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春花は偉いわね~

うちの自慢の娘だよ

テストで100点をとったお姉ちゃん

コンクールで金賞をとったお姉ちゃん

体育祭で大活躍したお姉ちゃん

そして

そんなお姉ちゃんを褒める両親

生まれた時からいつも

家の中心には

お姉ちゃんがいて

じゃあ

私が家にいる意味は?

考えて 考えて

やっと出た1つの答え

それは

「飼っているセキセイインコの世話をすること」

だった

チチチチッ

チチチチッ

おい、唯花

その鳥なんとかならないか

そうよ

朝っぱらからうるさいったらありゃしない

唯花

………

5年前

大学生になったお姉ちゃんが出ていってから

この家は私にとって

更に居心地の悪いところとなった

唯花

(…鳥なんて何年も前から家にいるのに)

唯花!聞いてる?

唯花

…聞いてるよ

まったく…

なんでお前は春花と違うんだ…!

唯花

ごめん

唯花

もう朝ごはんいらないや

唯花

…行ってきます

学校

広美

あ、唯花おはよう!

唯花

おはよ

広美

ねね、今日転校生が来るらしいよ!

唯花

ふーん

広美

うわー、相変わらず塩だねぇ笑

広美

興味無いの?

唯花

別に

唯花

私にはミドリがいればいいから

広美

ミドリって…

広美

飼ってるインコだっけ?

唯花

うん

広美

珍しいよね

広美

唯花がそんなに夢中になるって

唯花

ミドリは、私の生きがいだから

広美

生きがい?
んな大袈裟な笑

唯花

…そうかな

大袈裟なんかじゃない、と思う

ミドリの世話をしている時だけは

あぁ、家にいる意味があるなって

そう、思えるから

ミドリの世話は

私の生きがい

私のしあわせ

私が家にいるたった1つの意味

それが、ミドリだから

ガラガラ

先生

今日転校してきた、白山君です

先生

白山君、自己紹介して

浩也

こんにちは、

浩也

白山浩也です

広美

…ねぇ、結構かっこよくない?

広美

あれ、唯花?

唯花

唯花

唯花

しらやま…ひろや…

唯花

…ひろ君?

浩也

浩也

唯ちゃん?

先生

なんだ、知り合いか?

浩也

はい

唯花

知り合い…です

先生

なら丁度いい

先生

白山、片瀬(唯花)の隣の席に

昼休み

広美

ねえ、ちょっと唯花

広美

白山君とどういう関係?

唯花

どういう関係って…

唯花

ひろ君は…

ひろ君は

幼稚園から小学校低学年まで ずっと一緒にいて

バイオリンの習い事も学校も同じで

ひろ君、

バイオリン、すっごく上手だった__

広美

ちょ、ちょ、ちょっと待って

唯花

なに?

広美

ごめん。唯花がバイオリン?

広美

まったく想像つかないんだけど

唯花

バイオリン、

唯花

お母さんとお父さんが、好きだったから…

広美

へー…

私が5才の頃

テレビに映るバイオリン奏者

流れるメロディ

上手ねえ~

凄いな…

唯花

……

バイオリンを見てる両親は

とても幸せそうで

この頃はまだ、

両親に好かれたいという思いが

あったのかも知れない

唯花

…おかあさん

唯花

ゆいかも、バイオリンやってみたい

唯花

今はもう、やってないけど

広美

ふーん、なんで辞めちゃったの?

唯花

お姉ちゃんが家を出ていってから、だから

唯花

…5年前

唯花

なんか、飽きちゃって

広美

ふーん。それでそれで?

それで…

ひろ君は皆の人気者で

こんな私とも一緒にいてくれる、優しい人

だけど突然

小学3年生のときに

どっか引っ越しちゃったみたい

広美

…で、今日再会したと

広美

そういうこと?

唯花

うん

広美

会えてよかったね

唯花

…ふふ、うん

ひろ君

もう、会えないと思ってた

素直に嬉しいよ

唯花

そういえば…
ひろ君、どこに居るんだろう

クラスメイト

あー、浩也君なら屋上だよ

唯花

…そう、ありがと

タッッ

屋上

唯花

ひろ君

浩也

っわ!

浩也

びっくりした、唯ちゃんか

浩也

いつから居たの?

唯花

ついさっき

浩也

ふーん、メシ食った?

唯花

うん

唯花

ねえ ひろ君

浩也

ん?

唯花

いつ此処に戻ってきたの?

浩也

うーん、1ヶ月くらい前かな

唯花

バイオリンは?やってる?

浩也

…いや。

浩也

辞めたんだ、っていうか

浩也

辞めさせられた

唯花

…そう

浩也

唯ちゃんは?

唯花

私は…

唯花

飽きたから辞めちゃった

そっか

もう聴けないんだ

ひろ君のバイオリン

浩也

……

唯花

……

不思議だな

ひろ君が隣にいる

この感じ、なんだか凄く

唯花

(落ちつく…)

カシャ

広美

えへ、お2人さん撮っちゃった~笑

唯花

広美…いつから居たの…

浩也

友達?

