初めて聞いた名前
死の間際に考える程
この男にとって大切な人なのだろう
硬直してしまった俺は唯頷く事しか出来なかった
紫色の瞳から光が消えた時
黒川イザナは空へと旅立った
人間の最後というのは雪が溶ける様に呆気なく
そして冷たかった
遠くからサイレンが聴こえる
この場を仕切れるのは俺しかいない
喉に詰まる言葉を懸命に発した
後日話を聞けば
あの場は天竺幹部が残ったらしい
案の定豚箱行きになった様だが..
最近は凄く眠れない
こうして深夜に外へ出ることも増えた
月の形は変わらないというのに
景色が違って見えるのは自分の成長だろうか?
漣が心地良い
夜の海は決して静かな訳では無かった
今日は何だか何時もと違う
浜辺に漂流された木樹に腰を掛け 鏡のような海に映された満月を見ながら
一人の少女が唄声を上げていた
人魚の唄声とはこの事だろう..と思うように
夜の海が彼女の唄声を聞いている
自然のコンサ ー ト
雪のように白い肌 腰まで伸びた黒髪
一瞬で目を奪われてしまった
そして気づいたら立ち竦んでいた
彼女は唄声を止めるとゆっくり此方を見た
消えてしまいそうな程儚い笑顔を向けた
コメント
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うわ〜っ…!! もうセンスが光ってる!(?) 続き待ってます!
タイトルからして最高だよね