しーんと、静まり返った部屋に
響くのは、シャーペンを紙に走らせる
無機質な音
時刻はすでに2時を回っている
L.
L.
止まらなく出続ける咳のせいで、少し息苦しさを感じる
それに目眩せいでぐらぐらと視界がまわり
ペンを持つ手が揺れ、文字が歪む
それでも、止まらずペンを走らせ続けるのは
明日、テストがあるから
りうらは完璧にならないといけないから
L.
でも頭痛もしてきて、さすがに一度ペンを止めた
静まり返った部屋で
ふっと昨日の記憶が蘇ってきた
m.
L.
昨日、そう言ってお母さんを抱きしめた
お母さんもりうらを抱きしめ返す
でもそこに普通の親子のような暖かさはなく
お母さんはりうらを絶対に離さないと言わんばかりに
強く抱きしめてくる
途中、お母さんの指がりうらの腕にくい込んできて
とても痛かったけど、
痛いとか、やめてなんて言ったら
絶対にお母さんは
やっぱり、りうらは私を愛してないんだ
とか言って、泣きわめくに違いない
だから、されるがままになっていた
m.
お母さんがそう言って
りうらを抱きしめる手を離す
L.
まだ痛む腕をそっと擦りながら
りうらはお母さんの後ろについて家まで帰った
m.
家に入ってすぐに
お母さんがそう言って食卓にご飯を並べる
L.
普段、ご飯を作らないお母さんが
ご飯を作ったということは
今日はとても機嫌が良かったということだ
もしかしたら、今日は殴られないかも
そんな僅かな希望が浮かんできた
L.
お母さんの久しぶりの手料理は、美味しかった
m.
不意にお母さんがりうらに話しかける
L.
L.
お母さんの機嫌を損ねないように
当たり障りのない話題を話す
お母さんはそんな、りうらの話を笑顔で
頷きながら聞いてくれている
普段はそんなことしてくれないから、嬉しくて
りうらは少し気持ちが浮かれてしまったみたい
普段は話さないようなことも言ってしまった
L.
m.
m.
急に、そう無言で圧をかけてくるお母さん
L.
テストのことが伝わってしまった以上
満点を取らなければどうなるか分からない
L.
m.
m.
L.
だから、りうらは勉強し続けなければいけない
熱くなった体とぐらぐらと揺れる視界
熱がある、そんなことはわかりきっていた
でも、それに気が付かない振りをして
シャーペンを走らせる
L.
頭が痛くて、呻くような声が微かに漏れた
L.
L.
ここまで勉強すれば、満点撮れるよね...?
少しくらい寝てもお母さんにバレない、よね?
大丈夫、だよね?
大丈夫な...はず、そう信じて
ベットに行き、目を閉じた
これがいつまでも忘れることが
出来ない事件の始まりであった。
リリン
リリン
リリン
リリン
リリン
𝐧𝐞𝐱𝐭…♡800
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