テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

櫻井翔

詩織さん。入るよ。

齋藤詩織

はい。

櫻井翔

調子はどう?

齋藤詩織

眠気はありますが大丈夫です。

看護師

バイタルは124/72、脈拍74酸素濃度97パーセント正常値です。

櫻井翔

ん。少し胸の音聞いてもいいかな。

齋藤詩織

はい。

櫻井翔

ん。雑音はないね。

櫻井翔

今度の週末、また彼氏に来てもらおうと思っています。

齋藤詩織

ホントですか?

櫻井翔

ただし、状態が安定していた場合。

齋藤詩織

無理はしないように気をつけます。

櫻井翔

それでいいです。

櫻井翔

久しぶりに外に出てみましょうか?今日はいいお天気ですし。

齋藤詩織

大丈夫です…かね?

櫻井翔

怖い?

齋藤詩織

少し…だけですけど。

櫻井翔

行ってみますか?

齋藤詩織

……はい。

看護師

では、着替えましょうか?

荷物の中から着替えを出してくる。 衣類から香る蓮の匂い。

齋藤詩織

蓮のコロンの匂いだ。

衣類を抱き締め 匂いを胸いっぱいに吸い込む。

齋藤詩織

大丈夫。

齋藤詩織

蓮と一緒なら怖くない。

袖を通し少し大きくなった衣服を 身にまとい前を見据える。

櫻井翔

着替え終わりましたか?

齋藤詩織

はい。

化粧はしていないが 顔色も良く 瞳は生気を取り戻した。 乗り越える壁はあと少し。 外の世界へと1歩踏み出す。

齋藤詩織

ホントにいい天気ですね。

櫻井翔

俺にとってもいい気分転換になるわ。

齋藤詩織

んふふ。先生も、お疲れなんですね。

櫻井翔

受け持ち多いからね。精神科の医師は少ないのよ。他と違ってね。

櫻井翔

少し歩こうか?

齋藤詩織

はい。

齋藤詩織

あ、山茶花。

櫻井翔

この時期咲いてるよね?

櫻井翔

サザンカの花言葉は困難に打ち克つ、ひたむきさ、理想の恋なんだって。

櫻井翔

まるで今の詩織さんみたいだね。

齋藤詩織

先生意外とロマンチストなんですね。

櫻井翔

意外とは酷いね。でもこれは妻の受け売り。妻は花が好きなんだ。あれこれ聞いているうちに覚えちゃった。

齋藤詩織

いいご夫婦ですね。

櫻井翔

詩織さんも将来って考えてるんじゃないの?

齋藤詩織

まだ、本格的には。仕事に戻る事がまず先ですかね。

齋藤詩織

まだ正直、先の事は考えられないです。

齋藤詩織

実は来年、課長職の内示もあって。

櫻井翔

へぇ。そうなんだ。

齋藤詩織

でも、今は少し忘れてました。

櫻井翔

そっか。

櫻井翔

外はどう?違和感無い?

齋藤詩織

恐怖感はないです。

齋藤詩織

むしろ空気が気持ちいい。

深呼吸をして 胸いっぱいに酸素を取り入れる。

櫻井翔

詩織さん、そろそろ病棟戻ろうか。

齋藤詩織

そうですね。

また、 あの閉鎖された暗闇に 戻らなきゃいけないんだ。

櫻井翔

あ、暗い顔してる。

齋藤詩織

え?…あ、ごめんなさい。

櫻井翔

あと2日。

齋藤詩織

え?

櫻井翔

あと2日だけ我慢して。

櫻井翔

水、木あそこで過ごして症状出なければ一般病棟に戻ろう。

齋藤詩織

ホントですか?

櫻井翔

ただし、もうひとつ乗り越えてもらわなきゃいけない大きな事実がある。

齋藤詩織

乗り越えなきゃいけない事実?

