テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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赤い糸を結びたい

第6話 - EPISODE. 6

1,936

2023年04月09日

#BL

#一次創作

#オメガバース

#創作

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#恋愛

あふろー

朝桐海里

……

俺はβだ。

朝桐海里

（授業つまんなぁ〜）

自分は平凡

特別だなんて思わない。

朝桐海里

（椿ちゃんがΩだって知った時は驚いたなぁ）

でも、周りに特別な人がいると自分も特別なんじゃないか…って錯覚してしまう。

朝桐海里

（それより驚くのは秀星のことなんだよね〜）

秀星とは中学からの仲。

同じ部活で直属の後輩。だから、秀星のことは知りたくなくても知ってしまう。

アイツが椿ちゃんにあんな顔するなんて＿＿

朝桐海里

（急にキャラ変かぁ？）

朝桐海里

（いやいや、秀星はそんなことする奴じゃないし＿＿）

2人に特別な関係がある

朝桐海里

（としか思えない）

朝桐海里

（例えばどんなだろう…）

朝桐海里

（恋人とか？）

朝桐海里

（いや、椿ちゃんはそんな感じだと思ってなさそーだし…）

朝桐海里

んー……

先生

コラ朝桐

先生

話を聞きなさい！

先生

大切な授業なのよ

朝桐海里

…は、はい

朝桐海里

すみませーん

朝桐海里

（考えるのもめんどくさいし、秀星本人に聞いてみるか＿＿）

先生はカッカッカッと板書をしていく。

先生

Ωという性、最近差別問題で話題になってますよね

先生

朝桐、どうしてかわかる？

朝桐海里

…は、？

朝桐海里

知りません…

先生

｢ヒート｣というものがΩにはあり＿＿

朝桐海里

！！

朝桐海里

（この前、椿ちゃんがなってたやつか＿＿）

朝桐海里

（小学生でも中学生でも何度も学校で教えられたな）

先生

それが問題でΩは社会活動に制限があるのよ

先生

そして皆わかっていると思うけど、Ωは男女問わず妊娠することができる

先生

しかし、妊娠させることが出来るのはαだけなの

先生

フェロモンによって誘惑されることでαがΩに対しての性犯罪が年々増えてきている

先生

君たちも加害者にならないようにね

朝桐海里

（バカかよ、ここのクラスのほぼ全員がβだっつーの〜）

先生

ほら！自分は関係ないからって下を向かない！

先生

…えーと、これはみんな知らないと思うけど

先生

αとΩの間で結ばれる繋がり…をなんというか知ってる？

朝桐海里

……

先生

｢番｣というのよ

先生

交際、結婚…それよりも強く、本能的な部分での繋がり

朝桐海里

（椿ちゃんにもいつか番が出来たりするのかなぁ）

朝桐海里

（俺関係ないけど）

先生

これは迷信に近いのだけど、｢運命の番｣というのも存在する

海里は｢運命｣という言葉にぴくりと反応した。

朝桐海里

（運命＿＿）

先生

｢運命の番｣に出会うとお互いに惹かれ合ってしまう

先生

結ばれる、それが運命なの

海里の頭の中には椿と秀星の顔が浮かんだ。

朝桐海里

……

朝桐海里

（…いや、まさかな＿＿）

海里は屋上へと出た。

朝桐海里

んー！

朝桐海里

圧倒的開放感〜！！！

グーンっと背伸びをし、ふと視線を前に向けた。

宍戸秀星

……

朝桐海里

げっ…

秀星が座って弁当を食べていた。

宍戸秀星

…こんにちは。

朝桐海里

げぇー

朝桐海里

なんで秀星いんのー？

朝桐海里

屋上って出入り禁止なんだよ？

宍戸秀星

そうなんですね

宍戸秀星

すみません。鍵が壊れていたので

秀星は立ち上がろうとする。

