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コメント
15件
初コメ失礼します。 この作品が流れてきた時気になって見たんですけどものすごく面白いですね!他の作品も拝見させていただきます!
コメント失礼します🎵🎵💞 ストーリーの展開とか設定とか全部最高すぎてほんとに楽しみです🥹🥹
見るの遅れちゃいました🥹 塾終わりに見れてまぢ幸せです💞 すれ違った時点でもうそこでスタートです(?)
中庭のベンチに
足を投げ出すように座っていた
煙の匂いは制服から抜けているはずなのに
たまにふと鼻をつく気がする
火事から2日
非現実はとっくに引いたのに
日常は戻ってきていない
二口
二口
二口堅治はネクタイを緩めながら
空を仰いだ
さっきまで体育館で説明されていた内容は
ほとんど耳に入っていない
“しばらくの間他校の教室を間借りする”
“移動のタイミング、持ち物、グループ”
“礼儀と自覚を持って行動すること”
とか何とか言ってたな
なんか...めんどくせぇな
火事なんて別に自分が起こした訳じゃない
なのになんで“我慢してます”みたいな
そんな雰囲気を感じるのか
あの教師たちのピリついた目も
なにもかも嫌だった
それはそうと
二口
訳わかんねぇ
無意識に口からこぼれて
ため息と一緒に空へ消えていった
その時
芽依
芽依
ヒラヒラと制服の裾をなびかせて
芽衣が姿を現した
整えられた髪に、細い眉
歩き方は雑だけど気配りができて
妙にほっとけないタイプ
二口
芽依
芽依
芽依
芽依
芽依
ベンチの隣に座ってきて
ペットボトルの水をドンと置いてくる
“飲め”と言うより“持っとけ”に等しかった
二口
二口
芽依
芽依
芽依
二口
二口
芽依
芽依
芽依
二口
芽依
芽依は笑いながらそう言った
二口
二口
芽依
芽依
芽依
次はちょっとだけ悪意のある笑い方だった
二口は小さく舌打ちをして
でもベンチを立とうとはしなかった
二口
二口
芽依
二口
二口
芽依
芽依
芽依
芽依
二口
芽依
芽依
芽依
芽依
二口
芽依
芽依
二口
芽依のからかいも
火事の話も
女子校って言葉も
全てが自分の周りだけで盛り上がっていて
どこか現実感がなかった
けれどこの時にはもう
“全く別の世界”が
すぐ側まで来ていた
土曜日の午後
春の光が部屋の白いカーテンを透かし
柔らかく差し込んでいた
○○はベッドの上に座り、タブレットを手にした
○○
画面の中ではバックステージの動画
「矢野梓」
女優としてもモデルとしても人気の彼女が
撮影の合間に笑っている
メイクの合間に顔を向けられて
少し照れながら「やめてよー」っていう声
ファン向けのオフショット
それなのに完璧で、遠くて
魅力的だった
画面の右上で宅急便の通知が点滅する
○○
そう思ってタブレットを閉じ
勢いよく階段を下りる
玄関のドアを開けたら
ちょうど配達の人が帰るところだった
○○
と声をかけて置き配の荷物を手に取った
鼓動が少し早くなる
玄関のドアを閉め包装を開けると
○○
淡いパープルのパッケージの中に
矢野梓と人気ブランドのコラボスマホケース
小さな銀箔の文字で
“AZUSA×Rovie”と入っていて
細部まで丁寧に作られていた
部屋に戻り鏡の前でスマホに取りつけてみる
落ち着いた色味に
思っていた以上に自分の制服が似合っていた
やっぱ買って正解だった
値段は張ったけど...
○○はスマホケースに見とれながら
心の中でそう思った
月曜日
工業校の生徒が正式に移動してくる日
臨時の掲示板が張り出されていて
昇降口がいつもよりざわついていた
○○はスマホを机の上に置き
頬杖をついた
○○
○○
○○
そう言って軽く挨拶を済ませて
カバンの中を見ると
あれ...水筒忘れた
自分のカバンに水筒が入っていないことに気がついた
買いに行こ
届いたスマホを手に持ちながら
○○は廊下に出た
廊下にはちらほら男子生徒の姿があった
本当に来たんだ
いざ見るとなんか
違和感が強い
前から男女二人が歩いてくるのに気がついた
2人ともスタイルがよく
一際目を引いた
横をすれ違うタイミングで
男の子の視線がこちらを向いた
手にはまだ
制服のポッケに入れかけのスマホ
目が合う前に彼はそのまま歩いていった
なんか今
こっちみてた?
振り向くとスタスタ女の子と歩いて行っていた
○○
それ以上は気にせず
○○は自販機へと向かった
思ったよりも移動はスムーズだった
クラスも何もかも
整えられすぎた環境が
俺らには堅苦しかった
芽依
二口
芽依
片手にいちごミルクをもつ芽依は
軽くスキップをしながら言った
芽依
芽依
二口
ちらほら見慣れた制服があるだけで
あとは全く違う景色
床も白くて
窓もでかい
カーテンが整っていたのもなんか
ムカついた
芽依
二口
芽依
二口
二口
芽依
芽依
芽依
二口
聖月に着くと同時に
他の男子生徒は女子を見に行っていた
芽依
二口
芽依
二口
片手で制服のネクタイをいじりながら
廊下を歩いた
芽依
隣の芽依がボソッとそう言った
二口はちらっとその女の子を見た
顔ではなく
手元を
通り過ぎたあと
芽依
芽依
芽依
二口
芽依
芽依
二口
芽依
芽依
二口は何も言わなかった
けどほんのわずかに眉が動いた
芽依
芽依
芽依は近くにいた先生に呼ばれ
そのまま去っていった
人を振り回す...か