新月の夜の犯罪

注意⚠️ らだぺんのBLです 地雷さん純粋さんは倒立前転に挑戦！(( 人が亡くなる、可哀想な描写が続きます無理な方は自制してください 本人様とは関係ないです! nmnm注意!

欠伸をしながら忙しい朝から目を逸らす 何気なくつけたテレビから流れる声に耳を傾ける

朝には重たすぎるニュース内容に顔を顰める

厳密には俺じゃないが、確実に"俺"が殺した人の顔がニュースに載っている これには深ぁい理由がある

いっけなーい、遅刻遅刻☆ なんて馬鹿馬鹿しい言葉が浮かんで急ぎ足で家から出る

通学路を走りながら朝のニュースを思い返す

俺は二重人格者だ

普段は俺だが、 新月の夜だけ俺と"俺"が入れ替わるのだ

"俺"には加虐趣味があるらしく、入れ替わったらそこら辺の人を襲う 暴行、殺人…それこそいろいろな方法でいろいろな人を陥れていく

今日のニュースの人もそうだ、ぼんやりと覚えている顔だった 入れ替わりが終わった瞬間に、目に飛び込んできた怯えた顔の死体がこの人だった

最初に殺したのは誰だったか

確か小学2年の頃のいじめっ子だ 赤一色に染まった周りと、その真ん中に転がっているいじめっ子の死体

見た瞬間、思わず逃げてしまった

それ以来、新月が怖くて仕方なかった

そんな俺でも幸せは毎日感じている

それが彼、ぺいんと 俺の彼女でとてつもない癒し

…ぺいんとは"俺"のことを知らない

だから、知られたくない

傷つけたくない

殺人をしてるのは"俺"だから、俺はぺいんとのことを守れない せいぜい入れ替わり前にぺいんとの家から遠いところに逃げるくらいだ

なんて考えながらなんでもない雑談をするこの瞬間が1番幸せで、愛おしい

新月なんて来なければ、こんなに不安にはならないだろう

そんなに顔に出ていただろうか？ でも次の新月までには時間があるし、大丈夫だ

そう、そうだよ

大丈夫

だｲじｮ憂ﾌﾞ…？

こんなこともあったなぁ でももうだいぶ前の話だ 季節が変わり、景色が変わり、新月が訪れ、

"俺"も代わる

夜の見知らぬ路地裏は陽が落ちかけ、薄暗い

雪の降りやすい日本海側ではもう雪が降っていてもおかしくない気温だ

ナカかららっだぁに声をかけると、大きく溜め息をツいた

"俺"のターンだ やっと出れた、ソトの世界！サムいのも、イタいのも、今、"俺"がいるコトを示してくれる

マぁ、狙いはヒトリだもん、探さなきゃ

"俺"かららっだぁを奪ったヤツ 泥棒猫 らっだぁをウバうのがワルいんだから、コロされても、しょうがないよネ？アイツが、イケナイんだもの！

ぺいんと…ｯ

魅ｨツ蹴タ！

らっだぁ

お土産が出来たよ…♡

そんな声と共に意識と視界がハッキリしていく

いつも通り、赤一色に染められた景色

いつも通り、返り血でぐちゃぐちゃな手

いつも通り、生臭い臭い

いつも通り…

転がった死体

ぺいんとの身体を思いっきり揺らす もしかしたら、生きてるんじゃないかって、まだ助かるんじゃないかって、

でも、動いていない心臓、冷たい身体、息をしない口、開かない瞼…

現実を突きつけられただけだ

服が赤くなるのも気にせず、ぺいんとの身体をぎゅっと抱きしめる

目から溢れて止まらない涙

絶望

そして

ケツイ

そこら辺に落ちていたナイフを手に取ると、自分の心臓があるであろうところの前で止めた

声は聞こえないのに、やめろと叫んでいる気がする

ひとしきり叫んで、思いっきりナイフを突き刺す

痛い

でも、これで終わりなんだ

ぺいんとの横に倒れ込むと、そっと、ぺいんとを抱いた

眠気に逆らわず、瞼を閉じた

昇った太陽が、地球を照らす その小さな小さな一角の路地裏での陰で

1組の恋人が幸せを求めて眠っていた

つけっぱなしのテレビからニュースが流れる

孤ﾜいネｪ…？