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「8歳。17の女に告白する」赤桃♀️

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「8歳。17の女に告白する」赤桃♀️

2 - りうら。叶わない恋を知る

♥

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2025年12月18日

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告白した翌日。


りうらは、いつもより早く目が覚めた。


天井を見つめたまま、しばらく動けない。

胸の奥が、じんわり熱い。


(……昨日)


公園。

夕焼け。

ないちゃんの顔。


「ちゃんと好きって言ってくれたのは、嬉しい」


その言葉が、何度も頭の中で再生される。


「……っ」


布団の中で、小さく丸くなる。


振られた。

それは事実だ。


でも――


(きらわれてない)


それも、確かだった。


りうらは、ゆっくり起き上がった。



学校では、いつも通りだった。


算数の時間に先生が黒板に書いた問題。

休み時間の鬼ごっこ。

給食の牛乳。


でも、違うのは――りうら自身。


「りうら、今日元気じゃね?」


クラスメイトの男子が聞いてきた。


「べつに」


「なんか、にやにやしてる」


「してない」


即答したけど、否定しきれない。


(だって……)


胸の中に、秘密がある。

誰にも言えない、でも大事なもの。


それだけで、世界が少し違って見えた。



放課後。


りうらは、昨日と同じ公園に行かなかった。


(……来ない)


そう決めていた。


ないちゃんを困らせたくない。

昨日、ちゃんと答えをもらった。


それなのに、また顔を見たら――

期待してしまうかもしれない。


(それは、だめだ)


りうらは家に帰って、宿題をして、

テレビを見て、夕飯を食べた。


それでも。


カーテン越しに、外の音を聞いてしまう。


自転車のブレーキ。

誰かの笑い声。


(ないちゃん……)


気づけば、考えている。



一方、そのころ。


ないこは、自分の部屋でベッドに寝転がっていた。


スマホを持ったまま、画面は暗い。


「……はぁ」


大きく息を吐く。


昨日のことが、頭から離れない。


8歳の男の子。

真剣な目。

震える声。


「りうら、ないちゃんが好き」


――普通なら、笑い話だ。

年下の子の、かわいい勘違い。


でも。


(あんな顔で言われたらさ……)


胸の奥が、ちくっと痛む。


「……ずる」


小さくつぶやく。


自分は、ちゃんと断った。

大人として、正しいことを言った。


それなのに。


(嬉しかった、なんて)


そんな感情を持ってしまった自分が、少し怖かった。



翌日。


玄関を出ると、ちょうど向かいの家のドアが開いた。


「……あ」


りうらと、ないこ。


一瞬、目が合う。


「……おはよ」


ないこが、少しだけ気まずそうに言う。


「……おはようございます」


りうらは、丁寧に頭を下げた。


(……距離)


昨日までと、違う。


話しかけていいのか、

近づいていいのか。


わからない。


ないこは、りうらの様子を見て、少し眉を下げた。


「……りうら」


名前を呼ばれて、胸が跳ねる。


「昨日のこと、引きずってない?」


「……ない」


嘘じゃない。

でも、全部でもない。


「ちゃんと、わかってる」


りうらは言った。


「ないちゃんが、困ることは、しない」


その言葉に、ないこは驚いた顔をした。


「……ほんと、大人びてるよね」


苦笑しながら、頭をぽん、と撫でる。


その一瞬で、

胸の奥が、きゅっと締まる。


(……だめだ)


触れられると、期待してしまう。


「……じゃ」


りうらは、一歩下がった。


「行ってきます」


「……行ってらっしゃい」


ないこの声は、少しだけ寂しそうだった。



それから、少しずつ。


りうらは、ないちゃんと距離をとった。


帰り道をずらす。

公園に行かない。

話しかけられても、短く返す。


それは、つらかった。


でも。


(これが、正しい)


そう思っていた。



数日後。


ないこは、我慢できなくなった。


「……最近、避けられてない?」


友達に言われて、はっとする。


「そんなこと……」


否定しかけて、言葉が止まる。


(……してる)


避けているのは、りうらの方。

でも、その理由は――


「……子どもだよ?」


自分に言い聞かせる。


でも。


(子どもだって、気持ちは本物だった)


その事実が、頭から離れない。



ある夕方。


ないこは、公園に行った。


あの日と同じ、時間帯。


ブランコは、空いている。


(……いない)


当然だ。


それなのに、胸が少し痛む。


「……ばかだな、あたし」


しゃがんで、砂を指ですくう。


そのとき。


「……ないちゃん?」


聞き覚えのある声。


振り向くと、りうらが立っていた。


ランドセルを背負ったまま、驚いた顔。


「……どうして?」


ないこが聞く。


「……忘れ物」


公園の近くに落としたらしい。


「……そっか」


沈黙。


逃げるべきなのに、

足が動かない。


「……りうら」


ないこは、意を決して言った。


「避けてたでしょ」


りうらは、少しだけ目を伏せた。


「……うん」


「なんで?」


「……ないちゃんが、困るから」


その答えに、胸が詰まる。


「……あたしは」


言葉を探して、少し間を置く。


「困ってない」


りうらが顔を上げる。


「……え」


「大人として、答えは変わらないけど」


しゃがんで、目線を合わせる。


「話さないでいる方が、つらい」


りうらの目が、揺れた。


「……でも」


「好きって言われたからって、距離取られるのは、さみしい」


正直な言葉。


「……だめ?」


りうらは、しばらく考えてから、首を横に振った。


「……だめじゃない」


「じゃ、逃げないで」


ないこの声は、優しかった。


「友達でいよ」


その言葉に、胸がきゅっとなる。


「……うん」


完全には、満たされない。

でも、失うよりずっといい。



その日から。


少しだけ、元に戻った。


公園で話す。

挨拶をする。

笑う。


でも、前とは違う。


りうらは、ちゃんと線を引いた。

ないこは、ちゃんと大人でいた。


それでも――


「……大きくなったら、また言っていい?」


ある日、りうらが聞いた。


ないこは、一瞬考えてから、笑った。


「そのときは、ちゃんと男として、ね」


「……うん」


その約束は、約束じゃない。

でも、希望だった。



8歳の恋は、終わらなかった。


形を変えて、

時間の中に、そっと置かれただけ。


りうらは知っている。


この気持ちは、

今すぐ叶わなくても、

無駄じゃないってことを。












いや〜、じれったく書くの大好きです((殴

ささっと告らせろって?

ちょっっっと、厳しいかもですねえ?😏



次回で完結です!

「8歳。17の女に告白する」赤桃♀️

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