夏希に 無理矢理押し付けられた、 山田ランネと言う少女は……
至って、普通の女の子でした。
母から大切にされていましたし、父ともよく遊んでいた、笑顔の絶えない女の子。
ランネは、そんな両親の事が大好きでした。
ですが、妹が生まれてから、 両親の彼女への対応は一変したのです。
小さくて、弱くて、脆い妹に、 両親は付きっきりになりました。
最初のうちは、少女も妹のことを気にかけて、どうにか自分も役に立てないかと奔走します。
妹が泣いていたら変顔をして笑わせようとしたし 妹の頭を撫でて喜ばせようとしたし 妹の近くで大きな音を立てないように気を付けたし 妹が寂しくないように、ずっと傍にいました。
そうして、妹が大きくなったら、一緒に遊ぶんだと。世界一仲の良い姉妹になるんだと。 そう考えていました。
でも
成長した妹は、甘やかされるのが当たり前だと思い、傲慢な少女になりました。
両親も、ランネよりも妹のことを可愛がりました。
「ランネはお姉ちゃんだから、一人でも大丈夫でしょ?」「妹ちゃんは病弱だから仕方ないの」
いつしか、 両親はランネのことを見なくなりました。
___場面は変わり…… とある公園にて。
ランネは、家族の代わりに自分を愛してくれる少女、“コトリ”と出会います。
その子は、美しい緑色の髪を持つ、楽観的な……まるで、鳥のように自由な少女でした。
彼女は、ランネを愛してくれました。両親の分まで、沢山、沢山愛してくれました、
ランネも、コトリのことを愛しました。 愛し、愛されました。
ですが、幸せはそう長くは続きません。
ある日、コトリが消えたのです。 妹の、誕生日でした。
路地裏、マンホールの中、空き家の裏、 どこを探しても、彼女は見つかりません。
ランネは、彼女の家も分からず、連絡先も知らない。コトリのことを、何も知りませんでした。
コトリが消えて暫く経ったある日……、空がオレンジに染まった頃、ランネは家へと帰りました。
どんなに探しても見つからず、体は疲弊しきっていて…フラフラと揺れながら、です。
………そこで見たものが、
母と、父と、妹の、遺体でした。
ランネを抜いた、一家心中。 家族にも、コトリにも裏切られた少女は、本当に、一人になりました。
山田ランネ
山田ランネ
天童夏希
……驚愕、というか、なんというか
こんな幼い少女が、思っていたよりも壮絶な過去を持っていたことに絶望した。
挙げ句の果てには 私みたいなやつに引き取られ、久々に食べたものは いつのものか分からないカップラーメン。
天童夏希
本当に可哀想な子ね。)
私の妹達はまだ生きている。だから、会おうとすれば会える。
しかし、少女の家族はもう居ない。 何をしても、神に願っても、もう会えない。
彼女の居場所は、どこにもない。
天童夏希
……なら、私がすることは一つじゃない?
天童夏希
えっと…………。
天童夏希
いろいろあったのね。
山田ランネ
天童夏希
天童夏希
ええと…、…わ、私…。
天童夏希
山田ランネ
天童夏希
天童夏希
天童夏希
天童夏希
天童夏希
天童夏希
きっと…。)
__そうして、 ぼろぼろだった天童夏希と 人生をもう一度やり直す きっかけを作ってくれた山田ランネは
その後何やかんやあって、 幸せな生活を送るんだけど………。
それはまた、別の話。
「ぼろぼろ。」 ー終ー
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コメント
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完結!お疲れ様でした!! ここがきっかけで2人が幸せになれたなら良かったけど過去が辛い!!辛すぎるよ…! 夏希ちゃん心優しすぎる…。ずっと幸せで居てくれ…!! 見てて楽しかったです!!好きなアニメを観てるような感覚で観ておりました!!感情移入してしまう…
完結お疲れ様です! 雪の子の過去が見れて十分に満たされました
私ずっと、『ぽろぽろ。』だと思ってた。ぼろぼろだった 完結…!?雪の作品が…完結したのか!!? 夏希さんとランネちゃん、救われた様で安心 きっかけを作った山田には感謝 しない