唯花

うん

広美

白山君、唯花のこと宜しくね

浩也

え、あ、
……はい

唯花

…何それ

広美

写真、今度あげるね?

唯花

いらないよ

広美

もー、塩なんだから

浩也

塩?

広美

そう、何に関しても無反応無関心

広美

だから塩。ね?

唯花

いいでしょ、別に

数日後

浩也

おはよ、唯ちゃん

唯花

おはよう

浩也

ねえ、カレー食べたくない?

唯花

…唐突だね

唯花

別に食べたくない

浩也

じゃあアイスは?

唯花

…ちょっと食べたいかな

唯花

ていうか、急になに?

浩也

ふっふっふっ

唯花

え…

唯花

(怖いんですけど)

唯花

………

浩也

はい、アイス

唯花

…ありがと

唯花

いいのかな、こんなことして

浩也

え?

唯花

私、学校サボったの初めて

浩也

はは、真面目だね

唯花

真面目っていうか…

唯花

サボる理由ないし

浩也

唯ちゃんは、学校楽しい?

唯花

うん

ひろ君がいれば

学校も

今も

楽しいよ

浩也

ねぇ、唯ちゃん

浩也

バイオリン、
飽きたから辞めたって嘘でしょ?

_あぁ

私の事、なんでも知ってる

この人に隠し事なんて

できないや

唯花

私、バイオリンやってた時は

唯花

いつも何かから解放されて

唯花

自由な感じがしてたの

浩也

うん

浩也

俺もだよ

浩也

…そろそろ帰る?

唯花

うん

唯花

…あ、

浩也

何?

唯花

きれい

目の前に

ハロウィンのイルミネーション

浩也

ホントだ

浩也

もうすぐハロウィンかぁ

浩也

それまでに金貯めなきゃなー

唯花

…そんなにバイトして

唯花

何か欲しいものでもあるの?

浩也

んー、自由?

浩也

とか言って笑

浩也

詩人っぽい?

唯花

…あはは

数日後

広美

あ、唯花~

広美

はい。この前の写真

唯花

いらないって言ったじゃん…

広美

でもでも、この唯花すっごい良い顔してるよ?

広美

いつもブスッとしてるのに

唯花

…それは

唯花

ひろ君と居ると、
許されている気がするから

唯花

だと思う

広美

ふぅん?

広美

私の前でもそんな顔しないのに

広美

なんか悔しいなー…なんて笑

広美

あ、あとさー

家にあったんだけど、と言いながら

なにやら雑誌を取りだす広美

広美

そうそう、このページ、

広美

顔も似てるし、名字も一緒なの

広美

この人、白山君のお兄さんかな?

唯花

…あーっ

海外で活躍する若きバイオリニスト

白山 拓也さん(26)にインタビュー

唯花

この人、ひろ君のお兄さんだよ

思い出す

「バイオリンは?やってる?」

「辞めたんだ、っていうか」

「辞めさせられた」

見捨てられたんだ

ひろ君は、お兄さんと違うからって

唯花

(私と、同じか…)

先生

出席とるぞー

先生

あれ、今日の休みは白山だけか?

唯花

(ひろ君…どうしたんだろ)

唯花

(サボりだったら、明日は来るかな)

でも

次の日も

その次の日も

ひろ君は来なかった

唯花

(ひろ君、今日も来ないのかな)

ひろ君がいないと

学校がつまらない

放課後

ピンポーン

唯花

(手紙届けに来たんだけど)

唯花

(まだ居ないのかな…?)

春也

誰?

唯花

!!
(びっくりした…)

唯花

これ、届けに来たんだけど…

唯花

お兄ちゃん、いるかな?

春也

お姉さん、ひろ兄ちゃんの友達?

唯花

うん

春也

兄ちゃんなら、当分帰ってこないよ

春也

よくあるんだよね

春也

ときどき家出するんだ、ひろ兄ちゃん

唯花

なんで……

春也

分かんない

春也

でも、ひろ兄ちゃんは多分

春也

この家が嫌いなんだと思う

唯花

…君も、バイオリンやってるの?

春也

うん

唯花

バイオリン、好き?

春也

…分かんない

春也

でも、いつか1番上の拓也兄ちゃんみたいになるんだ

春也

ひろ兄ちゃんの様にはならない

唯花

……そう…

春也

じゃあね

春也

手紙、ひろ兄ちゃんに渡しとくよ

バタンッ

唯花

……

…それからしばらく

私は歩くことができないまま

その場に突っ立っていた

唯花

…早く帰ろう

唯花

ただいまー

返事はない

唯花

ただいま、ミドリ

・・・・・・・・。

唯花

…ミドリ?

唯花

嘘…

唯花

(冷たくなってる)

唯花

(信じたくない信じたくない信じたくない…)

唯花

…っっ

唯花

うっうぅぅ…

泣いた

体中の水分を全部出しきるほどに

私は泣いた

いっぱい泣いて、

でも軽くなったのは

ミドリが居なくなった鳥籠だけ

唯花

ひろ君、たすけて…

唯花

会いたい…

ねぇ

私のしあわせは、どこにある?