櫻井翔

犯人

ードクンー 心臓が早鐘のように脈打つ

齋藤詩織

あっ…。

櫻井翔

今日午前中に捕まったって。

櫻井翔

詩織さんの家の周りをウロウロしてる所を渡辺先生が見つけて警察に突き出した。

櫻井翔

渡辺先生から連絡もらったよ。

櫻井翔

でも、また出てくるかもしれない。
何年か経ったらまた。

齋藤詩織

あ……(身体が震える)

櫻井翔

接近禁止命令出ると思う。
もう、きっと詩織さんの
前には現れない。
だから乗り越えて。

櫻井翔

その恐怖から。

齋藤詩織

……ッ……はい。

齋藤詩織

かならず…。

その日に流した涙は いつもとは違う温かい涙だった。

夢の中

齋藤詩織

………んっ!また…あの夢…

齋藤詩織

でもこの先の光は……?!

齋藤詩織

温かい……

長いトンネルを出た 先に見えた景色は……?

深澤辰哉

シオ!

岩本照

シオ先輩!

宮舘涼太

シオ先輩

阿部亮平

シオ先輩

シオ!

渡辺課長

詩織!

そして私の手を取り胸に 抱きしめてくれた人は

目黒蓮

シオ。

齋藤詩織

蓮!

私の愛しい人

自分を犠牲にしてでも 私を優先してくれる。 前を向けなかった私に 手を差し伸べてくれる 大きな愛で抱き締めてくれる 怖くて目が開けられない暗闇から 手を引いて 私を導いてくれる。 前に進めなくても その場で足踏みしていいよ そう言って進む背中を そっと押してくれる この存在にどれだけ救われたか 愛に溢れたこの人に どれだけ甘やかされたか 分からないね。

さあ、行こう… みんなの元へ 蓮の所へ…

齋藤詩織

……。

陽の光が眩しい

看護師

詩織さん、おはようございます

看護師

具合いかがですか?

齋藤詩織

……夢を見ました

看護師

夢?どんな夢ですか?

齋藤詩織

上手く言えませんが心がポカポカする夢

齋藤詩織

久しぶりにカラフルだったかも。
みんなが笑ってた。

看護師

いい傾向ですね。

看護師

今日から薬の調整しますね。

看護師

点滴入れますよ。

齋藤詩織

はい。

櫻井翔

おはよう。どう?

齋藤詩織

怖い夢は見なかったとおもいます。

櫻井翔

夜中もうなされてなかったもんね。

齋藤詩織

そうですか。

櫻井翔

今日から普通食だよ。

櫻井翔

飲みたいものとかあったら教えて。

櫻井翔

買ってきたあげる。
まだ、1人では動けないから。

齋藤詩織

甘いコーヒーが飲みたいです。

櫻井翔

コーヒー?甘いのがいいんだ。

齋藤詩織

苦いの苦手で。

櫻井翔

そっか。分かった。

櫻井翔

点滴が終わる頃持ってくるよ。

齋藤詩織

ありがとうございます。

櫻井翔

よく頑張ったね。

櫻井翔

ちゃんと乗り越えられた。

齋藤詩織

先生のおかげです。

櫻井翔

ううん。

櫻井翔

詩織さんの頑張りの成果だよ。

看護師

そういえば、雑誌に彼氏さん載ってましたね。

齋藤詩織

え?蓮が?

櫻井翔

イケメンだもんね。

櫻井翔

買ってくるよ。コーヒーと一緒に

齋藤詩織

なんで載ったんだろう?

看護師

ビジネス誌でしたよ。

齋藤詩織

あ、携帯ってまだダメですか?

櫻井翔

彼氏に聞きたいの?

齋藤詩織

はい。出来れば。

櫻井翔

電話はダメだけど、メールなら特別に許可してあげる。

齋藤詩織

やった!

