風花の舞う日

電話を終えて渡辺達也が戻ってくる

連絡をするとすぐに駆けつける

みんなの視線が一点に集まる。

そして、目を見開いて驚く

え？！(全員)

自宅に戻り、 暗く冷たい玄関で立ちつくす

この部屋にいくつも残る 詩織の記憶と残り香

とめどなく溢れてくる涙 消えていく声と 溢れてくる詩織への想い

荷物を纏めなきゃいけないのに… 身体が……動かない もうシオ会いたくなってる

渡辺先生が言っていた言葉を思い出す。

悲しみは癒されない。 今までは傍に居られたから 辛くても耐えられた でも……今はここに居ない…

これからどうすればッ……。

ピンポン！呼び鈴が鳴る

抱き締められて頭を撫でられる。

恥ずかしいことながら 男泣きでワンワン 抱きついて泣き崩れるオレ… よしよしとあやすふっかさん。 この優しさにどれだけ 救われてるか分からない。 ありがとう ふっかさん……

ひとしきり泣いたあと部屋に上げて、 コーヒーをふっかさんに出してあげる。

コーヒーを1口飲んだところで ぐぅと腹の虫が鳴り出す2人。

2人して笑い合う。

なんかあるかな？と冷蔵庫を覗くと シオの料理が沢山並んでいた。

冷蔵庫を開けて 止まっている目黒の背中から 冷蔵庫を見ると、 すぐに食べられるように 色々料理が纏めてある。 バラエティ豊富な料理。 アイツらしい。

そう言って準備を始める。 背中は少し寂しそうだった。

身体を気遣ったメニュー。 目黒の為に作っていった料理に箸を通す

食べながらあれこれと そんな感じで話して少し 気分が軽くなったところで 席を立つ。

治療を始めてから2週間が経過しようとしていたが何の成果も上がっておらず、手詰まりとなりつつあった。

電話を切る。

約束の午後

重く暗い通路の先 閉鎖された空間 周りを拒絶する 厚く重い扉の先に彼女は居る

感情もない顔 痩せた身体 涙の跡が痛々しい

フワッ 詩織を抱き締める

抱き締められた腕に手を回す。

涙がひとつ流れる

身体を離すと寂しそうな顔をする

2人見つめ合いキスを交わす

外から二人の様子を見ている

1時間の面会を終える。

お礼も兼ねて食事に誘った。

個室へ案内される。

美味い料理に美味い酒😋 懐かしいダチに新しい弟分 幸せな空間。 これを守る為に俺は何をすべきか 大切な事は3つだけ。 シオの幸せを守ること シオの大切な笑顔を守ること 俺ができる最大限の知識と 経験値を使って 出来ることをする それだけ。 さあ、進むための準備は出来た。 今日を糧に進んでいこう。 それぞれの想いのために…

楽しい時間は ゆっくり穏やかに過ぎていきました。