朝桐海里

せっかくなんだから一緒に弁当食おーよ

宍戸秀星

……

朝桐海里

俺弁当ないから分けて

宍戸秀星

…はい

朝桐海里

（不服そう〜でも面白〜）

海里は秀星の卵焼きを掴み、口に入れた。

朝桐海里

んん〜ッ

朝桐海里

うまぁ〜

宍戸秀星

専属のシェフが作ってくれたんです

朝桐海里

……

朝桐海里

へえ〜

朝桐海里

宍戸様が庶民のような弁当なんて、どういう風の吹き回しですかぁ？

宍戸秀星

……樋口くんと一緒に弁当を食べたい、と思ったので

朝桐海里

椿ちゃんと？

宍戸秀星

交換…的なことを朝桐先輩たちはするんでしょう？

朝桐海里

……んーま、しないことはない

宍戸秀星

やってみたいです

朝桐海里

恋する乙女かー

宍戸秀星

俺は乙女ではなく、男です

朝桐海里

知ってるわ

朝桐海里

（恋する…は否定しないのねぇ）

朝桐海里

にしても、秀星が興味を示すなんて珍しいよね〜

宍戸秀星

樋口くんのことですか？

朝桐海里

それ以外なにがあんの？

宍戸秀星

……

宍戸秀星

俺の頭の中は樋口くんでいっぱいで、樋口くんを四六時中見ていたいです

宍戸秀星

…そうですね…興味深いとは思っています

朝桐海里

やっぱそれって

朝桐海里

好きってことだよねー？

宍戸秀星

…好き、とは？

朝桐海里

（こいつ無自覚か！？）

朝桐海里

やっぱ秀星ムカつくなぁ

宍戸秀星

すみません。朝桐先輩

宍戸秀星

俺、昔から思っていたのですが＿＿

宍戸秀星

朝桐先輩はどうして俺にそんな敵意を向けるのですか？

朝桐海里

……は？

宍戸秀星

俺、何かしましたか？

宍戸秀星

修正するので、改善点を言ってほし＿＿

朝桐海里

うるさいな

宍戸秀星

……

朝桐海里

そこも無自覚かよ

宍戸秀星

自分が鈍感なのは知っています

朝桐海里

秀星は鈍感じゃなくて、人に興味が無いだけなの

宍戸秀星

そ、んなことは＿＿

朝桐海里

じゃあ、俺の名前言える？

宍戸秀星

朝桐先輩です

朝桐海里

下の名前

宍戸秀星

……

宍戸秀星

そ、れは＿＿

朝桐海里

（おい。中学からの知り合いだぞ）

朝桐海里

……はぁ

宍戸秀星

…あ

宍戸秀星

海里さんです

朝桐海里

えっ、覚えてたの？

宍戸秀星

樋口くんが呼んでいたのを気づきました

朝桐海里

（…椿ちゃんが呼んでなかったら知らなかったって言い方だな）

朝桐海里

（とことんムカつく）

朝桐海里

秀星。

朝桐海里

俺が椿ちゃんを取るって言ったらどうする？

宍戸秀星

……

秀星は少し目を丸くさせた。

宍戸秀星

…取る…？

朝桐海里

椿ちゃんの体も思考も言動も…俺のモノにするって言えば＿＿

宍戸秀星

……

秀星は怒りを含んだ瞳で海里を見つめた。

宍戸秀星

そんなことをさせられたら相手が先輩だろうと誰だろうと＿＿

宍戸秀星

黙ってないです

朝桐海里

……

宍戸秀星

俺は樋口くん以外どうでもいいんです

宍戸秀星

望むもの、全てあげます

宍戸秀星

だから＿＿

ドンッ

宍戸秀星

っ！

海里は秀星を押し倒した。

朝桐海里

（無理だ、怒りで制御が聞かねぇ）

朝桐海里

｢どうでもいい｣…か

朝桐海里

俺はお前にとっての｢どうでもいい｣さえ、手に入れられないんだよ！！

宍戸秀星

…え？

朝桐海里

なにが全てあげます…だ

朝桐海里

気持ち悪い！

海里は拳を作り、秀星に向かって振り下ろした。

キーンコーンカーンコーン

朝桐海里

！！

ピタッと秀星の目の前で拳を止める。

宍戸秀星

……

朝桐海里

……

朝桐海里

…クソッ

海里は何も言わず、屋上から出て行った。

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