看護師

じゃあ、携帯持ってきますね。

齋藤詩織

ありがとうございます。

早速メールを打つ。

蓮へ 先生の許可が出たのでメールします。 元気?ちゃんとご飯食べてる? 雑誌見たよ。有名人じゃん。 大きな契約の締結で 会社に大きな業績を上げたんだね。 おめでとう。 お祝いしなきゃね。 何がいいか考えておいてね。 愛してるよ。詩織より

課長へ ご無沙汰しています。 本日一般病棟へ移りました。 ご迷惑をおかけしてすみません。 メールのみですが、許可を頂きましたので送ります。みんなに宜しく伝えてください。齋藤詩織

齋藤詩織

ふう。2通しか作ってないけど
疲れちゃった。

通知が届く。

齋藤詩織

ボイスメッセージ?

目黒蓮

シオ…メールありがと。
電話できないなら声だけでも届けたくて。
頑張ったね。また土曜日会いに行く。それまで仕事頑張るからシオも穏やかに過ごしてね

齋藤詩織

声聞けるの嬉しい♡

ありがとうのメールを 打って携帯を置く。

テレビもない部屋だから 暇つぶしが全く無い。 でも眠気が時々襲ってきて、 気がつくとウトウト…。 それの繰り返し。 先生は今まで寝れてないから 取り戻そうとしてるって言われて。 なるほどと納得。 今は身体を休めて コンディションを整える時間。 蓮に会うためにいい状態にならなきゃ。

今日は土曜日 1週間長かった…。 相変わらず仕事は忙しいし、 雑誌の影響なのか周りが騒がしくて 仕事に差し障りが出てきていて 部長達には色々余計な 仕事まで引き受けさせられてる。 営業先には好評だけどなんだか、 色眼鏡で見られている気がして。

深澤辰哉

これからシオのとこだよな?

目黒蓮

はい。

深澤辰哉

よろしく言ってくれよ。
そのうち俺も顔出したいな。

目黒蓮

聞いてみますね。
もう病棟移ったみたいだし、
そろそろいいんじゃないんでしょうか?

メールが今の俺の癒し。 毎日一通ずつ他愛も 無いことを送ってる。 冷凍で用意してくれた ご飯が美味しかったとか。 みんなのこととか。

目黒蓮

午前中の仕事は終わった!
シオのとこ向かうか。

営業員A

あ、あの?!

目黒蓮

はい?!なんでしょうか?

営業員A

目黒蓮さんですよね?

目黒蓮

はい。そうですが。何か?

営業員A

雑誌読みました。……あの。頑張って下さい。応援してます。

目黒蓮

ありがとうございます。
すいません。急いでるので。

宮舘涼太

有名人はつらいねぇ。モテモテで。

目黒蓮

うわッ!

阿部亮平

そんなに驚かないでよ(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)

岩本照

見てたよ- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b
さすが営業成績ナンバーワンイケメン。

目黒蓮

からかってんの?皆して…

阿部亮平

んな事あるわけないでしょ?❀(*´▽`*)❀

宮舘涼太

でも、凄いよね?社長賞でしょ?
こないだのと2つ目の快挙じゃん?

阿部亮平

今じゃVIP対応で車付き。重役みたい。

目黒蓮

こないだのシオの1件もあってのことだから。ある意味監視されてるみたいだよ。

岩本照

大事な人材に手を出されないための会社としての最大限の工作でしょ?
引き抜きとか。色々あるだろうし。

阿部亮平

雑誌の影響力って凄いんだね。

宮舘涼太

これからシオ先輩のとこ行くんでしょ?

目黒蓮

そう。

阿部亮平

これ、差し入れ。お昼まだでしょ?

目黒蓮

うわぁ。助かる。車で戴きます。

岩本照

シオ先輩によろしく伝えて。いつか見舞いに行きたいけどまだ無理でしょ?

目黒蓮

聞いてみるね。もう一般病棟に移ってるからそろそろ大丈夫だと思うけどね。

目黒蓮

じゃ行ってきます!

この作品はいかがでしたか?

134

コメント

7

ユーザー

シオ…乗り越えられたんですね😭💕 良かった🎵

ユーザー

愛の力ほど効く薬は無いよなぁ…………

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