日夏
姉も誰もいない家で迎える少しばかり寂しい朝を告げ
カーテンの隙間から差し込む眩しい光とスマホからなるアラームが同時に押し寄せてくる
そして肌寒くなってきた秋の一日が始まろうとしている六本木のどこかに住む星月日夏は高校1年生である
ひとつ上の姉、星月夜冬は彼氏の家で寝泊まりしている
母親は日夏が生まれてすぐに他界し、父親は2人を置いてどこかに消えてしまった
そんな中、唯一日夏のそばにいたのが姉の夜冬だった
二人で親のいない子供たちが住む寮にいた
しかしそんなところに十数年いたためか姉は彼氏の家で過ごし、帰ってくるのは1ヶ月に1度だった
日夏だって寮ですごしたくない
それにファンの眼差しというのだってある
日夏は現役アイドル『ⅱchika』として活動しているのだ
『ⅱchika』のファンの数は数百万人にも及ぶほどだ
日夏
防犯のためこのようなことをしている日夏は学校のこと、仕事のこと、寮のことで疲労が溜まっていた
学校ではほとんど保健室にいることが多い
なぜならいじめが起きているからだ
保健室で勉強して、弁当を食べて、本を読んで帰る……これが日夏の学校生活なのだ
保健委員というのもあり、怪我人の手当てをするなどといったことも日夏の日課なのだ
日夏
スケジュールを確認しつつ学校に向かう
光がない青い瞳はどことなく寂しそうだった
そして今日も昨日や一昨日と同じ生活が始まろうとしていた
いつもの保健室、いつもの弁当、いつもの怪我の手当て…
4時を回った頃、日夏は本を読んだり、外を見たりを繰り替えてしていた
すると1人の男子生徒が保健室に来た
顔面にはくっきりあるアザが数カ所、血が出ているところも数カ所あった
日夏
恐る恐る聞くが返事はない
と思った瞬間、男子生徒は倒れた
日夏
男子生徒を先生がベッドに乗せ、日夏は手当てをしていた
日夏
日夏
手紙を書き終えた頃、マネージャーが到着したため、日夏はライブ会場に向かった