任 務 先 で も 愛 さ れ た

1日目の練習も 前半が終了し、

今は昼食後の 自由時間となっていた。

校舎の中を歩いてみる。

しばらく宮城にいたからか、

東京の高校の 呪いの数に少し驚いた。

無数の呪いの中、 一際大きな気配を感じて、

ゾッと背筋が凍る。

私はその気配がする方へ 足を伸ばした。

私と目が合った途端に 襲いかかってくる呪霊。

帳も下ろしてないし 人目に付くのは困る。

飛びかかる呪霊を 避けずに迎えて、

私は手のひらで 呪霊の体に触れた。

辺りが淡い光に包まれて、

私の体に呪霊が "染み込んでいく"。

目眩と吐き気で その場に座り込んでしまう。

…やっぱりまだ この術式を使うのは慣れない。

と、後ろから 駆けつけてきてくれたのは、

音駒高校の主将。 たしか名前は…。

黒尾さんの手を借りるけど 足に力が入らない。

私に背を向けるように しゃがむ黒尾さん。

急かされて、 私は渋々黒尾さんの背に乗った。

閉封呪法(へいふうじゅほう) 呪いを自身の体に閉じ込め、少しづつ浄化する術式。発動条件は触れること。浄化中は頭痛、胃痛、吐き気、目眩など体調不良が伴う。