翌日

唯花

(今日も、来ないんだろうな)

浩也

おはよ、唯ちゃん

唯花

!!

唯花

ひろ君…

唯花

ねえひろ君

浩也

ん?

唯花

よく家出するって、本当?

浩也

…本当だよ

唯花

どうして

浩也

家に居たくないから

浩也

唯ちゃんと一緒だよ

唯花

…一緒って。

唯花

全部知ってたの?

浩也

うん笑

浩也

あとさ、唯ちゃんに言いたいことがあって

唯花

…なに?

浩也

俺、3日後のハロウィンの日に家出する

唯花

なんでわざわざハロウィンなの?

浩也

うちの親、お菓子くれないからイタズラ笑

唯花

なにそれ笑

浩也

それで、

浩也

多分、帰らないと思う

唯花

っえ_

唯花

…嘘だ

その目は怖いくらいまっすぐで

嘘じゃないなんてわかってたはずなのに

浩也

本気だよ

その言葉を聞いてしまったら_

唯花

ねぇひろ君

唯花

飼ってる鳥が死んだの

浩也

急になにを…

唯花

ミドリって言ってね、

唯花

きれいで可愛い鳥だった

唯花

でもそのミドリがいなくなって、

唯花

私はあの家に居る意味が無くなった気がするの

浩也

………

唯花

私、家事とか得意な方だし

唯花

貯金だって結構ある

唯花

だから、

唯花

私も一緒につれてって。

数秒の沈黙

私にはそれが

10分にも20分にも感じられた

浩也

…ダメ。

唯花

……っ

唯花

だよね…

浩也

っていうのは嘘で

唯花

!?

浩也

いいよ

浩也

一緒に行こう

そしてハロウィン

家出当日

浩也

あ、ねぇねぇ

広美

私?

浩也

そうそう

浩也

これ、明日、唯ちゃんに渡してくれないかな

広美

何これ、手紙…?

広美

あ、ラブレター?笑

浩也

ははは

広美

こういうのは直接渡した方がいいと思うけどね~

広美

それに今日じゃなくて明日って…

浩也

いいからいいから、宜しくね

広美

まあ…、分かったけど

唯花

(おかしいな…ひろ君がいない)

広美

あっ、唯花~

広美

おはよー

唯花

広美…

唯花

ねぇ、何持ってるの?

広美

え?あ…

広美

な、何でもないよ!

唯花

…嘘つかないで。見せて

広美

やだ、白山君に怒られちゃうもん

唯花

ひろ君?

広美

うん、明日渡すよ

唯花

明日…

唯花

お願い、今すぐ渡して

広美

え、でも…

唯花

明日じゃ間に合わないかもしれないの!

広美

広美

……うん。分かった

ガサガサ

唯ちゃんへ やっぱり唯ちゃんのことは連れてけない。 唯ちゃんはきっと幸せになれるよ。約束破ってごめん。

唯花

やっぱり…

広美

な、なんて書いてあったの?

唯花

…広美

広美

ん?

多分、もうここには戻ってこないから

だから広美

唯花

ありがとう
…大好き。

唯花

はぁっはぁっ_

ひろ君__!!

お願い、間に合って…

唯花

(着いた)

○△駅

唯花

…ひろ君っっ!

浩也

唯ちゃん?

浩也

なんでここに…

唯花

私の…

唯花

私のしあわせを、勝手に決めないで!!

浩也

……

浩也

ごめん、でも

唯花

……

浩也

…今は気づいてないだけで、

浩也

唯ちゃんが、唯ちゃんの家にいる意味は、きっとあるよ

唯花

…意味が

意味があるとか

意味がないとか

そんなのはもう どうでも良いの

唯花

私……

唯花

お母さんもお父さんも、嫌いじゃないの

唯花

家に居づらい時もあるけど…嫌いじゃないの

唯花

でも、

…ねぇひろ君

こんな、塩の私でも

今日だけは、 ハロウィンの魔法にかかってみてもいいかな…

唯花

ひろ君と、一緒にいたいの

唯花

ひろ君が、好きなの…

浩也

……

唯花

それじゃあ、駄目?

ギュ…

唯花

え?

唯花

(私、抱きしめられて…)

浩也

…一緒に行く?

唯花

…!

唯花

うん…

ガタンゴトン

ガタンゴトン

この列車は

どこに向かって走ってるんだろう

唯花

ひろ君、どこに行くの?

浩也

え?決めてないけど。

唯花

は?

浩也

家出ってそんなもんだよ笑

浩也

とりあえず、このまま行ける所まで行ってみない?

唯花

……

浩也

それとも怖い?

唯花

…大丈夫

唯花

私は私を信頼してるから

浩也

俺じゃなくて?

唯花

うん

浩也

自分なんだ?

唯花

うん

浩也

ははっ

浩也

そっか、唯ちゃんがいたら心強いよ

唯花

…ふふ、うん

…進め

たとえ行き先がきまってなくても

進むんだ

私のしあわせを見つけるために…。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

32

ユーザー

初コメです いい話ですね 次の話も期待してます

ユーザー

めっちゃドキドキ、感動しました!😭

ユーザー

わぉ!凄い、話!

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