⚠️ATTENTION⚠️
ろふまおBL
四神パロディ
玄武愛され(甲斐田晴愛され)
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✩︎⡱青龍の考え事
ああ、僕は、悪い妖にでも取り憑かれてしまったのだろうか。
仕事をあらかたを片付け、宮に戻って来たところである。
刻は昼の暮れを迎え、美しい夕日を眺めるのにはとても良い時間だ。
いつもなら大皿に盛りに盛られた月餅を平らげている時間だと言うのに、今は全く喉を通らない。
「医者にでも行ってみるか…」
「青龍様、それは何よりでございます。ではこちらに10人ほど優秀な医官がいらっしゃいますので今すぐにでもどうでしょうか?」
「仙…お前、なぜそんなに僕に医者を進めるんだ」
ぼそりと呟いただけだというのにこの男、なんという地獄耳なのだろう。
男の名は仙(セン)、妖と人間の元に生まれた半妖である。
数百年前、生まれたばかりの仙を拾い育てていた頃が懐かしい。
……今はこんなにも生意気になってしまったのだが。
「仙、心の病に詳しい者を呼んでくれ。問診してもらいたい」
仙は、心得たとばかりに走っていき、一人の年老いた老人を連れてきた。
꙳⸌𖤐⸍꙳
「間違いなく恋の病でしょうな」
………は?
もふもふとした髭の中で、にたぁっと笑っていることだけはわかった。
「恋?僕が?」
うむうむと頷く医官に、少しばかり決まりが悪くなる。
「青龍様のことは小さな頃から見てきましたが、いやはやこの歳になると、孫のように思えてきてしまうのですよ」
そういえば。
「あなたでしたか、先日の妖騒動で命を落とした子の祖父というのは」
医官は、悲しげに笑うと、こちらに目を合わせて話し出した。
「青龍様、孫は想い人がおりましたが、結ばれることなく命を落としてしまいました。
青龍様には後悔していただきたくないのです……、まあ、これはただの老人の戯言としてお聞きくださいな」
その言葉が胸に引っかかったまま数年が経ち、老医官は天へと旅立った。
「仙」
何気なく仙を呼んだ。
「僕は恋を探すために旅に出る。その間、宮をよろしく頼む」
背後で仙が優しく笑った音がした。
「ええ、青龍様。行ってらっしゃいませ」
帰ったとき、仙は生きているのだろうか。
恋を見つけられなくても、また仕えてくれるだろうか。
傘を手に持ち、窓から飛び出す。
「生きてまた会おうな!青龍様!」
そんな声が後ろから聴こえてきて、涙が頬をつたった。
東方の街に、桜が降った。
美しい、桜が降ったそうだ。
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