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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

泉鏡花

あれから、どのくらい経った?

鏡花は鏡に向かってそう問う。

ふと目の下を見やると、

クマに囲まれており、

まるでパンダみたいだ。

泉鏡花

そんな冗談……

ふっと笑ってみせるが、心は笑えなかった。

あの日から、

敦が消えたあの日から

鏡花の心には光が消え、

ぽっかりと大きな穴が空いてしまった。

それは敦しか埋めることのできない穴だった。

泉鏡花

……待っててね。

泉鏡花

今度は私が、あなたを救いに行くから。

拳を握る力が強くなった。

アツシ・ドストエフスキー

フェージャ、フェージャ!

アツシは勢いよく部屋の扉を開け、

嬉しそうに腕をぶんぶん振り回す。

その様子をドストエフスキーは微笑む。

フョードル・ドストエフスキー

アツシ。どうしたんですか?

アツシ・ドストエフスキー

実はね、今、ロシア語を勉強しててね。

アツシ・ドストエフスキー

わからない文法があるから教えてほしくて!

フョードル・ドストエフスキー

勉強熱心ですねえ。

アツシ・ドストエフスキー

フェージャの故郷だもん。

アツシ・ドストエフスキー

そりゃあ、勉強熱心にもなるよ〜

そんなアツシの甘い言葉に心が揺れ動かされる。

高く鼓動が鳴って仕方がない。

ああ、やっぱり好きだ。“ずっと”。

フョードル・ドストエフスキー

あなたは、かわいいことしか言わないのですね。

アツシ・ドストエフスキー

かっこいいことも言ったほうがいい?

フョードル・ドストエフスキー

いえ。そのままで結構です

フョードル・ドストエフスキー

……僕にだけ、見せてくれればそれでいいんです……

アツシ・ドストエフスキー

変なフェージャー!

あれからいくつものの時が経っただろうか。

早、半年弱?

こうしてみると、あの探偵社も大したことはない。

今、“ドストエフスキー”がいるところですらも特定できないなんて。

シグマ

勉強熱心なのはいいことだが、

シグマ

くれぐれも無理はしてくれるなよ

と、シグマがアツシの頭を軽くこつく。

アツシ・ドストエフスキー

それは……何も申し上げられません……

フョードル・ドストエフスキー

いいじゃないですか。

フョードル・ドストエフスキー

夢中になれることがあって。

シグマ

その夢中になれることのせいで、

シグマ

アツシが僕に構ってくれない……なんて

シグマ

泣きついてきたのはどこのどいつだ

アツシ・ドストエフスキー

ええ! そうなの?!

フョードル・ドストエフスキー

……嘘を流すのはやめなさい、三歳児

シグマ

ニコライも見てたよ。

シグマ

な、ニコライ?

シグマの後ろからニコライが顔を覗かせる。

ニコライ・ゴーゴリ

イヤー? ドスクンハ、ソンナコトシナイヨー?

シグマ

棒読みだぞ、棒読み

アツシ・ドストエフスキー

フェージャ、可愛い……

フョードル・ドストエフスキー

たしかに僕はアツシに構ってほしくて泣きました

シグマ

本当にこいつ嫌だ……

バタン、と扉が閉まる音がする。

泉鏡花

……おかえりなさい。

国木田独歩

ああ……

泉鏡花

……どう? 何か、進展は……?

国木田独歩

……残念なことに、何もわからなかった……

国木田独歩

さすが魔人としか言えん……

泉鏡花

そっか……

国木田が目にクマをたくさん浮かべ、

覚束ない足取りで席に座る。

それは他の社員をそうだった。

今、敦が魔人のそばにいる。

何をされているのかなんて見当もつかない。

もしかしたら、探偵社にとって不利益なことはされていないのかもしれない。

けれど、大切な探偵社員だ。

鏡花にとっては光だ。

必ずや、取り返して、みせる。

国木田独歩

……おい、太宰

シーンと静まり返った社内に国木田の声がやけに響く。

太宰治

……なんだい?

この作品はいかがでしたか?

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コメント

10

ユーザー

続きあるのマジで神です……! 羊右さんのそう言うところ大好きです!!!これからどうなるんだ……

ユーザー

ァァア!!続き?!神すぎる!!!

ユーザー

続ききたぁ!!、神ってますね、!? 感謝感謝ァ!! 続き頑張ってください!!

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