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深刻な顔をした 医者から 告げられた 言葉は残酷だった。
R.
それをどこか 他人事のように捉えている 自分がいる。
別に りうらが死んだとこで なにか変わるわけではない。
恋人もいなければ 家族も居ない。
つまり、
誰もりうらの死を 悲しんでくれなどしないのだ。
でもそれが 悲しいなんて りうらは思わない。
だから どーでもいいんだ。
診察が終わり 暇になった俺は
病院の一角にある 窓から ぼーっと外を眺める。
もう命が限られているから、 あとは好きにしていいらしい。
だから 退院することも 出来るみたいなんだけど、
どーせ、外に出たってすることもなかったから、 入院し続けることにした。
R.
R.
そう、きっと……よかったんだ。
あれから何時間かが経った。
R.
R.
驚く程、はやく病院が飽きてしまった。
まぁ、退院したところで暇 だとは思うけど。
病院にいるよりは まだ、マシなはず……
N.
R.
ピンク色の髪の毛を 揺らしながら
元気よく 俺の病室に入ってきた 見知らぬ人。
N.
R.
R.
N.
そんな 俺の言葉に 彼は 一瞬、切ない笑みを浮かべた。
でもすぐに 先程までの 元気を取り戻す。
N.
そう言って、にかっ と笑った彼を
俺は 何故か知っている気がする。
桃side
N.
俺は 息を切らしながらも 病院のロビーを走り抜ける。
すれ違う人に 白い目を向けられても なお足を動かし続ける。
……わかってる
病院で 走ってはいけない ことくらい。
でも、そんなこと 気にしてる場合じゃないんだ。
俺は、先程かかってきた 一通の電話を 思い出す。
『 ないこさん……ッッ さっきほど、りうらさんの病状が悪化して、 今 緊急手術をしてますッッ 』
りうらは 俺のたったひとりの 大切な 恋人。
もともと 病弱だった 彼は 、 長年の 入院生活を 余儀なくさせられている。
だけど、ここ最近はだいぶ 体調がよかった。
N.
だけど だめ だったみたいだ。
それどころか 今まで以上に 病状が悪いらしい。
N.
さっきよりも 足をはやく 動かし 、 俺は りうらの専属医の元へと 向かった。
がらがらっ
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扉を開け 中に入ると、
悲痛な 面目をした 医者が こちらを見つめていた。
なぜか、すごく嫌な 予感がする。
N.
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そこで 医者の言葉が止まる。
言うのを躊躇っているようだ。
正直、聞きたくなかった。
でも 聞かなきゃいけない 気がした。
俺のたった一人の恋人と 向き合っていくために。
N.
.
.
N.
覚悟をきめてきた つもりだったが
衝撃が大きすぎて
医者の放った言葉が ぐるぐると頭を巡り
上手く 処理できない。
そんな俺に 構わず 医者はさらに言葉を繋ぐ。
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その先は 言われなくても 想像出来た。
嫌だ。嫌だ。
目の前が 真っ暗になっていく。
りうらには死んで欲しくない。
俺の、大切な人だから。
必死に頭を 動かす。
りうらが死なないために
なにかできること……
N.
ふっと頭に 浮かんだひとつの希望。
N.
.
N.
.
N.
そう。
みっともなくて いい。
無謀な策だったとしても いい。
何もしないより ずっと ずっといいから。
だから、最後まで足掻いていたいんだ。
俺の 大切な恋人のために。
りうらの 病室の前で立ち止まる 俺。
さっき、医者から言われたんだ。
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そこで途切れた 医者の言葉が
ずっと脳裏に浮かんで 離れない。
……怖い。
りうらに忘れられていることが。
N.
わかっていても やっぱり 怖い。
でも……
1番辛いのは りうら自身なはずだ。
だから受け入れなきゃ。
記憶が失われていても
りうらはりうらなんだから。
がらがら
N.
俺の声に反応して りうらが振り向いた。
その顔は 驚きと 困惑に満ちていた。
R.
N.
こてん と首をかしげるりうら。
R.
R.
R.
N.
やっぱり 忘れちゃったんだ……。
わかっていたのに、
覚悟決めてきたはずなのに
りうらがりうらじゃないみたいで 悲しくて
もう2度と 思い出して くれないのかなって
そう思うと 切なくて 苦しくて……
N.
涙が零れそうだった。
でも 泣いたって何も 変わらない。
だから、
N.
出来るだけ 元気な声で そういった。
今更かもしれないけど、 さっき 気がついたことがあるんだ。
りうらが 忘れてしまったなら
やり直せばいいじゃないか って。
何十回でも 何百回でも 何千回でも。
だから また一から……
りうらと 恋人になりたい。
リリン
リリン
リリン
リリン
リリン
コメント
24件
うわぁぁぁあ!もう一話目から最高です!
最高です!! めちゃくちゃ楽しみです!
こういう系の小説も大好きっ!🫶️💞 久しぶりのリリちゃんの小説でめっちゃ興奮してる笑 続き楽しみ~っ!