黄
黄
夢から覚めた時は、 いつでも喪失感が後をついてくる。
そこに君はいない。
ジーガサガサッ…
黒いカバンから、ギターを取り出す。
君の歌がもう一度聞きたかったから
僕が歌うことにした。
黄
君の歌っていた歌詞は夢に見るほど覚えてるから歌える。
歌えるのだけれど。
黄
君が歌っていたのと同じはずなのに
全く違う歌に聞こえた。
やっぱり 君の歌が聞きたい、と思う。
⟡.·*.
青
黄
黄
黄
心のどこかで、本当は分かってた
楽しそうに歌うその姿… だけじゃなくて、
青
黄
青
思いっきり笑った顔も
ヒュ~
青
海風に靡く空色の綺麗な髪も
目にかかった髪を少しだけ掻き分けるその仕草も
全部、ずっとずっと好きだったこと
黄
青
黄
黄
青
青
青
これから先も、君の歌を聴いて
色んな話をして
そんな日々がこれかも続くんだって根拠もなく信じていた。
それがどんなに繊細なものかも知らずに
黄
黄
ある時から、君が家に来なくなった。
黄
黄
青
青の父
黄
久しぶりに会えた君は、誰かと一緒に居るようだった。
黄
青
黄
青
青
タッタッタッタッタッ…
青の父
黄
黄
はっきり聞こえたその言葉に、地面がぐにゃりと歪んだように見えた。
勿論最初は受け入れられなかった。
一緒に居ようねって言ったのに
どうして、って
ころちゃんは何も悪くないのにね
先生
先生
青
青
黄
黄
青
クラスメイト
青
ザワザワ…
青
青
青の父
青
黄
青
青
黄
青
青
青
黄
青
黄
黄
黄
黄
黄
黄
黄
青
青
青
君が引っ越す日、約束した
君が僕の家に来て
僕に会いに来てくれたように
今度は僕が会いに行くって。
黄
黄
ジリリリリリリリン…
黄の母
ガチャッ
黄の母
黄
黄
黄の母
黄
黄の母
黄の母
黄の母
黄
約束を果たす前に
君は
過ぎていく日々に
めぐる季節に
鈍感になってしまった
⟡.·*.
家を出る。
潮の匂いがする。
意味もなく、走り出す。
黄
息が上がり始める。
それでも構わず走る。
昔はどれだけ走っても疲れなかったのに。
君とよく追いかけっこもしてたなぁ
なんて思い出す。
君を思い出すと
いつもいても立ってもいられなくなって
それでいつも
行き着く場所はいつも同じで。
ジーガサガサッ
黄
黄
どんなに空に向かって手を伸ばしても
もう君には届かなくて
それでもまた、手を伸ばして
黄
黄
⟡.·*
黄
青
黄
青
青
黄
黄
青
青
黄
黄
青
黄
黄
黄
青
青
黄
青
黄
青
青
君と話して
たまにふざけ合って
笑い合って
ずっとそんな日々でいたかったな
⟡.·*
どこまでも澄み渡る広い夕空と、
ザザーッと音を立てて砂を押しては引いていく青い海。
それと、
黄
青
君の、あの頃のまま止まってしまった幼く無邪気な声色。
黄
辺りを見渡してみる。
僕以外に人はいなかった。
黄
家に帰ると、日はすっかり沈んでしまった。
空にはもう、一番星がきらきらと輝いていた。
縁側から、その星に向かって手を伸ばしてみる。
他のどれよりも一際明るく輝くその姿が
ギターを弾き楽しそうに笑う君によく似ている気がしたから。
黄
ギターを手に取る。
またあの歌を歌う。
君がよく歌っていた、怪獣の歌を。
君への、手向けの花の代わりとして
『怪獣の花唄』
𝑭𝒊𝒏.
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