「ねぇ、何撮ってるの~?」
微笑みながらカメラを覗く仕草をする君。
「なんでもないよ。」
僕はそう答えた、
でもその後、たった一言、口にした。
「僕にとって価値のあるものを撮っているんだ。」
「え~何それ~」
そう言って、僕たちはまた歩き始めた。
だが、こういった幸せは長くは続かなかった。
翌月、彼女は死んだ。
どうやら、居眠り運転をしていたトラックに轢かれ、即死だったそうだ。
僕は神様を憎んだ。
「どうして、僕から大切な人を奪ったんだ…、」
この世界は不平等だ、
「今まで、ありがとう。」
彼女の両親からそう言われた。
僕はただ会釈をするしかなかった。
彼女の遺影なんか見たくなかった。
彼女が死んだと思いたくなかった。
自然と涙が溢れてきた。
ボロボロと大粒の涙が、止まらなかった。
彼女の葬式は、僕にとって価値のあるものを撮った日と 同じような晴天の日だった、
僕はただ1つ、彼女の棺の中に入れた。
ペアリングでもない、彼女の物でもない。
僕の撮った写真を1枚入れた。
その写真では、にこやかに笑う君が写っていた。
「空に行っても、忘れないでくれよ。僕を見ててくれ…」
彼女が笑った気がした。
彼女の棺の中には、大切な想い出が詰まっていた。
コメント
13件
ゆずを神以外なんて言えばいいの?
素敵です(TT)
最後ほんとすこ😿🙌