テラーノベル
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ばん、と
その音がした数秒後
どかん、と
何かが爆ぜる 音がした
刹那
辺りが炎に包まれた
全部を悟った私は
最後の悪足掻きにと
最愛の兄を
夜の闇へと突き堕とした
次の瞬間
私の身体を
獄炎が呑み込んだ
そこからは もう地獄だった
二人を残し 梵天は全滅
生き残った二人も のちに死亡
梵天は壊滅となった
竜胆さんが 自殺した時も
七葉ちゃんが 沈んだ時も
私は近くで それを見ていて
それでも 声は届かない
誰も止められない
水中で 口を動かすだけ
見せしめの様に 死に逝く仲間達を
ただただ 見ているだけ
私の誕生日で この物語も終焉
バッドエンドで 幕を閉じた
え? コレは何だって?
決まってるでしょ
私の見た
「 とある夢の話 」
夢 叶
夢から醒める様な
そんな感覚に 襲われた
体感では一週間
実際では数秒程度
すぐさま理解した
嗚呼 これは
ビジョ ン “ 未来視 ” なんだと
夢 叶
武 道
武 道
夢 叶
夢 叶
誤魔化し笑いを浮かべ 頭をフル回転させる
もう少しで この辺りは火の海になる
なら私が 今すべき事は
夢 叶
夢 叶
武 道
悩んだ結果
夢 叶
夢 叶
兄に頼る事にした
武 道
何言ってんだ
そんな風に 片眉を上げる兄
夢 叶
武 道
そう言って 兄は少し考えた後
武 道
武 道
最高の答えを 出してきた
夢 叶
そんな訳
過去に戻る訳が
頭では理解している はずなのに
兄の言葉が 一縷の希望となる
夢 叶
一縷の希望と なってしまった
夢 叶
夢 叶
武 道
武 道
そうやって笑うと
意味がわかったかの様に 目を見開く兄
夢 叶
武 道
チャンスは一度
そんな状況が まさかあるとは
夢 叶
夢 叶
武 道
武 道
武 道
あの頃の様に 笑い合う
チャンスは一度
アドリブ任せの ハッピーエンドへ
見据える先に 悪夢なんて必要ない
武 道
武 道
武 道
夢 叶
夢 叶
武 道
笑みを零しながら 始まりの
或いは最期の時を待つ
夢 叶
夢 叶
武 道
夢 叶
武 道
小さく呟いた瞬間
ばん、と
始まりの音が鳴り
どかん、と
何かが爆ぜる音がした
夢 叶
夢 叶
武 道
刹那
辺り一面 火の海と成った
ごう、と
目の前を獄炎が覆う
武 道
夢 叶
熱く燃え盛る炎の中 頷きあった私達は
その言葉を合図に
夜の闇へと 身を投げ出した
ヒ ュ ー
冷たい夜風が 頬を撫でる
見上げた先には 燃える夜
夢 叶
一直線
地面めがけて 宙を舞う私達には
バッドエンドなんて なかった
夢 叶
夢 叶
武 道
武 道
最期に見たのは 微笑む兄の顔だった
夢 叶
体が地面に 打ちつけられるより先に
ばち、と
身体に 電流が走った
長い長い 夢を見ていた気がする
君が笑ってて 私も笑ってる
素敵なハッピーエンド
どうか 正夢になりますように
心地よい衝撃が 体内を駆けた
夢 花
いつの間にか電流は止み 朝の感覚に連れられる
白いベッド 白い天井
中学の頃の 私の部屋
夢 花
軽く伸びをし 頬に付いた水を拭う
「 夢花? 」
「 起きたー? 」
噂をすれば影
とても懐かしい声がした
夢 花
夢 花
ガチ ャ ッ
武 道
扉を開けて入って来たのは
間違いなく 私の兄
それも “ 中学生 ” の
夢 花
武 道
武 道
夢 花
夢 花
武 道
武 道
それだけ言うと お兄ちゃんは
笑って私の頭を撫でた
夢 花
中学生の
あの日の日常と 再会した
夢 花
なら
今なら 君は
生 き て る の ?
夢 花
身支度を済ませ いざ
病院へ向かう
武 道
武 道
夢 花
武 道
夢 花
武 道
そう言って口籠もる兄に 苦笑を漏らす
夢 花
8 月 10 日
83 抗争の少し後
彼の親友 “ 龍宮寺先輩 ” のお見舞いへ
夢 花
扉を開けて 想い出を探しに行く
不思議と 心は踊っていた
夢 花
病室の扉を開け 龍宮寺先輩と再会する
ド ラ ケ ン
ド ラ ケ ン
夢 花
あの頃と変わらない
苦労人の顔のままの 龍宮寺先輩がいた
夢 花
ド ラ ケ ン
夢 花
窓際の花を替え しばらく談笑する
冷蔵庫に差し入れの 珈琲ゼリーを入れると
人気者の龍宮寺先輩らしく
冷蔵庫の中は パンパンだった
それなりに時間が経った後 違和感に気付いた
夢 花
ふと毎日の様に 彼の病室に入り浸っていた
金髪のセンパイの顔が 想い浮かんだ
ド ラ ケ ン
夢 花
龍宮寺先輩に聞いた 彼の居場所
どうやら 屋上にいるらしい
夢 花
窓から外を見ると
金髪を靡かせている 少年が一人
夢 花
言わなくても解る
センパイだ
夢 花
嗚呼 やっと見つけた
君のいる未来だ
今なら この想いを伝えられる
この感情に付いた名前
この気持ちの名は ──
ガチ ャ ッ
万 次 郎
夢 花
万 次 郎
そう言って フェンス際の彼に近寄る
金と蒼
君と空の色が 私の世界を彩る
夢 花
万 次 郎
万 次 郎
夢 花
万 次 郎
万 次 郎
夢 花
夏の風が 私達の間を吹き抜ける
夢 花
八月
君と出会って 一ヶ月
それでも本当は 十数年
夢 花
やっと
やっとだ
ようやく手繰り寄せた ハッピーエンドだ
夢 花
不思議そうに 首を傾げる彼に向かって
伝えられなかった 想いを口に出した
﹁ 大 好 き で す ﹂
かくして この話は終わり
また新たな物語が 始まる
それでも 私達は終わらない
また新しい 夢へと向かって
まだ見ぬ ハッピーエンドに向かって
例えその先が
最悪のバッドエンドでも
何度でも 私は夢を見続ける
だってそうでしょ?
君から貰った名は ──
「 夢叶 」
なんだから
いつでも私は
﹁ 梵 天 最 強 メ イ ド ﹂
♡ 2000
コメント
36件
夢が叶うで夢叶って本当に素敵な名前だと思う... 表現の一つ一つが丁寧で綺麗で見ていてすごくこだわりが伝わりました♡ 最終回楽しみにしています.ᐟ.ᐟ
終わるみたいな雰囲気してますが 、あと一話あります! 2026 - 3 - 12 に最終話公開予定です🫶🏻️︎🤍
今まで読んだ小説の中で1番好きです、表現力神だし、こっちにも感情が伝わってくる🥹