あの事件以来、婚約も破棄できて私は晴れて自由の身となった
リリィ
……ふぅ…
前のような多忙な日に戻っただけ
でも…
国王陛下
リリィ
リリィ
!お父様
国王陛下
大丈夫か?ちゃんと休んでいるか?
リリィ
うん、大丈夫だよ
国王陛下
………
国王陛下
その…な
お父様は少し間を持って口を開いた
国王陛下
好きな人はいるか?
リリィ
……へっ?!
国王陛下
無理矢理婚約を結ばせてしまったのは本当に申し訳なかった
国王陛下
囮のようなことまで…
国王陛下
……せめてもの償いだ
国王陛下
リリィはリリィの好きな人と結婚して欲しい
リリィ
………
国王陛下
誰でもいい
国王陛下
…地位も年齢も…性別もな
リリィ
!……
リリィ
…うん…
国王陛下
自由にやりなさい
ポンッと頭を撫でられる
国王陛下
何か言う者がいれば
国王陛下
私が罰してやる
リリィ
…ふふ…
リリィ
それはダメよ…
リリィ
お父様
国王陛下
……はははっ
国王陛下
じゃ、またな
リリィ
うん!
鈍感な貴女はやっと最近気づいてくれるようになった
リリィ
イヴ
イヴ
はひっ
リリィ
また何作ってたの?
後ろからスっと手元を覗き込む
イヴ
あ…依頼された…薬を…
リリィ
へぇ…
リリィ
どんな薬?
イヴ
えっと…惚れ薬…
リリィ
え?
イヴ
い…依頼されたので…
リリィ
…ふーん…
リリィ
そんな薬もあるんだ…
イヴ
……
イヴ
こんなもの使わないで
イヴ
しっかりと自分の想い伝えた方がいいと思いますけどね…
リリィ
………
リリィ
そうね
ちらっと彼女の顔を見ると少し頬が赤くなってるように見えた
リリィ
……
リリィ
イヴ…?
イヴ
!…な…なんですか?
リリィ
…いや…
リリィ
…なんでもないわ
イヴ
………
目を逸らして少し慌ててる彼女を見て少し嬉しく思う
リリィ
(少しは意識してくれてるのかしら…)
リリィ
(本当に好き…)
リリィ
(本当に好きよ、イヴ…)






