短編お話

雨の日

傘がないあなたは

どうしますか？

あなたの傘になりたい

こんなことを急に言われたら

こいつ頭おかしい(笑)

なんて思われるのだろう

でも、傘って物理的なものじゃない

心の…傘

あなたを見た時

なんでこんなにも

楽しそうなんだって思った

はしゃいでる時も

笑ってる時も

全ての顔を持つあなたを

好きと自覚したのは一瞬だった

そして…不意に見せたその顔

泣くでもなく笑うでもなく

ただ…俯いていた

元気なあなたにそんな一面が…

私は心の支えが必要だと

きっと…言葉という雨に濡れて

今頃凍えてしまっているのでは ないだろうか

濡れる前に

私があなたの傘にならないと

そう思っていたのに…

既にあなたには心の支え

傘を差し出してくれる人は

いたね

仲睦まじく寄り添う2人

私の入る場所はない

はっきりと現実を 突きつけられた

見てはいけない

会ってはいけない

もう…

あなたに恋は できない

帰り道

あーあ…

なんか…誤解されてる気がする

あの子、今日はより一層

落ち込んでいたなぁ

大学合わなかったりして

友達いるのかな

…心配だな

今一緒に帰ってたのは

幼なじみ

付き合ってるって噂されるけど

俺には好きな人がいるし

幼なじみには恋人がいる

だから、ただの友達

だけど、何度言っても

理解して貰えない

今日も笑顔を見たかったな

笑ったらどんな顔をするんだろう

俺は片想いに自信ない

あの子を笑顔にできるのは

自分しかいないとわかってる

なのに……

動けない

怖くて足も手も震える

大事な書類を取りに戻る

いつもは歩いて駅まで向かうのに

今日はツイてないな

ん？

笑い声？誰だろ？

え？あの子？

俺が想いを寄せるあの子が

友達と楽しそうに笑っている

え？

いつもは俯いて歩くのに

あんな姿……初めて

あの子の笑顔が忘れられない

なんだ…

傘…なれるじゃん

俺だって幸せにできる

あの子の傘になりたい

だけど…単純に

俺には勇気がない

名前…裕貴なんだけどな(笑)

心の支えはみんな必要

誰かが傘を必要としている時

他の誰かが自然と傘になる

友情でも恋愛でも

傘は成り立つ

きっとこの世の中にも

心の傘を持たない人はいて

言わないけど

心の傘になりたい人はいる

勇気は必要だけど

その分

相手の笑顔が返ってくる

今は好きって言わなくていい

ただ…あなたの傘になりたい (心の拠り所)