔師が所持する特殊な石である。
これは魔女の怨念を発光して報せる魔女発見機でもあり、同じものを持っている持ち主の位置を知ることができる和国の最古の歴史書にも登場する物凄い代物だ。
香久山 鈴音
香久山 鈴音
そう言って2人は分かれた。
旱
結界に閉じ込められた旱は、後は死を待つだけだった。
旱
旱
旱
旱は掠れた声を絞り出す。
ガサガサッ……。
旱
何かが近くにいる。
人か、獣か、それとも……。
この際どんな者だっていい。この場を切り抜ける何かなら。
???
???
旱
???
???
その何者かは旱に怪しげに微笑んだ。
一方、鈴音は少し離れた場所で妙な違和感を感じていた。
香久山 鈴音
香久山 鈴音
鈴音は目の前の空間に手を伸ばし、何かないかと確認した。
ビジジッ!
香久山 鈴音
香久山 鈴音
香久山 鈴音
香久山 鈴音
しばらくして、和夏がやって来た。
住吉 和夏
香久山 鈴音
香久山 鈴音
住吉 和夏
住吉 和夏
和夏が手を伸ばす。
ビジジッ!
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
香久山 鈴音
香久山 鈴音
香久山 鈴音
香久山 鈴音
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
香久山 鈴音
香久山 鈴音
住吉 和夏
住吉 和夏
住吉 和夏
香久山 鈴音
鈴音は結界の力を無理やり弱めた。
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世界観
我々が住む宇宙(UW)が生まれるよりも、ずっとずっと遥か昔に存在した並行世界の1つ。 舞台は地球の本州で、日本の領域の大半(北海道や沖縄等を除く)は和国という国が存在している。 時代を我々の世界で無理やり西暦に換算すると、11世紀〜19世紀くらいの文明レベル(振れ幅があるのは、辿ってきた歴史が異なるので、我々の歴史より進んだ技術と遅れた技術の両方があるため)。
退魔師
西洋から広まった魔女という邪悪な存在が和国にも広まり始めたので、国は退魔寮という国家機関を作り、主人公達はそれに所属した退魔師である。 退魔師は基本朝廷から命を受けてなる者が多く、その者達を勅任退魔師と言う。
魔女の起源
元々は古代から西洋で使われていた言葉。 中世になると、魔女は人々に害を加える悪人と考えられるようになり、魔女狩りという組織が生まれた。魔女狩りは今や世界各地に点在しており、和国にも支部がある。 元々和国に魔女はいなかっため、魔女と呼ばれた者は和国に逃げ込んできた。それを追いかけ、基教徒(魔女狩り)は和国にて警告する。“魔女は生かしてはならない”と。国は国家存続の危機とし、退魔寮を創って退魔師として魔女を殺すことを許した。 しかし、朝廷は宗教や歴史的観点で基教を公認できないので、非公式として魔女狩り組織の退魔活動を黙認している。 現在魔女は、和国が古来より恐れてきていた人々に害を加える霊的な類と同一視されている。
呪符
呪符とは、祓詞(はらえことば)が書いてある特別な紙。退魔師だけでなく、その他和国の呪術を取り扱う者達もそれを使い、邪悪で霊的なものを鎮める。しかし、退魔活動専門の呪符はそれに見合った者以外は取り扱いが困難な代物である。 そして呪符は主に、退魔活動において魔女を狩るための力の補いとして用いることがほとんどである。例えば、退魔師の物理攻撃の威力を高めたり、魔女の呪力を封じて倒しやすくする手段が基本である。
勾玉
勾玉は、退魔寮に所属する退魔師が所持する特殊な石で、魔女の呪力を感知すると発光する特殊な呪物。また、他に勾玉を持っている持ち主の位置を知ることができる優れ物。 ただし、あまりに何里も遠い場所となると、呪力や他の勾玉を検知できない。
キャラ紹介①
香久山 鈴音(かぐやまの りんね)
年齢は15歳。誕生日は3月20日。武器は三番叟鈴。 人のために行動する精神の謙虚で優しい人物。退魔師としては未熟だが、実力を上げるために日々努力をしている。 東西南北(きつさね)稲荷神社春宮に勤める巫女。 世の中に災厄をもたらすとされる、魔女を退治するために、10歳の頃に朝廷から任命され、都にやってきた退魔師。 出身は奥羽のどこか。 物心着く前に孤児状態になり、そこで幼馴染の家に住まわせてもらっていた。 和夏、恵狸香、吹雪は先輩退魔師。和夏は日頃から修行の指導や魔女退治をサポートくれるため、仲が良い。恵狸香とは気まずい仲。吹雪は恵狸香と一緒にいるため、仲が悪いわけではないが、現状はあまり関わらない。 本業の巫女職はプロ並だが、退魔師としては素質はあるが落ちこぼれ。
住吉 和夏(すみよしの わか)
年齢は16歳。誕生日は7月20日。武器はファイアトーチ。 全体的におっとりしているが好奇心旺盛なタイプで、変なものに興味があったりする変わり者の一面がある。外交的で協調性があり、裏表のない性格。 東西南北(きつさね)稲荷神社夏宮に勤める巫女。 世の中に災厄をもたらすとされる、魔女を退治するために、朝廷から任命された退魔師の1人。 出身は摂津だが、育ちは夏宮社家の家。 恵狸香とは魔女を退治するために修行してきた、昔馴染み。和夏と吹雪の母親同士が親友。 退魔師としては恵狸香の次にかなり優秀。本業の巫女としては普通の実力。 寿司(特に鯛)が大好物。