雨
窓は濡れ、外では忌々しい程に
耳の奥に響く雨音
そんな雨音に掻き消される俺の声
俺
小さく呟いた
天気予報はいつも雨。
梅雨時だから仕方ないのかもしれないけれど
気分は一向に上がろうとはしない
ただどよんりと当たりを濡らし
太陽を覆うだけなのだから
俺
何を思ったのか 外に出てみたくなった
晴れの日に見る景色と雨の日に見る景色は
全く違う気がして
冒険家気取りで少し散歩してみたい
勢いよく家を出てみたのはいいものの
行く先も決めていないし
案の定、結構な大雨だ
だがこれも案外いいのかもしれない
手の平に垂れ落ちた輝く雫を見つめながら
そう思い、歩き出した
ザーザー
ザーザー
傘が雫を弾く音と
地面を弾く音が合わさり
耳の奥でまた響く
俺
そう、俺は雨が嫌いだ
頭痛がするし毛は跳ねるし
いい事なんてひとつも無いじゃないか
そう思いつつも、 濡れた地面を踏みしめて進んでいく
進んでいくとある公園に辿り着いた
晴れの日なら子供達が遊んでいるはずの公園は
寂しそうにただ砂場に水溜まりを作っていくだけで
人などいるはずも無い
俺は休憩に屋根のあるベンチへ腰掛ける
ギシリと少し嫌な音はしたものの
意外と頑丈なようで体を動かしてもビクともしない
俺
何もかも奪ってしまう最悪な天気だ
着々と泥と化している砂場を見ながら
溜息を零す
雨など綺麗な景色も 輝く太陽も
綺麗な月も 宝石のような星も
人の笑顔も
何故みんなこの天気を好きというのか
俺には全く理解出来ない
そんな事を考え、
公園を見渡してみると
ある花が目に付いた。
傘をさして駆け寄ってみると、 その花はこの雨の中でも
力強く輝いているように見えた
俺
綺麗に咲乱れる景色を作っているのか
俺
俺
俺の中での「雨」という概念に囚われたまま
俺は日々過ごしていた
たまにはこういう冒険も楽しいかもしれない
俺は懐かしいあの曲を頭の中で流し
手の平に垂れ落ちた綺麗な雫を少し見つめて
鼻歌を歌い、軽い足取りで進んで公園を出た
目の前に広がった雨の景色は
とても綺麗だった
コメント
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かみこうりん
すげ←
大好き