興味が好意に変わったのは
案外早かった
好きだと自覚した今
今までのように自ら絡みに行くのも
躊躇われる
どうしたものかと悩んだ末
俺らしくないが
距離を置いてみる事にした
一緒に食べる事を急に辞めるのは
流石に不自然過ぎる
だから俺は
虎杖
愚兄に引っ付いた
昔はこれが日常だったが
最近はその対象が変わった為
不貞腐れている事もあったし
調度良いのではと思った
誤魔化せそうでもある
宿儺
虎杖
虎杖
普段の俺ならば
その顔面に唾を吐く所だ
宿儺
鈍感な此奴には
俺の考えなど理解出来ないだろう
伏黒
伏黒
そう言った伏黒は
虎杖と宿儺を置いて
足速に帰った
宿儺
あんな様子の伏黒は
見た事がない
気分でも悪いのだろうか
それは良くない
だが
今は避ける事に専念せねば
虎杖
虎杖
その発言をした相手に驚いた
分かってたのか
宿儺
虎杖
虎杖
理解が出来なかった
何故俺が話しかけず絡まずにいて
不機嫌なのかと
鬱陶しそうに対応している奴が
そんな事を思うはずがない
愚兄は間抜けだ
虎杖
宿儺
その時の虎杖の顔は
呆れた
と言わんばかりで
虎杖
宿儺
俺も伏黒と同様
愚兄一人を残し足速に帰った
どうなっても知らねえよ
何がどうなるんだ
お前が案ずる様な事は起きない
そう
何も起きないんだ
あの日から一週間が過ぎた
勿論俺は毎日避け続け
目すら合わせなかった
流石に気付くだろうか
そう思いながら今日も避ける
一度話しかけてこようとしたが
俺が愚兄の所に向かったのを見て
諦めていた
こうして1ヶ月2ヶ月と
過ぎていけば
この好意だって
消えるかもしれない
だから安心していろ
伏黒恵
虎杖
虎杖
は?
成績に文句は言わんと言われたばかりだが
虎杖
行かなかったら行かなかったで後々面倒な事を知ってる俺は
二度頷いて眠った
下らん用事なら直ぐに帰ってやる
その日の放課後
宿儺は言われた通り空き教室に向かった
が
そこに居たのは驚きの人物
宿儺
嫌な予感がする
早く此処を出なければ
そう思い背後を見せた
俺の負けだった
宿儺
伏黒
案の定ドアに押付けられた俺は
此奴の質問に答えるしかない
宿儺
宿儺
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
言葉が出ない
違う
俺は
お前に向けた好意を消そうとして
お前の為に
避けていたのに
伏黒
宿儺
その時伏黒の表情が曇る
いや
曇ったんじゃない
不機嫌になったんだ
怒った時の顔
俺が
よく
知ってる顔
伏黒
伏黒
なんだ
そうか
この一週間の努力は全て
無駄だった訳だ
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
そうして心臓の上に
俺の手を導く
どくどく
鼓動が早い
ああ
お前は
俺が
伏黒
少し頬を赤らめて
怒った時の顔をする
好きだと思った
声が
その手が
目が
表情が
宿儺
俺の言葉により顔の赤みが増した事実も
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
宿儺
宿儺
宿儺
伏黒
両手首を握る掌に力が込められる
跡になってしまう
それすら嬉しい
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
伏黒
熱い
身体も目頭も
感情が溢れてしまう
魅せ過ぎだ
伏黒恵
宿儺
宿儺
宿儺
宿儺
伏黒
照れ臭そうな笑みに微笑む
愛しいと
嬉しいと
そればかり思う
伏黒
宿儺
夕日の射す放課後の教室で
二人は口付けを交わした
コメント
1件
おはなしのかきたかが好きすぎる。†┏┛墓┗┓†