菊
兄さん
鈴蘭
んー?
菊
隣座っても良い?
鈴蘭
全然良いよぉ〜
菊
うん、ありがとう
菊
(そう言って僕は兄さんの隣に座る
菊
こんな風になったのはいつからだろう
菊
そもそも
菊
僕と兄さんはそんなに話す方じゃない
菊
だけど兄弟の中で
菊
一番一緒にいる時間が長いと思う
菊
いつからだったっけ
菊
あぁそうだ
菊
僕が幼稚園の頃だった
菊
あの頃の僕は人見知りが凄かったと思う
菊
いつものように幼稚園で
菊
誰とも話せず孤立していた僕は
菊
家に帰ると泣いていた
菊
兄弟に心配をかけたくなくて一人で泣いていたのに
菊
兄さんにはいつもバレてしまう
菊
でも兄さんは理由を聞いたりはしない
菊
僕が好きな絵本を持って
菊
僕の側に座り
菊
読んでくれる
菊
それだけで僕は泣き止んだし
菊
心も軽くなった
菊
そんな僕を見て
菊
兄さんは微笑んで
菊
まだ絵本はあるから一緒に読もうと
菊
手を引いてくれる
菊
それから
菊
こんな事が続き
菊
兄さんは何も用事がない時も
菊
僕の側にいてくれた
菊
僕はそれを見て
菊
本当はやりたい事もあるはずなのに
菊
と、思っていた
菊
ある時
菊
僕は兄さんに言った
菊
僕に構わないで、兄さんも好きな事をやっていい
菊
兄さんの時間を奪って申し訳ないと
菊
僕は兄さんに言った
菊
すると
菊
兄さんは最初は驚いた顔をしていたが
菊
またあの時と同じように微笑んで
鈴蘭
僕にとってお前の側にいる事が好きな事なんだよ
鈴蘭
それに、僕が側にいないと悲しそうな顔をするから
鈴蘭
お前は笑顔がよく似合うよ
鈴蘭
だから笑ってほしいんだよ
菊
僕はそれを聞いた時
菊
とても驚いた
菊
兄さんが居ない時そんな顔をしていたとは知らなかったからだ
菊
そしてその時
菊
僕にはこの人がいないとダメなんだと知った
菊
でも、それを知った時
菊
不思議と嬉しくなった
菊
それから僕は
菊
兄さんと過ごすのが増えた
菊
時には自分から兄さんの元へいった
菊
笑う事も増えた気がする
菊
それも兄さんのおかげだ
菊
ふと
菊
兄さんを見てみると
菊
僕の視線に気付いたのか
菊
こちらを見て微笑んだ
菊
あぁ
菊
やはり僕には
菊
貴方がいないと
菊
ダメみたいです)
泣かないで
鈴蘭
彼が一人で泣いているのを見るたび思った
鈴蘭
彼はいつも泣いていた
鈴蘭
幼稚園での人付き合いが上手く行ってないのだろう
鈴蘭
一人泣いている彼をみると
鈴蘭
いつも胸がチクチクしていた
鈴蘭
笑った顔が似合うのに
鈴蘭
そう思ったのが始まりだったのかもしれない
鈴蘭
それから
鈴蘭
彼が一人で泣いているのをみると
鈴蘭
必ず絵本を持って
鈴蘭
側に座り
鈴蘭
読んでやった
鈴蘭
彼自身なんで泣いているのか聞かれるのが嫌だったのか
鈴蘭
僕が何も言わずに読み始めるとどこか安心した様子だった
鈴蘭
そうやって続けるいると
鈴蘭
不思議と近くにいたくなるものだ
鈴蘭
いつも彼の側にいるようになった
鈴蘭
ある日彼が
鈴蘭
僕に向けてこう言った
菊
僕に構わないで、兄さんも好きな事をやって良い
菊
兄さんの時間を奪って申し訳ない
鈴蘭
それを言われた時
鈴蘭
とてもびっくりしたし
鈴蘭
同時に
鈴蘭
何、馬鹿な事言ってるんだ
鈴蘭
と、思った
鈴蘭
まったく
鈴蘭
この子は自分に嘘をつきすぎている
菊
構わないで
鈴蘭
なんて言った癖に
鈴蘭
その顔はとても悲しそうだ
鈴蘭
彼は知らないかもしれないが
鈴蘭
僕が側にいない時
鈴蘭
いっつもその顔をする
鈴蘭
笑ってほしい
鈴蘭
何故だか僕はそう思った
鈴蘭
だから言ってやったのさ
鈴蘭
お前の側にいる事が好きな事だ
鈴蘭
僕が側にいない時いつも悲しそうな顔をする
鈴蘭
お前は笑ってる顔が似合うから
鈴蘭
笑っていてほしいと
鈴蘭
その瞬間
鈴蘭
彼はびっくりした顔をして
鈴蘭
小さく微笑んだ
鈴蘭
それから、彼は僕が来るのを待っていたし
鈴蘭
時には自分から僕の側に来ていた
鈴蘭
前よりも笑ってる
鈴蘭
僕はその顔が好きだ
鈴蘭
この子が笑っているのを見るために産まれてきたようなものだ
鈴蘭
ふと、意識を戻すと
鈴蘭
弟の方から視線を感じる
鈴蘭
そちらに目をやると
鈴蘭
弟の目が僕を見つめていた
鈴蘭
少し笑っているのだろうか
鈴蘭
目元が緩んでる
鈴蘭
それを見て僕も微笑み返す
鈴蘭
あぁ
鈴蘭
やっぱり僕には
鈴蘭
この子がいないと
鈴蘭
ダメみたいだ
どうか
菊
(貴方の)
鈴蘭
(この子の)
行く道に
幸福が訪れますように